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難関国大、入試は一発勝負?前・後期に見直しの動き 読売新聞ニュース速報 国立大学協会(国大協、会長=長尾真・京大学長)は、前期、後期日程の2回 に定員を分けて行っている国立大入試の個別試験について、2006年度以降 は各大学の裁量を広げ、定員配分などを弾力化する方針を固めた。 東大、一橋大など難関国立大の間では、「単なる敗者復活戦になっている」と して後期入試をやめたいとの強い意向がある。国大協は今秋までに「前期一本 化」を認めるかどうかの結論を出すが、容認されれば、有力大を中心に、後期 入試を廃止する動きが広がりそうだ。 国立大が来年度から法人化されると、入試についても個々の大学の独自性が重 視される。このため、国大協の第二常置委員会(委員長=中村睦男・北大学長) は、法人化後の入試の在り方について検討を進めてきた。 アンケートによる意向調査も行ったところ、大半の国立大が、入試の“完全自 由化”には否定的だが、定員を前期と後期に分ける「分離分割方式」の弾力化 を望んでいることがわかった。このため、現行方式を大枠で維持した上で、2 006年度以降は、定員分割を弾力化する方向で一致した。10日の国大協総 会で報告される。 ◇ 分離分割方式は、1989年度から順次導入され、97年度以降は、体育系な ど一部を除く全国立大で行われている。学部ごとの定員配分は「前期7割、後 期3割」が目安だが、東大、京大は約9割、一橋大なども約8割を前期で確保。 受験機会の複数化のほか、後期は論文を課すなど多様な選抜方法を進めるのも 導入の目的だった。 しかし最近は、書類選考や面接で総合的に評価するAO(アドミッション・オ フィス)入試や推薦入試が広がったため、後期日程の意味が薄れており、アン ケートでも、後期に「不本意入学者」が見られる傾向や、過密日程の負担感が 指摘された。 特に東大では、「後期試験は事実上の敗者復活戦で、手間をかけて2回入試を 行う意味が見いだせない」との声が強く、学内の報告書にも、「学生の資質の 多様化という目的がどこまで達成されたかは定かでない」「受験機会の複数化 以外に積極的な理由はない」と否定的な文言が並ぶ。 同様の理由で一橋大でも「前期1本化」の待望論が強く、国大協が容認すれば、 両大学とも「後期廃止」の検討に入る見通しだ。京大など旧帝大系の有力大で も、学内に「一本化」を望む声が出ている。 一方、地方の国立大には、「後期で優秀な学生を確保したい」と、後期日程を 存続させる意向が強いが、少人数の定員をわざわざ分割せず、学部、学科単位 で後期実施をやめたいという大学もある。国立大入試の「横並び」が崩れるこ とにもなりそうだ。 ◇ 国大協では既に、2005年度入試までは「現行どおりに行う」方針を確認し ており、弾力化されるのは2006年春からの見通し。後期日程で学生を募集 しないことが容認された場合も、受験生への告知期間に配慮し、実際に東大な どが踏み切るのは2007年春以降になる見込みだ。 こうした動きに対し、大手予備校からは、「どうしても東大に入りたいといっ た受験生にとっては、受験機会が減ることで心理的な影響が大きいのでは」と 戸惑う声も出ている。文部科学省では、「高校への影響もよく議論した上で決 めてほしい」としている。 [2003-06-05-16:03] |