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独行法反対首都圏ネットワーク

☆金沢大学理学部見解
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みなさん
   金沢大学理学部では、5月22日の学部会(教授会)で
国立大学法人化法案に多くの危惧を感じざるをえない以上,
基礎自然科学としての理学の発展にとって憂慮される点を明確にした“見
解”を各方面に表明するのが良いとのことで意見の一致をみ、以下の見解を
承認しました。なお、理学部長名で、国立大学32大学理学部長あてにも
送られました。参議院の文教科学委員にも送る予定ですが、メイル住所が
わかりません。ご存じの方はお知らせくだされば幸いです。

                          金沢大学 鈴木恒雄  
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                            平成15年5月22日
国立大学法人化に対する金沢大学理学部見解

 「国立大学法人化法案」が国会に上程され審議が行われつつあります。国立大学法
人化問題に関して、金沢大学理学部では平成12年1月11日に学部会声明を発表し、そ
の中で、国立大学理学部長会議が発表した声明「危うし! 日本の基礎科学 --国立大学
の独立行政法人化の行方を憂う--」(平成11年11月10日)において指摘された点、す
なわち、国立大学の法人化は長期的視野に立って行われるべき基礎科学の教育・研究
の発展に重大な支障をきたす危険性がある点に対して、私たち理学部会構成員も同様
の強い危惧を持つことを表明しました。

 現在審議中の「国立大学法人化法案」の内容はこの危惧をますます強めるものと言
わざるを得ず、あらためて、特に基礎科学の教育・研究という視点からこの法案に対
する私たちの意見表明を行いたいと考えます。

1.法案では、中期目標について各大学法人の意見に配慮するとのみ記され、中期目
 標策定についての各大学法人の自主性が強く制限されています。また、評価委員会
 の評価が次の中期目標期間の運営費交付金に反映されるとされています。
  文部科学大臣が中期目標を定めるという規定は、学問研究の目標を先験的に決定
 することが元来不可能であることに反してそれを行おうとしており、矛盾に満ちた
 ものと言わざるを得ません。特に、このようなシステムは、基礎科学のように短期
 間で目に見える成果が得られにくく、短期的な「効率」の視点、単一の指標による
 評価が困難な学問領域における教育・研究の発展に対して大きな障害となり、日本
 の基礎科学全般を衰退させることになることを強く危惧します。

2.法案は、学長と学長の任命する理事から構成される役員会が、学部や学科等の改
 廃を含めた強大な権限を持つものとする一方、学部の自主性については一切言及さ
 れていません。
  このような一極集中の意志決定システムは大学における教育・研究のバランスの
 良い発展に重大な障害をもたらす可能性があることを強く危惧します。特に、大学
 における教育・研究の評価方法が確立しているとは言いがたい現状において、当該
 研究分野の専門家の集団である学部の自主性・自律性を保証することなく、仮に数
 値化可能な事項のみに基づいた評価が行われることになれば、評価そのものが本来
 難しく、また短期的な「効率」とは相容れない基礎科学の教育・研究に重大な障害
 をもたらしかねません。

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                                   以 上