トップへ戻る   東職HPへ戻る
独行法反対首都圏ネットワーク


特別決議

「有事法制」、大学法人化法など悪法の廃案を求める

ブッシュ米政権の戦争に日本国民を動員するものとして、国内外から批判が集
中している有事法制三法(安全保障会議設置法、自衛隊法改正、武力攻撃事態
法案)は、国会内で与党と民主党の修正合意により、衆議院通過という事態に
なった。しかし9割近い国会議員が賛成した「修正」によっても、法案の危険
な内容にはまったく本質的な変化がないのである。たとえば、「人権尊重」が
規定されたというが、与党側からは、法の執行に当たっては何ら「実害」はな
い、と公言されている。また国民の自由と権利の制約が「必要最小限」にとど
める、といっても、政府の恣意によって如何様にも解釈、運用できるものであ
る。

しかも「修正」は、「武力攻撃が予測されるに至った事態」でも本法制が発動
されることを容認するばかりか、武力攻撃と自然災害を同一視して対処させる
という非常に危険な本質を温存している。

このように本法制化案はいかに修正を施しても、「日本国民は、恒久の平和を
念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平
和を愛する諸国民の公正と信義にに信頼して、われらの安全と生存を保持しよ
うと決意した。」とする日本国憲法の原則に真っ向から違反するものである。

一方、国立大学法人化法案も、衆議院文部科学委員会での審議過程で指摘され
た種々の問題点について十分な討論を尽さないまま委員会採決が強行された。

法人化の企てに対しては、大学関係者のみならず、多くの有識者、市民から批
判の声が上がっている。現に、日本科学者会議が全面的に支援した「大学改革
を考えるアピール」にはすでに5000名に迫る賛同者が名を連ねている。また有
志がインターネットを通じて呼びかける「国立大学法人法案の賛否を問う国立
大学全体投票」には、3130名(5月16日現在)の国立大学関係者が投票し、実に
97.3%の人々が、“大学が行政と企業に従属し、憲法と教育基本法が保障する
研究と教育の独立性と公共性が損なわれるから”、“大学・部局・教職員間の
生き残り競争は、大学の使命遂行に必要な信頼関係を広汎に損うから”などの
理由で法人化反対に票を投じている。国会は主権者の声に謙虚に耳を傾け、真
に大学の自治、学問の自由を深化させる方向こそ追求すべきである。

また「個人情報保護法案」の今国会成立や教育基本法の改悪も目論まれている。
私たちは、科学と教育の発展と、永続可能な社会の確立を目指す立場から、今
国会に上程されている悪法をことごとく廃案にすることを強く求めるものであ
る。

2003年5月17日
日本科学者会議大阪支部第38回定期大会

--
Satoshi Iwamoto 岩本智之
iwamoto@rri.kyoto-u.ac.jp