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大学入試センター、推薦合格の学力チェック問題作成へ 読売新聞ニュース速報 大学入試センターは、推薦入試などの合格者に「大学で学ぶのに最低限必要な 学力」があるかを入学前にチェックできる新タイプの試験問題を作成する方針 を決めた。 早ければ今秋から、希望する大学、短大に提供し、試験の結果によっては、合 格者に入学までに基礎を身につけるよう促したり、入学後の教育の参考にする などして役立ててもらう。定員確保に苦しむ一部の私立大で、入試が事実上の “フリーパス”になっている実態を反映した「学力低下防止策」と言えそうだ。 新たに作成されるのは、中学生から高校1年程度の水準の「総合基礎試験」。 国語、数学、英語の3教科で、「大学での学習に必要な最も基本的な学力」を 想定し、分数の計算なども含める予定。現行の大学入試センター試験が平均点 60点を念頭に作成しているのに対し、「素直にやれば80点」の水準を目指 す。 推薦入試に加え、面接や書類選考などで選抜するAO(アドミッション・オフ ィス)入試を実施する大学は急増しており、こうした入試で合格した大学入学 者は、昨年度で全体の38%にあたる約22万人に達している。その大半は、 一般の学力試験を受けることなく合格を決めている。 背景には、18歳人口の減少で、私立大が学生確保に苦労し、約3割が定員割 れに陥っている状況がある。本来、推薦やAO入試は、個性の重視や選抜の多 様化が目的だが、学生を早めに確保する手段に活用し、一般入試合格者はわず かという大学も一部にある。入学後に授業についていけない学生に高校レベル の補習を実施したり、入学前にリポートなどの「準備教育」を行う大学も増え ている。 新設される「総合基礎試験」は、合格者の基礎学力を測ることにより、準備教 育や補習、入学後のコース振り分けを行う際の目安などとして、大学に活用し てもらうのが狙い。センター側は採点、分析を行うことで、学力に関する調査 研究にも活用する。 大学入試センター試験は国公立大のほか、私立大の7割以上が利用しており、 「現行の水準では難しすぎる受験生も多くなってきた」と指摘されていた。こ のため、センター試験と同日程に、平易な内容の国語、数学の「総合基礎」試 験を新設し、選択科目として組み込む案が浮上。私大や短大などに入試問題と して利用してもらう方向で、同センターの丸山工作理事長らが中心となって、 検討を進めていた。 しかし、現行のセンター試験より大幅に易しい入試問題を作成することは「前 例がない」として、センター内では合意が得られなかった。また、文科省も 「大学の多様化で必要性が出てきたとの考えはわかるが、『大学入試でそんな 簡単な試験をしていいのか』という見方もあるだろう。導入には論議が必要」 (大学入試室)と消極的。結局、入試以外の形で導入することで落ち着いた。 総合基礎試験の検討に携わった荒井克弘・東北大教授は「この試験で、『大学 で学習するためにここまではやってきて』という到達目標を示し、全体の学力 維持につなげたい」と話す。 [2003-06-12-03:14] |