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独行法反対首都圏ネットワーク

本日(5月21)の国大協のシンポ、国大協第8常置委員会主催の「第4回大学評価シン
ポジウム」の参加者に向けて配布したビラです。
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          国大協はただちに総会を開催し、「国立大学法人法案」に明確な拒否を

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                                                                      独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局

 国立大学法人法案および関連5法案は、5月16日の衆議院文部科学委員会において、審議が不十分のまま委員長の職権によって採決が強行されました。
 しかし、以下に見るように、国会では法案に関して政府の説明が破綻している点や、違法・脱法的行為が次々と明らかにされています。与党や政府の内部、また文科省の中からも、法案への批判や疑問の声が上がりはじめているのです。

 こうした事態を招いた責任を国大協執行部も負わねばなりません。国大協が法案の問題点を明確に指摘し、反対の態度を鮮明にすれば、政府内の矛盾がさらに顕在化し、「百年の計を誤る悪法」(民主党山口議員)を廃案にし、「百年に一度の大失敗」(保守新党熊谷代表)を回避することができるのです。


1.国会審議での目に余る政府答弁のデタラメさ

 法人化された場合、私たちは労働安全衛生法や労働基準法の適用を受けることになります。16日の委員会では、そうした法律に対応するための予算措置が全く考慮されていないことが明らかとなりました。文科省の河村副大臣は、後に修正したものの、来年4月の法人化スタートに間に合わない場合は、「補正予算を組んででも対応する」との発言までしています。

 また、施設改修などの具体的な計画や資料について、萩原文教施設部長は、「今日、調査を開始し」「今月中には報告できるようにしたい」と述べました。しかし、本来であれば調査の結果を待って委員会での審議がなされるべきで、文部科学委員会は無責任な採決を行ってはならなかったのです。

 さらに、この日の委員会で遠山文科大臣は、来年4月までに対策が終わらない場合、法人法を凍結するか、という民主党鳩山議員の追及に対し、国立大学は「現在でも人事院規則に違反している」と答えています。自ら法律違反の現状とその放置を認めているのです。文科大臣としての責任が問われる重大な問題発言と言わねばなりません。


2.政府や与党内部にも広がる批判、疑念

 こうした中で、保守新党の熊谷代表は、13日の定例記者会見で国立大学法人化法案を取り上げ、「...結果としてこれら大学の自治や学問研究の自立を損ない、官僚支配になってしまうのではないか」と述べています。また、「特にこれをこのままやると、天下り三倍増計画のような結果になってしまうのではないだろうかと。現場の委員の意見等や、各党の議論に参加している方々の話なども聞くと、皆さん、そういう感じを多少なりとも持っているようです。」とも述べ、「百年に一度の大失敗」となるのではないかと危惧を表明しています。

  また、文科省の若手官僚の中からも、この法人化法案に対する批判の声があがっていると聞きます。このことは、このまま来年4月に法人化すれば、大学は極めて深刻な危機に陥るという認識が政府や与党の内部にも広まっていることを意味します。


3.国大協はただちに総会を開き、「国立大学法人法案」に反対する意思決定を

 このように、法案について審議すればするほど、国の統制強化の問題や天下り問題、財政措置や評価の不透明さ、などが次々と明らかになっています。なにより、事実上来年4月の法人化スタートはもはや不可能であることが明白になっています。

 5月7日に法人化特別委員会の石委員長の名で、各大学あてに送付された「国立大学法人制度運用等に関する要請事項等について(検討案)」は、法人化以降に適用される諸法律について適用の"配慮"を求めるなど、違法・脱法的行為を国大協が率先して求めるというおよそ考えられない文書となっています。
 しかし、5月14日の文科委員会では、大石厚生労働省安全衛生部長が、「労働安全衛生法が適用になれば、免除ということは、何らかの法定事項がない限りはそういうことはない」と答弁しており、国大協が求める"配慮"は不可能であることが明らかとなっています。

 この国大協の文書については、日本国家公務員労働組合連合会や日本労働弁護団の弁護士からも、一様に批判の声が上がっています。国大協の文書は、全体としてみるなら、この法案が法として破綻していることを自ら明瞭に示しているのです。

  このように、違法・脱法的行為なしに来年4月から法人に移行することが不可能となっている状況を踏まえて、国大協としての態度を早急に決定することが必要ではないでしょうか。 
 また、北海道大学の辻下教授が呼びかけた「国大協会長・副会長の辞任と臨時総会開催を求める国立大学教員共同意見書」には、54の国立大学から248名の賛同署名が寄せられています。

 今からでも遅くはありません。
 国大協はこうした声にも応えて、ただちに総会を開催し、これまでの国会審議で明らかにされた諸問題について真摯な検討を行うべきです。その上で、国立大学の総意として、「国立大学法人法案」に対して拒否の意思を明確にすべきです。