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独行法反対首都圏ネットワーク


平成15年5月12日

「国立大学法人制度運用等に関する要請事項等」について


千葉大学長 磯野可一殿
理学部長 小川建吾

 5月8日付けの上記の件に関しまして、国立大学協会資料「国立大学法人制度運用等に関する要請事項等(検討案)」(以下「検討案」と略)の各部局への配布、ならびに同資料に関する意見聴取の機会を作って頂きましたことに敬意を表します。

 理学部では、本年2月の「国立大学法人法案の概要」に関する意見聴取に際して、「概要」が"新しい「国立大学法人」像について"(いわゆる「最終報告」)において主張されている諸点と対比して、
(1) 設置者が国でなく法人になっている点。
(2) 教育研究評議会が、教育研究の根幹にかかわる事項の審議機関として位置づけられていない点。
(3) 学長選考における大学構成員の意向の反映過程が明示されていない点
など、根本的な不一致点を多く含んでいることを指摘し、国大協において緊急に検討し対応して頂きたい旨の意見を述べました。

 さらに2月28日に閣議決定され、現在国会にて審議中の法案には、上記の問題に加え、学部・研究科・研究所を省令での規定からはずされている、という大きな問題を含んでいることが判明しております。これらのことから、国立大学協会において臨時総会を早急に開催し、検討することが急務である旨の見解を理学部は表しております。
 したがいまして、今回の国大協法人化特別委員会から示された「検討案」には、大きな困惑を感じております。

  1.  国立大学協会の今までの了解とは異なる、大きな危惧を含んだままの法人化法案が審議されている現状で、国大協として問題点の検討を回避し、現法案にもとづく法人化を前提として、この「検討案」の作成にとりかかっていることに疑念を抱きます。現在、国立大学協会に望まれることは、法人化法案検討に関しての速やかな臨時総会の開催であり、そこにおける全国立大学の総意の確認であると思います。この過程を無視し、もっぱら法人化後の要請事項の検討に議論を集中させることは、国立大学協会としての責任回避ではないでしょうか。

  2.  「検討案」自体、法人への円滑なる移行を危ぶむような多くの問題点を含んでいるように思います。
     例えば、「II 法人への移行過程に関する事項」にある、労働基準法や労働安全衛生法の「運用上の配慮」とは、いわば教職員の基本的な諸権利確保に関して、違法状態の黙認要請ともとれるものです。本来は、労働基準法や労働安全衛生法の適用に充分耐え得る体制作りのうえでの法人への移行こそ、要望すべきです。
     「III 法人移行後の制度運用に関する事項」の9項目に関しましても、本来、これらの事項の保障が充分なされた法案であるべきです。したがって国大協としては、保障にたる法案であるか否かのはっきりとした意思表明のうえ、国会での厳正な議論を求めるべきではないでしょうか。
 昨年4月の国立大学協会会長談話にもあるように、"このような抜本的な制度改革の実施には、拙速はあくまで避けるべきであり"、ます。しかしながら国大協の現状は、このような拙速な判断をしつつあるのではないかとの不安を抱かざるを得ません。あらためて国立大学協会の臨時総会を開催し、法人化法案に対する総意を早急に明らかにすることを強く要望いたします。

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原文は下記千葉大理学部HPに掲載されています。(独行法反対首都圏ネット事務局)

   http://www.s.chiba-u.ac.jp/dokuhoka/030512ikensho2.html