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独行法反対首都圏ネットワーク

        16日強行採決は絶対に認められない
           ―法案の基本問題はまだ何も審議されていない―


                                                 2003年5月15日
                                                独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局


 衆議院文部科学委員会における実質審議は始まったばかりである。それにも
かかわらず、5月14日の理事懇談会席上、文部科学委員会委員長は、職権で
16日に採決を強行することを表明した。しかしながら、委員会審議は法案の
内容を十分吟味しておらず、とりわけ以下の重要な論点については必要な議論
がまったく行われていない。これは、法案全体に対する賛否の問題ではなく、
それ以前に、法案そのものに明記されている2004年4月1日国立大学法人
移行がこのままでは適法的に行われえない、というきわめて重大な問題に関わ
るものである。


(1)2004年4月1日までに、労働安全衛生法を適用できる施設整備が可
能であるのか、可能であるとするなら、どのような実施計画であるのか、財政
的な保証を含め文部科学省が資料を示すこと。すでに2月19日の『読売新聞』
夕刊によると、文科省は昨年10月に調査を行い、およそ3分の1に不備があっ
たとされるが、これに対しどのような改善措置を取ったのかを示す必要がある。
また、改善措置のための経費は誰が負担するのかを明らかにすべきである。こ
の問題の議論を抜きにしては、適法的な形で法人の運営を開始することは不可
能である。

(2)法人移行にあたって、国立学校特別会計の債務償還計画を立案する必要
があるが、これまで債務償還がどのように行われ、そしてまた法人化後どのよ
うな償還計画が可能なのか。その資料を文部科学省が示す必要がある。文部科
学省がこれを示さなければ、移行の実現性、国立大学法人の健全な財務運営の
保証等に関する国会審議の前提が準備されない。とりわけ、われわれがすでに
公表した、「大学別国立大学特別会計借入金残高」の資料にあるように、国立
大学附属病院の債務(利子を含めおよそ1兆2千億円)の償還計画について厳
密な審議が必要である。文部科学省が1兆2千億円もの巨額の債務を国立大学
に承継させるのが法案の本質なのである。

(3)法人移行のための総費用は、国立大学ごとに、および国立大学全体でど
の程度の額になるのか、また、移行後の制度整備のために、どの程度の費用が
総額として必要となるのか、資料を示すべきである。前者の移行費用が保証さ
れなければ、2004年4月1日までの法人化は不可能であることを意味する。
また後者の費用が保証されなければ、法人の運営自体に支障をきたすことにな
る。

 以上、文部科学委員会は3点に関わる全資料の提出を求め、それに基づく審
議を16日以降行わなければならない。国会が国政調査権を発動して、法案が
適法的に実施できるかどうかを審議することは、国会の最低限の責務である。
その責務を放棄して強行採決を準備することなど絶対に許すことはできない。
すべての大学関係者は、16日の強行採決阻止、徹底審議の継続を、衆議院文
科委員会に要求しよう。