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独行法反対首都圏ネットワーク

☆国立大学法人―文科省支配を断て
 朝日新聞ニュース速報03/06/02
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国立大学法人―文科省支配を断て


朝日新聞ニュース速報

 政府提出の国立大学法人法案が衆院を通り、参院での審議が始まった。
 衆院で焦点となったのは、法人化された後も、大学に対する文部科学省の強い
 関与や支配が実質的に残るのではないかという問題だった。文科省の答弁はあ
 いまいで、納得できるものではなかった。
 いまの政府案のままで、個性豊かな大学を育てるという目的を実現できるのか。
 大いに疑問と言わざるを得ない。議論を深め、必要な修正を加えてもらいたい。
 法案によれば、各大学の教育研究や組織の運営の方向を示す「中期目標」につ
 いて大学の意見は聴くものの、最終的には文科相が決定する。「目標」を実現
 する「中期計画」にも文科相の認可が必要だ。
 これでは、文科省官僚が事細かに介入して、大学の自主性を損なってしまった
 従来の二の舞いになりかねない。
 「税金投入の責任を負う国として、適正な内容かどうかを見るだけだ。何をや
 りたいかは大学が決める」。遠山文科相はそう答弁した。しかし、法案をどう
 読んでも、大学が十分な自主性をもって目標や計画を決められる内容とは思え
 ない。
 この点では、民主党の修正案が検討に値する。目標も計画も大学がつくり、文
 科省には届け出るだけという内容だ。
 国立大学全体の予算をいくらにするかという政府内調整は文科省の仕事だ。し
 かし、それぞれの大学に対する文科省の関与は極力減らしてもらわねばならな
 い。
 そこで問題になるのが、評価委員会だ。委員会は文科省内に置かれ、各大学へ
 の予算配分のもととなる評価を決める。
 ところが、大学の活動の死命を制する機関であるにもかかわらず、文科省はこ
 の委員会の具体的な運営や構成について明確な見解を示していない。
 はっきりしているのは、委員を選ぶのが文科省当局だということだ。しかも、
 委員会の事務局に官僚を送り込む考えのようだ。委員会が文科省の言いなりに
 なるなら、予算を通じた大学支配は変わらない。
 そうさせないためには、どういう人々が委員会を構成するかが重要だ。文科省
 の利害から距離を置き、大学の運営や教育研究に通じた専門家が必要だ。民間
 の知恵も要るだろう。委員会の評価は結果だけでなく、議事録の公表も求めた
 い。
 法案は、大学職員の人事権は学長が持つとしているが、文科省と大学間の人事
 交流や天下りを規制する規定はない。
 法人化後も文科省が職員を送り込み続ければ、その職員は文科省にお伺いをた
 てたり、文科省の意向を先取りしたりするだろう。こうした交流は期限を切っ
 てやめてはどうか。教員と同様、職員にも自立が求められるからだ。
 法人化は、新しい大学像を大学がみずから描く好機だ。文科省支配を断ち切る
 ことが、そのための大前提である。
[2003-06-02-00:08]