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独行法反対首都圏ネットワーク

国立大学協会第112回定期総会出席にあたって(要望) 
 .2003年6月5日愛知教育大学教職員組合 
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愛知教育大学長
 田原 賢一 殿
 
                             愛知教育大学教職員組合                               委員長 折出 健二

     国立大学協会第112回定期総会出席にあたって(要望)


 来る6月10〜11日に開催される標記の総会に出席されるにあたり、何よりもまず、「国立大学法人法案」の国会審議における重大な局面において、国立大学が高等教育・学術研究機関としての本来の使命を果たすことができるよう、自主性と自律性、学問の自由と大学の自治を擁護し発展させる立場から、法案の問題点を明確に指摘されることを、貴職からも国大協執行部に対して求められることを強く要望するものです。このことは、去る4月の「愛知教育大学憲章」制定の主旨に則った貴職としての社会的な責務でもあると考えます。
 またこの総会において、法人化問題の他にも、再編・統合問題、教員任期制の
問題、予算の傾斜・重点問題、教職員の待遇改善・地位確立について、以下の諸点につきまして充分な検討を必要とする旨、貴職からも発議されますよう、ここに要望する次第です。

一 「国立大学法人法案」について
「国立大学法人法案」は、文部科学大臣が中期目標を定め、中期計画を認可すること、文部科学省に設置される国立大学法人評価委員会が法人の業績評価を行い、業績評価と資源配分が直結されることなどにみられるように、国による統制と関与を強めるものです。また、大学運営のシステムは、学長と少数の理事によるトップダウン型とされるとともに、経営協議会・学長選考会議などへの多数の学外委員の参画によって、経営優先の運営に陥ることが強く危惧されるものです。 教育研究を目的とする大学の運営組織は、貴職も国大協特別委員会のアンケート回答で述べておられるように、その自律的機能を高めるために教育研究を直接に担う学内構成員の意見を最大限に反映するシステムとして、あくまで教育研究を優先したものであるべきです。また、その教育研究活動を中心とする大学の目標を文部科学大臣が定め計画を認可するというやり方は、憲法が保障する学問の自由と大学自治の理念を侵す危険性が高いものであります。 このように「国立大学法人法案」には多くの問題点があり、そのことはこれまでの国会審議を通じていっそう具体的に指摘されてきています。
 貴職におかれましても、以下の諸点から国大協の真摯な審議を求め、かつ大学人並びに国民に対する国大協としての説明責任を果たすように積極的な発議を要望するものです。
(1)大学の自主性と自律性、学問の自由と大学の自治を擁護し、発展させる立
場から、「国立大学法人法案」の内容を検討し、その問題点を明確に指摘・批判する見解を公表すること。
(2)衆議院の審議において、法人移行によって労働安全衛生法が適用されることになったときに違法となりうる状態が国立大学に存在すること、こうした事態を解消するために必要な対策、経費支弁等の措置が遅れていることが明らかにされた。このようなきわめて重大な問題を抱えたままの法人移行は本来不可能であり、同法案の廃案を国大協として求めていくよう、貴職からも要請されること。

二 国立大学の再編・統合問題について
私たちは、国立大学の再編・統合問題について、次の点を求めるものです。貴職におかれましても、このことについて真摯な発議を要望致します。(1)各地域の事情に照らして国立大学の拡充・整備を図るべきであって、理念なき再編・統合をおこなわないこと(2)教員養成系大学・学部については、大学における「教員養成開放制」の原則に反する強権的な再編・統合をおこなわないこと。
(3)附属学校園についても、拙速な統廃合を計画したりせずに、大学と附属学
校園の多様な連携をおこない、研究協力や教育実習のいっそうな充実がはかられ
るよう条件整備をはかること。
(4)再編・統合問題の検討に当たって、全構成員に重要情報を遅滞なく開示
し、民主的な検討をおこなうこと。

三 教員任期制問題について
 任期制の拡大は、学術研究の総合的な発展に資するものではなく、むしろ大学における教育者・研究者の養成や高等教育の充実を阻害するものです。貴職におかれましも、慎重なる対応をなされるよう強く要望する次第です。

四 予算の傾斜・重点配分問題
競争的資金の増加や校費配分方式の変更等、予算の傾斜・重点配分問題は、大学の教育・研究に重大な影響を与えています。「21世紀COEプログラム」の選考結果は、大学間の財政基盤上の格差がいっそう拡大することを促すであろうと深く憂慮せざるを得ないものであります。私たちは、政府予算編成期に当たり、校費の充実等、研究・教育の総合的発展に資する立場から基盤的経費の充実を強く要求して取り組んでおります。
 貴職におかれましても、引き続きご尽力いただきますようお願いします。

五 大学教職員の定員増
 この問題につきましては、定員削減による教育・研究・医療への影響を明らかにしつつ、大学の特性をふまえ、客観的根拠に基づく定員確保(定員増)の要求が重要であると考えております。貴職のご理解とご協力をお願いします。

六 教職員の待遇改善・地位確立について
 私たちは、「高等教育の教職員の地位に関するユネスコ勧告」(1997年)も視野に入れ、教員並びに事務系職員の職務評価と専門性を高め、待遇改善・地位確立をはかる立場から、給与水準、「手当」等の新設、昇格改善など勤務条件改善の取り組みを進めているところです。
 また、事務系職員にあっては大学運営を担うエキスパートとして、それぞれの職種の地位確立と、業務の専門性発揮にみあう勤務条件向上および待遇改善が急務であります。
 貴職におかれましても、国大協における積極的で前進的な審議を求めるように、ご理解とご協力をお願いします。