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東大・阪大の名門研究所に組織見直しで「注文」 文科省 
 .『朝日新聞』2003年4月24日付 
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『朝日新聞』2003年4月24日付

東大・阪大の名門研究所に組織見直しで「注文」 文科省

 
 東大や大阪大に所属する名門研究所に24日、文部科学省の審議会から「活
動が十分に見えない」「このままでは期待される役割を果たすのは難しい」な
どと目に見える成果を出すよう厳しい注文がついた。国立大学の研究所は、0
4年度に予定されている大学の法人化を控えて、存在理由が洗い直されている。
自己変革が進まなければ、名門研究所でも生き残りが難しい情勢だ。

 科学技術・学術審議会の学術分科会(分科会長・小平桂一総合研究大学院大
学長)が、全国20大学に置かれている58研究所の見直しについて報告書を
まとめた。時間の制約から9研究所から説明を聴き、6研究所について問題点
を指摘した。

 「活動が十分に見えない」と酷評されたのは、東大社会情報研究所と大阪大
社会経済研究所。他の研究所が外部機関に評価してもらった結果を受けて自己
変革をしようとしているのに、「組織の見直しが長い間、行われていない」と
した。

 東大社会情報研究所の教官数は14人。報告書は「小さな組織では、法人化
後、役割を十分に果たすことは難しい」と、同研究所が方針としている大学院
への転換を支持した。

 同研究所は、1949年に設置された新聞研究所が前身で、マスコミ研究の
総本山ともいうべき存在。日清、日露戦争から第2次世界大戦中の新聞号外約
800点、第1次世界大戦期に欧米諸国で戦時宣伝用に作られたポスター約6
50点なども保存。教育部では、ジャーナリズム教育をしている。

 大阪大社会経済研究所は、近代経済学の中心的研究者が集まっていることで
知られる。今回の見直し作業中から「廃止されるのではないか」と心配の声が
出たり、大学内の他の研究所との合併案が浮上したりした。

 東京工大原子炉工学研究所は、加速器や原子炉関係の実験室が多く、日本の
原子力産業に多くの人材を送り込んできた。しかし、報告書は「研究分野を見
直して、役割をはっきりさせるよう」指摘。「このままでは存続できませんよ」
と言わんばかりの記述だった。

 東大史料編さん所は、全国の研究者が利用できる「共同利用化」が提案され
た。教官数19人の富山医科薬科大和漢薬研究所は「地元の期待が大きいので、
大学の取り組みを見守る」と時間的な猶予をもらった。京大木質科学研究所は、
再編・統合の構想があり、検討を続けるよう求められた。

 報告書は、他の付置研究所にも同様の問題がある可能性があるとしている。