トップへ戻る   東職HPへ戻る
独行法反対首都圏ネットワーク

どうなる大学改革、法人法案に疑問の声 
 .TBSニュース 2003年6月13日 
--------------------------------------------------------------


TBSニュース 2003年6月13日

どうなる大学改革、法人法案に疑問の声


 「国立大学にとって100年に1度の改革」と文部科学省が豪語する「国立
大学法人法案」が国会で審議中です。これは来年4月から全国の国立大学をそ
れぞれ独立した「法人」にしようというものですが、そこで大きな影響を受け
るのが予算の決め方です。

 これまで、文部科学省は大学ごとの要求を受けて予算を決めてきましたが、
法人化されることになると、文科省がまず大学の「中期目標」を決定。さらに、
その「業績評価」に応じて、交付金を出すというものです。文部科学省の評価
によって交付金が増減する可能性もある法案に疑問の声が上がっています。

 先月23日、参議院での審議が始まった国立大学法人法案に批判が相次いで
います。そもそも国立大を法人化する狙いは学長トップにすばやい意志決定が
できる、給与システムが非公務員型になり、規制が撤廃されるなど、大学ごと
の自由度を増して、活性化しようというものです。

 新しい産業や技術が求められる今、大学改革への期待は強く、国立大学協会
も去年の時点で、法人化を受け入れました。しかし、文部科学省によって法案
の中身が明らかにされたのは今年2月末でした。そして、これを見た大学関係
者から強い反発の声が出ました。

 最大の問題は大学の中期目標を文部科学大臣が定める点です。これが自由な
研究を阻害するのではないかと懸念されているのです。文部科学省では「中期
目標のベースは大学が作り、役所は詳細な研究まで口を出さない」と繰り返し
強調しています。

 しかし、今週の国会で、文部科学省が昨年末、大学側に示していた「6月末、
中期目標を提出。学部など組織ごとに具体的な事項を記載してください」とい
う文書が問題になりました。民主党の櫻井充議員の「今まで文科省は『中期計
画は漠とした物』と言っていた」という指摘で委員会の審議が止まってしまっ
たのです。

 また、大学では6年毎の中期目標で業績を評価されることに戸惑いがありま
す。東大社会科学研究所の田端博邦教授は「大きな研究課題を書き込むのは非
常に難しい。野心的な研究が姿を消す恐れもある」と指摘します。

 大学改革について積極的に発言してきた櫻井よし子さんは「一番いいのは廃
案。大学の中期目標を文部科学大臣ではなく、大学に決めさせ、届出制にすべ
き」と話します。

 一方、国立大学の学生からは「教授とかはシビアに捉えていると思うが、学
生としては実感はない」「卒業しちゃうので関係ない」といった声が聞かれま
す。国会審議も大詰めに入った法人化ですが、自立的・魅力的な大学は実現で
きるのか、主役のはずの学生がみせる無関心さはその答えを物語っているよう
です。

 国会審議は17日に再開されますが、与党の出方に注目が集まりそうです。