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独行法反対首都圏ネットワーク

    衆議院文部科学委員会における強行採決を糾弾する

             ―理事懇談会は本会議への上程をとりやめるべきである―


                                                                        2003年5月17日
                                                                        独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局

  5月16日、衆議院文部科学委員会の古屋委員長は、職権によると称し、国立大学法人法案および関連5法案の採決を強行し、これら法案を衆議院本会議に上程するとした。

 しかし、以下に述べるように、16日の委員会審議においては、採決を行う前提条件が成立していないことが鮮明になったのである。

 第1に、遠山文部科学大臣には、国務大臣としての資格があるか甚だ疑わしいことが明らかとなった。

 (1)労働安全衛生法の適用問題を追及する民主党鳩山議員が、2004年4月までに対策が終わらない場合、この国立大学法人法を凍結するか、という質問に対し、国立大学は「現在も人事院規則に違反しているわけですから」と答えた。法律違反の現状を放置してきたと自認するなら、自らの文部科学大臣としての責任が問われると言わねばならない。

 (2)同じく、労働安全衛生法の適用について、共産党児玉議員の質問に対し、文部科学省は「違法状態にならないよう責任を持って努力する」と財源の裏付けを示さない答弁を繰り返した。児玉議員が「それは決意表明に過ぎない」と迫ったのに対し、遠山文部科学大臣は、大臣席に着席したまま、「いいじゃない」と開き直った不規則発言を行い、委員会室は騒然となった。これは法律を軽視する問題発言である。

 第2に、河村副大臣の答弁により、労働安全衛生法の規定する条件整備のための経費の手当てが未だ確定していないことが明らかとなった。

 民主党鳩山議員が、経費の手当について質したところ、河村副大臣は、2004年4月に間に合わない場合、足りない場合には、「補正予算を組んででもきちっと対応する」と発言した。この発言はのちに野党議員の追及によって修正されたが、補正予算編成の可能性に言及したことは、労働安全衛生法に対応する施設改善経費の手当てがまったく確定していないことを意味する。

 第3に、審議を行うための基礎資料が、5月末まで国会に提出できないことが明らかとなった。
 自由党佐藤議員が「改善の具体的な計画、資料を提出しなければ、審議・採決できない」という趣旨の追及を行ったのに対し、文部科学省萩原文教施設部長は「今日、調査を開始し」「今月中には報告できるように集計したい」とした。佐藤議員が述べたように、本来、資料が提出されてから衆議院で議論しても遅くはない。野党議員のすべてが主張したように、調査の結果を待って審議を続行するべきであり、委員長は資料が提出されないままに無責任な採決を行うべきではないのである。


 これらの点から判断すると、5月16日の委員会採決は実質的には無効であると言わねばならない。16日に採決を行うことは14日の理事懇談会段階での委員長判断(野党は反対)であり、16日の審議において新たな問題点が発生したのだから、採決の前提条件が変更されたということである。文部科学委員会理事懇談会は、事態を深刻に受け止め、委員会における採決の扱いについて再検討し、以下の措置をとるよう強く求める。

(1)法案の衆議院本会議上程を取りやめる、あるいは停止する。

(2)文部科学委員会を再開し、まず遠山文部科学大臣の発言「人事院規則に違反している」についてその真意を質すとともに、国政調査権を発動して、国立大学における労働安全衛生状況を把握する。

(3)5月末に文部科学省から資料提出があるまで、文部科学科学委員会での審議を続行する。