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独行法反対首都圏ネットワーク

禍根残さぬ徹底審議を  国立大学法人法案 畑野議員が質問   参院本会議
 2003年5月24日(土)「しんぶん赤旗」
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2003年5月24日(土)「しんぶん赤旗」

禍根残さぬ徹底審議を
国立大学法人法案 畑野議員が質問
参院本会議
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 国立大学法人法案の趣旨説明と質疑が二十三日、参院本会議で行われ、日本共産党から
畑野君枝議員が質問に立ち、「将来にかかわる重大法案であり、禍根を残さない徹底審議
を」と強調しました。

 文科相が大学の中期目標を定め、大学が定める中期計画も文科相が認可する問題につい
て、畑野氏は「どこに大学の自主性・自律性があるのか」と指摘。目標や計画の達成状況
を文科省と総務省に設置される評価委員会が評価し、六年ごとの評価に基づいて大学の「
廃止、民営化」も文科相が決めるのは、学問の自由や大学の自治を損なうと批判しました


 畑野氏は、法人化によって教職員が非公務員化され、労働安全衛生法が適用されるが、
現時点で対象機関の92%が労安法の基準を満たしておらず、法人に移行する来年四月一
日までに違法状態をなくすために必要な予算額と改善個所数を具体的に示すよう迫りまし
た。また、学費について、ロースクールなどを含めて学部間等の格差をつけず、学生の負
担にならないよう改善を求めました。

 遠山敦子文科相は大学の改廃については「大学の状況等を十分勘案の上、最終的には国
会で慎重なご審議をいただいて決定される」と答えました。

 労安法については「調査、具体案を検討中」として具体的な数値は一切示さず、無責任
な姿勢が浮き彫りになりました。
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2003年5月24日(土)「しんぶん赤旗」

論戦ピックアップ
国立大学法人法案
教育内容も文科相が認可
不当な支配許す体制に

参院本会議 畑野議員の質問
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質問する畑野君枝議員=23日、参院本会議

 日本共産党の畑野君枝議員が二十三日の参院本会議でおこなった国立大学法人法案に対
する質問と遠山敦子文科相の答弁の要旨は次の通りです。

「学問の自由」侵すおそれ 【中期目標】

 畑野 大学の中期目標を文科相が定める問題です。遠山文科相は、「大学が自主的に決
定した方針に基づいて行われる」ことが「主要な点として学問の自由が守られ大学の自治
につなが」ると答弁している。「大学が自主的に決定」するというなら、どうして文科相
が教育研究をはじめとする大学の中期目標を定める必要があるのか。「学問の自由」を守
ることに反するのではないか。

 文科省は「国が責任をもって予算措置を行うものだから、中期目標の策定など国の一定
の関与は必要」というが、これまで国立大学は国が予算措置をしていても教育研究の目標
は大学が自主的に決めていた。いまなぜ関与が必要となったのか。

 遠山文科相 国が財政措置等の面で責任ある対応をするためには、中期目標など運営の
基本方針に限定して一定の関与が必要。中期目標はあらかじめ大学の意見を聞いて配慮し
、大学の自主性・自律性を十分に担保する内容となっている。

20万円以下の罰則規定も 【中期計画】

 畑野 中期目標を達成するために、国立大学法人は中期計画を作成し、文科相の認可を
受けるとしている。中期計画は「少人数教育や対話型・双方向的授業を展開する」など教
育の内容や方法など具体的なもの。なぜ、文科相の認可を受けなければならないのか。

 しかも、中期計画を実施する上で不適当になったときは、大臣が法人に中期計画を変更
するよう命ずることができるとしている。大臣の命令に従わなかった場合、役員は二十万
円以下の過料という罰則を受ける。これでは教育と研究が政府の不当な支配に屈服する体
制になるのではないか。

 遠山文科相 中期計画の実施を確実なものとするため、財政措置の責務を負う文科相の
認可を受けることとした。中期計画の変更命令は、予想しがたい事情の変化など、真にや
むをえない場合にのみ行われる。

生殺与奪まで文科相が握る 【評価委員会】

 畑野 文科省や総務省のなかに評価機関が設置され、その評価による予算配分や「廃止
、民営化」を含めた措置がとられることで国の統制が強められる。国立大学評価委員会の
構成、評価の内容、基準などを具体的に明らかにすべきだ。評価に基づく予算配分は、長
期的な視野にたった基礎研究がなおざりにされ、学問研究を衰退させる。「廃止、民営化
」の決定は大学の生殺与奪まで文科相が握る。

 遠山文科相 評価委員会の委員は幅広い分野から選任し、評価基準は評価委員会で検討
する。予算配分は大学側の意見を十分尊重して対処する。評価に基づく廃止等は大学の状
況等を十分勘案の上、最終的には国会で慎重な審議をして決定される。

学外者の権限極端に肥大化 【学長の任命・解任権】

 畑野 学長の専決体制をつくり、学外者の権限を極端に肥大化させている。学外者の「
不当な介入」が行われない保障はあるか。

 学長のリコールなど大学構成員による学長へのチェック体制がない。結局、文科相が学
長の任命権と解任権をもち、国の立てる目標を忠実に実行させる体制にしようということ
ではないか。

 遠山文科相 学長は、学内者と学外有識者が協力して選ぶ。学外有識者は学長が学内の
代表者の意見を聞いて任命する。学長の専決体制、学外者による不当介入といった指摘は
あたらない。

放置してきた責任は重大 【労働安全衛生】

 畑野 文科省の調査では、対象とされている機関の92%、百五十六機関が問題をかか
え、労働安全衛生法上の基準を満たさず、このままでは法人化イコール法律違反という事
態に直面する。条件整備への予算措置を行わず、放置してきた文科相の責任は重大。改善
個所数と予算額を具体的に示してほしい。

 遠山文科相 現在調査を実施し、改善の具体案を検討している。

財政上の責任法人に転嫁 【学費負担】

 畑野 財政上の責任を国から法人に転嫁している。学費など国民負担が増える。

 遠山文科相 国として必要な財源措置を講じ、授業料設定の指標となる標準額と範囲を
示すことなどで、適切なものになるよう努める。
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