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独行法反対首都圏ネットワーク

国立大学法人法案の慎重審議をお願いします 
 . 平成15年5月7日  dai 鹿児島大学理学部教授会 
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独行法首都圏ネット事務局です。

下記の情報提供がありました。ありがとうございました。

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本日(5月7日)開催されました鹿児島大学理学部教授会におきまして、「国立大学法人法案への対応」を議題として審議し、その結果、古屋圭司衆議院文部科学委員会委員長に要望書を提出することを決議しました。参考のために以下に要望書を添付します。


国立大学法人法案の慎重審議をお願いします


衆議院文部科学委員会委員長
古屋圭司 殿
委員各位

貴委員会におかれましては、国立大学法人法案の審議がなされておりますが、私ども、鹿児島大学理学部教員はこの法案についてたいへん憂慮しております。

これまでに各大学の教授会を含む数多くの団体と個人からこの法案の問題点が指摘され、反対、あるいは慎重な検討を要望する声明が出されてきました。鹿児島大学理学部でも

『新しい「国立大学法人」像について』に関する見解
http://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/jhsrc/opinion.html
(2002年5月15日)
でこの問題についての意見を表明してきました。

特に、その後の法案の具体的な条文については、中期目標を文部科学大臣が定め示すことが明らかになっており、私達の危惧が現実のものとなっていると考えています。この法案は、基礎科学、長いスパンの研究などを阻害し、地方国立大学の存立を危うくするものとならないか、また、このような環境の中で育つ学生が、自由に発想し、未来を切り開いていく知的創造力を持てなくなるのではないかなど、多くの疑念を抱かせるものとなっております。

貴委員会におかれましては、「教育は国家百年の計」であることを考慮され、なにとぞ、慎重な審議をしていただくようお願いいたします。

以下に、2002年の私達の「見解」を添付いたします。ご一読いただければ幸いです。

平成15年5月7日

鹿児島大学理学部教授会



(添付文書)


『新しい「国立大学法人」像について』に関する見解

鹿児島大学理学部教授会

2002.5.15

「国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議」は、さる 3月26日、『新しい「国立大学法人」像について』(以下、「最終報告」)を公表しました。 4月19日の国立大学協会の臨時総会は、この「最終報告」に基づいて「法人化の準備に入る」とする会長談話を賛成多数で採択しています。

私達は、この「最終報告」は、(1) 大学の管理・運営方式、(2) 研究計画の立案、(3) 教職員の身分等に関して、重大な問題を孕んでいると考えます。 私達は、今後、国会等において、国立大学の「法人化」や国立大学の教職員を「非公務員型」にすることの是非を含めて十分な論議が尽くされること、「法人化」を進める場合には、以下の事を関係諸機関に要望します。

1. 大学の目的は何か、原点に戻って考察すること。そして、これに基づいて、教育と研究の論理により、大学の「法人化」を検討すること。

2. 「学問の自由」、および、それが機関という形態をとったものとしての「大学の自治」の原則を確認し、このことに関連する憲法・教育基本法の各条項を堅持すること。

3. 国の高等教育への財政責任を法律で明記すること。

4. 国立大学の教職員は公務員とすることを基本とし、「非公務員型」とする場合は、教育職員の身分に関することは、その職務の特殊性に基づき、「教育公務員特例法」に代わる法律によって規定すること。

5. 大学の意思決定機関や審議機関に学外者を参加させる場合、その人選は、大学が自主的・自律的に行うことができる制度にすること。

6. 学長を含む役員会(仮称)のメンバー、および監事の選考と罷免の方法については、「大学の自治」の原則に基づき、それぞれの大学が独自に定めることができる制度にすること。

7. 学長、部局長、および評議会(仮称)、運営協議会(仮称)のメンバーの選出は、民主的手続きに基づいて行うものとすること。
8. 学長、役員会(仮称)、および運営協議会(仮称)は、評議会(仮称)の審議を最大限尊重して、大学運営にあたるものとすること。

9. 「中期目標」、「中期計画」を最終的に文部科学大臣が認可する制度は、息の長い研究の推進が可能な環境のもとで、自由で多様な、独創性ある発想により、自律的に追求されることによってこそ大きな成果が期待できる基礎科学研究には、そもそも馴染まないので、再考すること。

10. 適正な評価システムを確立すること。例えば、すぐに目に見える成果に結びつかないような基礎科学研究が適正に評価されるよう、特別な配慮が必要であると考えます。そのために、評価基準、評価結果を公表するとともに、評価結果に対する異議申し立ての権利を保障することを法律に明記すること。