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独行法反対首都圏ネットワーク

【大学の将来を考える---国会議員と大学教職員による討論の集い】のご案内
---いま、国会で審議中の「国立大学法人法案」を考える---

 
日時:5月7日(水)16時45分〜19時 場所:衆議院第二議員会館 第一会議室

                                                         2003年4月24日
                              独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局


 ご存じのように、現在開かれている国会ではさまざまな重要法案が提出され、審議
がすすんでいます。その中で、マスコミなどで取り上げられる機会は多くはありませ
んが、「国立大学法人法案」という重要な法案が4月半ばから衆議院の文部科学委員
会で本格的な審議に入っています。

 この「国立大学法人法案」は、現在のように、国立大学を国が直接設置することを
やめ、そのかわりに国立大学法人が大学を設置する間接方式へと変更するものです。
ご承知にように、その国立大学法人という組織の枠組みを決めているのは「独立行政
法人通則法」という法律です。

○国立大学は特殊法人でしょうか

 この「独立行政法人」という制度は、もともとは行財政改革の流れの中から生まれ
た制度です。また、最近では特殊法人を改革する手段としても活用されようとしてい
ます。しかし、国立大学の改革を他の行政組織と同様に、また「特殊法人」と同様の
手法で行うことには、相当の無理があるのではないでしょうか。

 例えば、『週刊新潮』の4月24日号で中西輝政京都大学教授が、「文科省は大学と
日本道路公団を同列視している」と憤り、「教育、研究に全く思いを致さないで、独
法化で改革のアリバイ作りをしているのです。」と述べておられます。同じ号で、岩
手県立大学学長(元東北大学長)の西沢潤一氏は、「文科省は確実に大学の自治を取り
上げ、予算も握るわけです。儲からない研究はダメだという姿勢では、基礎学問がな
くなります。」と書かれています。

 また、加藤寛千葉商科大学長も遠山プランについて、かつて「なぜ、文科省は、こ
んな筋違いな政策を掲げるのか。教育改革はあせってはいけない。確実に大学改革は
進み、大学間統廃合ももう目前である。そこにはひとりでに充実した大学のみが残っ
ていくのであり、国がそれを主導するなどという明治政府のような過ちをおかしてほ
しくない。 国が介人すれば必ず教育は崩壊し研究水準は落ちていく。」(『日本経
済新聞』2001年9月8日)と述べられ、この改革は小泉改革にも逆行している、として
おられます。

○法人化には莫大な費用がかかります

 一方、本来の行財政改革の観点からみても、「法人化」には移行のための莫大な費
用がかかります。資産評価のための費用や各種保険料の負担、新たな会計システムの
導入や会計監査のための費用などが発生します。

 また、労働安全衛生法を適用することになり、作業危険性のある化学、機械、電気、
土木・建築、医学、生物、薬学、農学など理系のほぼ全ての分野に関連することにな
ります。特に化学関係の分野はもとより、化学薬品を取り扱う生命・生物、医学、農
学、電気などの分野で多くの問題に対処しなければならないことが想定されます。日
本化学会(野依良治会長)は、昨年、組織の整備と予算措置が必要であるとの提言を行っ
ています。

 現在のところこうした財政的な負担は、大学の教育研究のための費用を犠牲にして
まかなわなければならないと言われています。これに加え、移行のための準備作業に
よって大学本来の教育研究が大幅に停滞することも、教育と研究の現場では深刻に懸
念されております。

○大学問題は法人化によらず解決可能です

 各方面から指摘されるとおり、現在の大学には教育や研究を遂行する上でいろいろ
な問題・早急に解決されるべき問題があることは、私たちも日々大学の現場で痛感し
ています。しかし、そうした問題の多くは、「法人化」という制度の改革や一律の組
織変更によらなくても解決できる部分が多々ある、---これは私たちが実感するとこ
ろでもあります。

 東京大学の小間前副学長は、昨年末に行われた東大の運営諮問会議において、「現
在の国立大学の枠組みがもうあと10年続けば、日本の国立大学はいくつもの分野で1
位、2位に上がるようなアクティビティーがあったにもかかわらず、国の方針で法人
化ということになった」と述べています。(『学内広報』No.1261)実際、ここ10年
間の実績で物理学では東大が、材料科学で東北大が世界一位になったと報じられてい
ます(『日本経済新聞』4月8日)。

○教育は「国家百年の計」です

 いま、国立大学の教職員は、「2004年度から法人化スタート」という文部科学省の
要請の中で、大きな不安と先行きの不透明感を抱えながら、数次にわたる中期目標・
中期計画の策定や 承継物品目録の作成など、さまざまな準備作業に追われています。その
中で見えてくることは、この「法人化」はひとり国立大学だけの問題ではなく、日本
の大学全体、高等教育全体に関わる事柄であり、「国家百年の計」といわれる教育問
題であるということです。

 こうした私たち大学教職員の思いを、国会で審議中の「国立大学法人法案」のあり
方を出発点としながら、ぜひ国会議員の方々を交えて話し合いたいと考えています。
「国立大学法人法案」に賛成であっても、反対であっても、一国の高等教育や学問研
究の将来は、経済への貢献や運営の効率性などとはひとまず独立して幅広く検討され
るべきではないでしょうか。

○国立大学の改革は全会一致で行われるべきです

 また国立大学の改革の問題が「国家百年の計」にかかわる問題であるなら、本来、
法案への賛成・反対が二分している状況はけっして望ましいものではありません。大
学改革は、与野党のすべての議員の方々や国民から支持されるものであるべきだと考
えます。

 法案審議の現場におられる衆議院文部科学委員会および参議院文教・科学委員会の
議員の方々、また日本の高等教育、大学政策に関心をお持ちの議員の方々など、多く
の国会議員の方々からのご参加を、心よりお待ち申し上げております。

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【大学の将来を考える---国会議員と大学教職員による討論の集い】
 ---いま、国会で審議中の「国立大学法人法案」を考える---

 日時:5月7日(水)16時45分〜19時
 場所:衆議院第二議員会館 第一会議室
 主催:独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局
 連絡先:電子メール  renrakukai@u.email.ne.jp
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