独行法反対首都圏ネットワーク |
5.6国大協法人化特別委委員会配付資料について 2003年5月8日 独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局 ○ 5月6日に開催された国大協法人化特別委員会では、以下に添付するA,B, Cの3つの文書と「第13回国立大学法人化特別委員会(議事録メモ)」(首都圏 ネットワーク事務局より配信済み)が配布された。 ○ Bは、「15.4.17法人化特委資料3」(首都圏ネットワーク事務局より配信済 み)の修正版である。 ○ Cは、6月定例総会において確認しようとしている「法人化後における制度運 用等に関する政府等への要請事項を盛り込んだ総括的国大協見解」(文書A)の案文 である。この文書は、(1)2004年4月法人化が経過的措置と称する違法・脱法 措置抜きには実施し得ないこと(IIの1参照)、(2)2004年4月法人化が財政 的にも実施不可能なこと(IIの3,4参照)、(3)「法案」が国立大学側の主張・ 要求に全面的かつ本質的に背反していること(IIIの全項目参照)、を示している。 これらの文書についての詳細な分析は、追って首都圏ネットワーク事務局から発表す る。 ○ Cと対応して、各大学へのアンケートが近日中(7日あるいは8日とも言われ ている)に発送され、17日までに回答するよう求められるとの情報がある。 【A】 《資料1》 国大協企第11号 平成15年4月28日 各会員校代表者殿 国立大学協会副会長 国立大学法人化特別委員会委員長 石 弘 光 「国立大学法人法案」に対する見解の送付等について 去る4月17日に開催された本特別委員会の議事メモは、既にお属けしましたが、議題 の中で、その一部を修正することとして了承された標記見解の一部修正を確定しまし たので、送付いたします、 なお、去る2月24日に開催された理事会では、国立大学法人法案の概要に対する本特 別委員会の見解について、全体として了承し、「法案」が国会に提出された後にその 内容を改めて点検し、問題があれば国大協としてしかるべき対応を取ることもある、 とされております。一部の会員代表者から、この理事会の議に関し、当然臨時の総会 等を関くのではないか、とのご意見も伺います。しかし、今回の本特別委員会で、 「法案」について点検の結果、特別の問題がないとの判断が示されたことにより、法 案については国会での審議を見まもることとして、臨時の総会等は関催しない方向と なっております。 したがって、本特別委員会としては今後、4月17日の本委員会で会長が発言された今 後の進め方案に沿って、6月の総会に向けて、国立大学法人化に関する国大協のこれ までの取り組みの総括と、法人化後における制度運用等に関する政府等への要請事項 を盛り込んだ総括的国大協見解をとりまとめる予定であります。その過程において各 大学のご意見も伺うこととしておりますので、ご協力のほどお願いいたします。 ****************************** 【B】 《15.4.17法人化特委資料3(修正版)》 「国立大学法人法案」に対する見解 15・4・17 法制化対応グループ 1.はじめに 政府は、本年2月28目に「国立大学法人法案」(以下「法案」という。)を閣議決定し 国会に提出した。これに先立ち、国立大学法人化特別委員会は、「国立大学法人法案 の概要」(以下「概要」という。)が、国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討 会議によりまとめられた「新しい「国立大学法人」像について」(以下「最終報告」 という。)の描く国立大学法人像に沿って立案されているかどうかという観点から検 討を行い、結論として「概要」は、「最終報告」から変動した点もいくつか見受けら れるが、その基本的な枠組みは、実質的には「最終報告」の趣旨を踏まえそれを体し たものとなっていると認められるとする報告を公表したところであり(平成15年2月20 日付、「国立大学法人法案の概要」に対する見解)、この報告は2月24目の国立大学協 会理事会において了承された。以下では、法制化対応グループにおいて、このたび提 出された「法案」と「概要」との間の相違点について、見解の整理を行った。 2.「概要」との相違点 「概要」は、法案策定作業の途中段階における内容を示すものであったが、「概要」 では「学部・研究科・附置研究所・附属学校(=各法人の業務の基本的な範囲)は省令 で規定する」こととされていたのに対し、成案となった「法案」では、学校教育法の 体系上国立学校と位置付けるために法令上の設置根拠を要する附属学校は別として、 学部、研究科及び附置研究所については特段の法令上の定めを置かないこととされて おり、この点が唯一の相違点である。 3.評価 「最終報告」においては、学部等の組織はその性格上各大学の業務の基本的な内容や 範囲に大きく関わるものであり、あらかじめ明確にしておく必要があることから、 「法令(具体的には省令)等で明確化する方法を工夫する」と提言されていた。これを 踏まえて、「概要」段階においては、学部、研究科及び附置研究所を文部科学省令で 規定するとしていた。これに対して、「法案」では学部等の組織を法令で規定しない こととしたため、国立大学法人の業務の中核である教育研究の基本的な内容や範囲を 明確にすることによる国の責任が不明確になるのではないかという問題が指摘されて いる。しかし、このような国の責任は学部等の組織を中期目標に記載することとすれ ば同様に果たされるものと考える。 さらに,このような学部等の組織の取扱いについては、組織編制は各法人の裁量を尊 重するという独立行政法人制度の趣旨を踏まえたものであり、文部科学大臣が制定す る省令よりも各国立大学法人の意見に配慮して策定する中期目標において記載する方 が、実際に教育研究の実施に当たる各国立大学法人の自主性・自律性を尊重すること になるとも考えられるところである。 したがって,法制化対応グループとしては、この点についても「法案」は実質的に 「最終報告」を踏まえていると判断してよいと考え、「法案」化に当たって特別な問 題点は生じていないと評価するものである。 ********************** 【C】 《資料2》 国立大学法人制度運用等に関する要請事項等(検討案) 15.5.6 T 明確な内容の政省令等の制定実現 @国立大学法人評価委員会に関する規定その他、国立大学法人法の施行に必要な政省 令等の詳細制度設計については、早めに国大協に相談すること。 A政省令等の確定にあたっては、国立大学法人法の立法の趣旨に則り、国立大学にお ける教育研究の特性に配慮し、国立大学法人の自主性・自律性を十分に尊重した、明 確かつ一義的な規定とすること。 U 法人への移行過程に関する事項 1 各種法令の適用に関する運用上の協力と配慮 国の組織から国立大学法人へ移行することに伴い、労働関係法規、医療機関に関する 法規をはじめとする各般の法令が新たに適用されることとなるが、関係行政庁への各 種届出義務に関する規定及びこれに関連する罰則規定の適用をはじめとする諸法令の 適用に関しては、当面は、各大学が法人化へ移行する経過的期間であることに鑑み、 その準備が整うまでの一定期間、弾力的な運用が図られるよう、例えば以下のような 点で、関係行政庁の十分な協力と配慮が必要であること。 ・労働基準法に基づく関係行政庁への各種属出義務に関する運用上の配慮 ・労働安全衛生法の適用に関する運用上の配慮 ・ 法人化に伴う関係行政庁への医学部付属病院の開設承認再申請の免除 2 事務系職員の適切な人事交流システム構築への協力 ・法人の人事権のもとに、事務系職員の人事交流による人材活用と職場の活性化をは かるための適切な人事交流システムの構築への協力等 ・各法人の人事権のもとでの文部科学省などの国の機関との人事交流・異動の円滑な 実施 3 法人への移行に伴う新たな必要経費の確保 ・労働安全衛生に対する計画的な対応への必要経費、財務会計システム等の構築のた めの経費、各種手数料、監査に要する経費などの確保 ・出資財産(士地・建物等)の確定・整理・評価・登記に伴う諸経費の確保 ・労災保険、雇用保険、各種損害保険等の保険料、事務系職員の採用試験実施経費な ど、法人化に伴う必要経費の確保等 4 国による各種損害の補填システムの整備 ・自然災害及び火災等による被災施設等の復旧補填システムの確立(施設災害補助金 等) ・医療過誤や医療事故その他教育研究中の事故等による賠償責任システムの確立(賠 償金等) V 法人移行後の制度運用に関する事項 1 高等教育への公財政支出の充実 ・中教審で検討中の高等教育のグランドデザインに基づく公財政支出の拡大と充実 ・墓盤的研究・基礎科学的分野への基盤経費の確保 2 法人の財政的な自律性を高める観点からの適切な運用 ・積立金の運用等に関する法人の経営努力の幅広い認定 ・剰余金処理にかかる承認における法人の立場の最大限の尊重 ・教育研究の特性を十分に配慮し効率化係数等による一律の運用運営費交付金減額措 置の排除 ・特定運営費交付金等の公費の積算及び交付評価基準の明確化並びに透明化 ・施設の維持・保全に要する経費の運営費交付金への反映 ・付属病院施設整備に当てる資金の国立大学財務・経営センターからの円滑な借り入 れ措置 ・財産処分に際して国立大学法人の自己収入化できる範囲への配慮 ・収益を伴う事業実施に関する法人の判断の尊重 ・寄付金税制を含む現行の税制面での取り扱いの継続 3 文部科学省の国立大学法人行政体制の整備等 ・法人化された国立大学に対する大学の自由度を尊重した文部科学省の新しい行政体 制等の整備 ・中期目標・計画を前提とした事後評価を尊重する具体的な事務処理体制の整備 ・概算要求作業の簡素化等新しい関係における国立大学の事務負担の軽減 4 中期目標・中期計画における大学の自由度の尊重 ・大学の特性を踏まえ数値目標など詳細な内容指示の排除 ・中期目標・計画、年度計画などについて大学の自由度を最大限尊重 ・計画期間中における計画変更を容易にする運用 ・中期目標に記載される学部、研究科、研究所の目標期間中の変更を容易にする運用 5 国立大学法人評価委員会等による評価とその評価結果の活用方法 ・国立大学における教育研究を伸張する適切な評価の実施 ・膨大なエネルギーの消費、教育研究の前進に向かう余力を喪失させない評価方法の 実施 ・評価結果に対する大学の意見申し立て等の制度化 ・評価結果の資源配分活用への慎重な配慮 6 大学の自主・自律性の最大限の尊重 ・役員(理事)の併任、数等の柔軟な運用 ・大学教員に対する裁量労働制、ワークシェアリングの導入の早期実現への取組み 7 授業料の適切な標準額の設定等 ・我が国の高等教育政策の一環として、国立大学の存在意義を踏まえた標準額等の設 定 ・標準額を超えて授業料を設定した場合の運営費交付金での適切な取り扱い 8 国立大学の特性を踏まえた国立大学行政の確立 ・教育研究の特性に配慮した適切な法律等の運用 ・新連合組織(新国大協)と文部科学省との定期的な意見交換システムの構築 ・監事等の選任における大学の自主性の尊重 ・独立行政法人通則法の準用規定の大学への適切な適用 9 その他の要望 ・科学研究費補助金等の競争的資金(間接経費)の弾力的運用(繰越の許容等) ・寄付金(使途不特定)の弾力的運用(繰越の許容等) ・法人化後における会計検査院との関係の明確化(計算証明、実地検査等) |