独行法反対首都圏ネットワーク |
2003年6月2日(月)「しんぶん赤旗」 ゆうPRESS 奨学金の後退/学問の存亡にかかわる 育英会 なぜなくすの 学生が国会傍聴 学生の奨学金制度を支えてきた日本育英会を廃止し、新たに「学生支援機構」を設立す る法案が国会で審議されています。全日本学生自治会総連合(全学連)は三十日、「学生 の学ぶ条件を奪うな」と衆院文部科学委員会の審議の様子を傍聴しました。参加した学生 たちに思いを聞きました。 小田前恵子さん(22)=阪市立大学四年= いくら審議を聞いても「なぜ日本育英会をなくすのか」という疑問の答えになっていな いと感じました。「育英会の理念は生かします」といいながら、具体的な中身に話がおよ ぶと「努力します」などとごまかしていました。このまま法案が通されたら国民のための 奨学金にならないのでは、という不安を感じました。 大学とは、自主的に学ぼうと思えばなんでも学べる場所。それは、自分の専門学問を深 めるというだけでなく、人類の幸福にもつながると思います。奨学金制度の後退でそうい う場所を奪ってはいけません。 明石共世(ともよ)さん(20)=日本福祉大学三年= 私も奨学生です。私の周りにも奨学生がたくさんいます。“財政が厳しいから取り立て をさらに厳しくする”といっていますが、今は就職難、卒業しても収入が得られるかどう か分かりません。それなのに何百万円もの借金を抱えるなんてとても不安です。返済のた めにサラ金から借りろとでもいうのでしょうか。 関耕平・全国大学院生協議会(全院協)議長=一橋大学= 今回の法案では、大学院生の奨学金返済免除規定が大幅に改悪されます。現在、一般的 な院生の奨学生は、博士になるまでにおよそ八百五十万円の奨学金を借りています。研究 職に就いた場合の返済免除規定があるからこそです。しかし研究職についても、免除の対 象を“世界的にすぐれた発明や発見のあった者”だけにしたら、今までより枠が狭められ てしまうのは明らかです。 大学の独立行政法人化とあわせて、育英会の廃止は「学問の存亡」にかかわります。全 院協として、全国の院生の実態を広く知らせていく運動をしていかなければと考えていま す。 ------------------------------------------------------------------------ 「支援機構」つくるというけど… 日本学生支援機構法案は、日本育英会を廃止して新しい独立行政法人をつくるもの。与 党三党と民主、社民などの賛成で参議院を通過しました。日本共産党は反対しました。い ま衆議院で審議されています。問題点は―― ▽教育を受ける権利を保障すべき奨学金事業を「効率化」や「経費削減」を優先する独 立行政法人に委ねるため、銀行の教育ローンのようになりかねない ▽「機関保証制度」を導入して、保証機関が審査。パスしても年間二万四千円から三万 六千円の保証料を払わなければ奨学金が受けられない ▽大学院生の返還免除制度をなくす。免除されるのは「世界レベルの発明、発見があっ た場合」(文部科学省)だけ |