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独行法反対首都圏ネットワーク

☆毎日「理系白書」出版・シンポのお知らせ 
 2003年6月13日 .林 衛 
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みなさま:林 衛です
(このメールはご興味をお持ちの方にご転送いただいて構いません)

先日は国立大学の法人化を考える夕べをのぞいてきました.参議院での議論は 盛り上がっている旨の報告を耳にしました.

さて,2002年の元旦からはじまり,さまざまな科学の現場で,200人以上の研 究者や教師,科学政策担当者などを丹念に取材し,日本の科学の抱える問題を 多角的に掘り下げ紹介してきた,毎日新聞の連載「理系白書」 (http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/science/hakusyo/teigen/index.html)が講談社から出版されることになりました(文末の目次をみてもその迫力がわかります).

これを機に,毎日新聞紙面にも告知されたとおり,7月6日に「理系白書」シン ポジウムが開催されます.

連載「理系白書」は,科学者・技術者,理系出身者への応援歌を奏でるととも に,「理系人よカラを破れ もっと野心と自信を持って」との強烈なメッセー ジを伝えてきました (http://www.mainichi.co.jp/eye/kishanome/200305/07.htmlに担当の元村由 希子記者による「記者の目」参照).

その出版を受けての今回のシンポジウムは,このメッセージに応えた,現場か らの提言と行動の第一歩といえるでしょう.

研究問題MLでの議論が目に留まったことをきっかけに,そのMLから設立された NPO(法人化準備中)「サイエンス・コミュニケーション」 (http://researchML.org/SciCom/index.html )が運営や宣伝をお手伝いさせ ていただくことになり,NPOの一員として議論に加わる機会を得ました.「理 系人間が日本を変えます」「私たちはもう黙っていません」をキャッチフレー ズに,4時間にわたる議論に参加したいと存じております.
ぜひ,「理系白書」をお求めの上,会場にお越しください.また,NPOや私個 人(hayashi@udinet.com)へのご意見やご要望がございましたら,どうぞご一 報ください.当日の議論の参考にさせていただきます.

大学改革についての議論が,私の発言の柱になります.この連載でも議論され ていますが,理系の問題だけではありません.

ちなみに,申し込みが着々と増えているだけでなく,アマゾンドットコムでも いったんベスト30に入るなど,発売前から本の予約注文が活発のようです.こ れも国立大学法人化という問題が背景にあってこの問題への関心が高まってい るからかもしれませんね.

以下,いずれも毎日新聞科学環境部提供の情報に基づくご案内です.

(1)毎日新聞科学環境部主催「理系白書」シンポジウムのご案内
(2)講談社刊『理系白書―この国を静かに支える人々』ご案内

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★毎日新聞「理系白書」シンポジウムのご案内

科学技術立国を支える人材を描いた長期連載「理系白書」 (http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/science/hakusyo/index.html )の総括を兼ねたシンポジウム(毎日新聞科学環境部主催,NPO「サイエンス・コミュニケーション」( http://researchML.org/SciCom/index.html )協力)を,7月6日午後1〜5時,東京都千代田区一ツ橋1の1の1,パレスサイドビル地下1階の「毎日ホール」(営団地下鉄東西線竹橋下車すぐ)で開きます.

パネリストは,浅島誠・東京大教養学部長(大学院生命環境科学系教授)▽有 本建男・文部科学省大臣官房審議官▽科学ジャーナリストの林衛さん▽深見希 代子・東京薬科大生命科学部教授▽横向慶子・キリンビール商品開発研究所嗜 好リサーチグループリーダー(50音順)の5氏.

就職難が深刻な博士の問題,大学教育や文理融合の将来,女性研究者の活用, 社会全体の理科離れなど,さまざまな課題について,会場もまじえて議論しま す.

参加(無料)には事前登録が必要です.締め切りは6月25日.申し込みは氏名 と返信用連絡先を明記して,電子メール( rikei@mbx.mainichi.co.jp ),フ ァクス(03-3215-3123)か往復はがき(〒100−8051 毎日新聞科学環境部 「理系白書」係)で.定員(200人)を超えた場合は抽選とし,もれた方に ご連絡いたします.問い合わせは事務局03-3212-0257へ.

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★毎日新聞科学環境部著『理系白書―この国を静かに支える人々』(講談社, 本体1500円)

◎本のあらまし◎
理系社会の「いま」を克明に描いてきた毎日新聞の長期連載「理系白書」がつ いに単行本になります.6月20日発売.「文系の王国」の日本で,理系の問 題に鋭く切り込んだ渾身のレポートです.
日本はモノづくりで生きてきました.支えてきたのは,確かな科学・技術の力 と,それを生み出した理系人です.しかし,その仕事は,重要性に反し て, ほとんど知られていなければ,関心も持たれていません.日本社会は,彼らを 「黒子」として扱い,ときには無視してきたのです.
『理系白書』は,そんな理系人にエールを送り,理系人の積極的な活用と,よ りよい待遇が,日本社会の再生につながると指摘します.
一方で,科学・技術が,大きな曲がり角にさしかかっている今,理系人も,従 来のタコツボを脱却する必要があります.『理系白書』は,「理系人よ,カラ を破れ」とも訴えます.
本の内容については,文末の目次を参考にしていただければと思います.

◎必ず在庫のある書店◎
本は書店で予約可能です.講談社によると,首都圏でまとまった冊数を仕入れ る予定の書店はつぎのとおりです.
アマゾン・ドット・コムも予約を受け付けています.
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062117118/

 『理系白書』の仕入れ冊数
●丸善日本橋店(1F,2F)
●文教堂溝ノ口駅前店     
●八重洲ブックセンター(1F,3F,5F)
●三省堂神田本店(1F,5F)
●旭屋池袋店
●紀伊國屋新宿本店(1F,4F)
●ブックスSAGA武蔵小杉店(ワゴン展開)
●有隣堂川崎店
●有隣堂横浜西口店
●虎ノ門書房本店


★理系白書 もくじ

はじめに 1

第1章 文系の王国  11

報われない理系出身者  12
生涯賃金の格差,家一軒分=五〇〇〇万円  14
霞が関に昇進不文律「技官の出世は局長止まり」  17
理系官僚六割「人事が不満」−−毎日新聞調査 21
政界,財界も「トップは文系」 23
全員理系の中国共産党執行部  27
中枢に理系が不可欠  29

第2章 権利に目覚めた技術者たち  33

「奴隷はもうごめん」  34
億単位の年俸も可能なアメリカ  37
飛躍狙いベンチャー  38
技術者の逆襲  42
報奨金制度で努力に報いる  43

第3章 博士ってなに?  47

実験一日一〇時間  48
「とりあえず大学院」 53
高い専門性は「両刃の剣」  56
四〇歳,まだ武者修行  61
チャンスをつかめ  64

課題を聞く サミュエル・コールマンさん〈文化人類学者〉
             −−官僚が国を腐らせる−−                  68

第4章 教育の現場から  74

失われる「作る喜び,なぜ? 問う心」 74
昆虫観察に「学問の根本」  76
若者の理科離れ  79
学力低下に強まる不安  80
授業減り,理科細る  85
実験苦手な小学教師  89
「大学入試」原罪論  92
「なぜ?」が知をはぐくむ  95
「出る杭」を育てる 100
科学館に行ったことがありますか? 103

第5章 理系カルチャー  107

科学捨て,追った「真理」−−地下鉄サリン実行役の軌跡  108
オウム中枢の三分の一 112
「優れた能力」利用され  113
ままならぬ「恋愛力」  116
不正生む「ムラ意識」  119
理系とオタク 123
こだわりが開く世界  126
危うい「完結した社会」  128
科学者も市民と共に  132

課題を聞く 常石敬一さん〈神奈川大教授〉
      −−科学者も社会の一員−−    135

第6章 女性研究者  139

「女性教授」門前払い  140
研究の自由侵すセクハラ  142
国立理系教授一パーセント台  145
女性研究者,差別感三倍  148
「女らしさ」の束縛  151
女子の理科嫌い,作るのは親・教師?  154
別居二三年「研究したい,子育ても」  156
研究に男も女もなく  160
女性登用は「特別扱い」?  163

第7章 失敗に学ぶ  167

「大魚」見逃した悔しさ  168
マウスが死んだ?  172
偶然も味方に……  175
専門性に潜むスキ  177
一万分の一にかける  179
苦い経験が成長の糧  183
教科書に載らない生きた教訓  186
目をそむけず挑戦  189

課題を聞く 田中耕一さん〈島津製作所フェロー〉
      −−失敗を面白がろう−−            193

第8章 変革を迫られる研究機関  195

大学発ベンチャー続々  198
不況で産学連携が「国策」に  202
不可欠な経営手腕,資金  203
「発明」売り始めた大学  205
すれ違う産と学  209
一変する「愚者の楽園」  213
トップ三〇に踊る大学  216
パートタイム教授  223
私立大は生き残れるか  226

課題を聞く 山本孝二さん〈文部科学省科学技術・学術政策局長〉
      −−研究開発にも競争を−−                        230

第9章 研究とカネ  233

“狭き門”に研究者殺到  234
真理探究に巨額投資 237
創意縛る「ヒモ付き」研究費  241
企業の研究に「効率」のメス  245
成果求めない投資もっと  248

課題を聞く 倉地幸徳さん〈産業技術総合研究所・ジーンディスカバリー研究センタ
ー長〉−−公正なカネ配分と若手支援を−−                      252

第10章 独創の方程式  255

ヒトゲノム計画の「影の英雄」  256
内緒の研究から新分野  260
独創性見極める評価眼を  263
師の「殻」破ってこそ  264
目標を見据えて渡り歩く  268
活力秘める日本型企業  271
とっぴな発想阻む純粋培養  275

課題を聞く 阿部博之さん〈前東北大学長〉
      −−米国追従から脱却を−−    279

第11章 文理融合  283

商品開発に科学の目 284
手法見直し,発想も逆転 287
ものをいう“論理的感性”  289
人材活用を柔軟に−−模索する企業 291
好奇心が壁を壊す 292
かみ合わぬ“男女の仲”  295
めざせ「新・教養人」 299
社長の夢,技術で実現 302

おわりに 307
各分野の理系出身者 308
主な参考文献 310
本文中のコラム一覧 311 

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林 衛(hayashi@udinet.com)

NPO法人理科カリキュラムを考える会理事
 http://www.sh.rim.or.jp/~science/
“ガリレオ・サイエンスシリーズ”(日本評論社)編集
 http://aserve.procen.net/nippyo/books/bookinfo.asp?No=2015
早稲田いのちのまちづくり実行委員会メンバー
 http://re-net.info/
NPO法人東京いのちのポータルサイト理事(記録・出版部会)
 http://www.tokyo-portal.info/
市民科学研究室/科学と社会を考える土曜講座レイチェル会員
 http://www.csij.org
富山大学教育学部非常勤講師(科学ジャーナリズム論)
東京大学教養学部非常勤講師(2002年度夏学期)
ユニバーサルデザイン総合研究所・科学の社会化研究室
 http://www.udinet.com