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独行法反対首都圏ネットワーク

☆D法人化(6/17)   学内論議少ないまま 「法案先行」懸念消えず 
 .asahi,com MYTOWN北海道 北大の力 第一部
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  下記サイトより引用しました(独行法反対首都圏ネット事務局)

        http://mytown.asahi.com/hokkaido/newslist.asp?k=28

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学内論議少ないまま


「法案先行」懸念消えず
 

  「北海道大学中期目標・中期計画(素案)15・5・15」

  こんな表題と日付が入った書類が、5月下旬ごろから北大教官らの手元にわたり始めた。細かな文字で埋まったA4判22ページの文書は、北大の「近未来設計図」と言える。国会で審議中の国立大学法人法案の成立を見越して、大学側が描いたものだ。

  今の北大とは大きく様変わりしそうな内容が数多く盛り込まれている。

 例えば、「大学院で学生所属組織と教員所属組織を分離」「教員の全職種を対象に再任可能な任期制を導入」などだ。


   ■割れる見方

  そもそも法案については、様々な観点から懸念の声が聞かれる。中期目標・中期計画の導入で文部科学省の介入が強まるのでないかという点や、役員会と経営協議会に学外者の参加が義務づけられ、経営優先の大学運営になるのではないかという点などだ。

  それを裏付けるような発言が、法人化を議題とした3月の運営諮問会議で出た。学外有識者の委員12人のうち8人が出席し、中村睦男学長や事務局長らが耳を傾けた。関係者によると、次のような内容だった。

  「文科省の統制が強まる」「大学の活動は定量的に評価できない」「自然科学上の発見はあらかじめ中期計画に明示できるものではない」「高い評価にとらわれすぎると、本来の目標である教育や研究の向上につながらない」

  逆の意見もあった。

  「大学は自治の名に隠れて、外部からの意見を聞かないなど自己中心的な傾向が強すぎる」「国立大が今のままで良いわけはなく、それが法人化のモチーフだ」

   ■見えぬ過程

  法案反対を明確にしている大学院理学研究科の辻下徹教授は、国会審議や各大学の動向をまとめ、「国立大学通信」というタイトルの電子メールをほぼ毎日発信している。4年前に細々と始めたが、今では国立大教職員、国会議員、報道関係者ら配信先は約2万7千を数える。

  「自分は政治的な話には無関心だったが、『法人化は決まっている』との前提で、議論がないまま話がどんどん進んでいくのはおかしい。このままいけば競争の加速で少数派は淘汰(とうた)され、学問の多様性が失われる」

  北大教職員組合の元委員長で、北方生物圏フィールド科学センターの神沼公三郎教授も「法案成立を前提にした素案は、どのような経緯で作られたのか。ボトムアップされたものではなく、創意もない。後で『こんなはずじゃなかった』では手遅れだ」といい、参院議長らに慎重審議を求めた文書に名前を連ねた。

   ■発言に揺れ

  いまも教官や学生らには揺れ動く「北大トップ」の言葉が耳に残る。

  運営諮問会議の20日後、北大体育館で開かれた卒業式でのことだった。

  あいさつの中で、中村学長は法人化に触れ、「大学運営の自主性、自律性の確保が可能だが、同時に危惧(きぐ)が存在することも否定できない」として3点を挙げた。

  (1)国の国立大への財政支援が後退しないか(2)大学の教育研究に対する評価が公正にされるのか(3)評価を受けるための書類作りで教育研究活動が阻害されないか−−。

  こう問題点を指摘しながらも、最後は「法人化に向けての準備を鋭意行っている」と締めくくった。


  中期目標・中期計画  国立大学法人法案では、各法人は教育研究の質の向上、業務運営や財務内容の改善などについて文部科学相が定める中期目標(期間6年)を基に、それを達成するための中期計画を作り、文科相に認可を受けて運営にあたる。計画に基づく評価が各大学に対する予算配分などに反映される。法案は5月22日に衆院本会議で与党3党の賛成多数で可決された。野党4党は反対した。現在は参院で審議中だ。

(6/17)