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独行法反対首都圏ネットワーク

大学はどうなる 法人法案批判《4》 教職員の解雇を容易に 
 2003年4月22日(火)「しんぶん赤旗」. 
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2003年4月22日(火)「しんぶん赤旗」

大学はどうなる 法人法案批判《4》 教職員の解雇を容易に
「学問の自由」をゆるがす
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 国立大学法人の教職員を非公務員とするため、国家公務員法の関係条項や教育公務員特
例法(以下、教特法)の国立学校への適用を廃止する法案も、国立大学法人法案とセット
で提出されています。
 教特法には、(1)大学教員の採用・昇任は教授会が決める、(2)教員は評議会(教授会)
が認めなければ、意に反して転任・降任・免職されない、などが規定されています。これ
は、学問の自由と教育の自主性を大学において実現するため、教員の身分を尊重し、ふさ
わしく処遇する趣旨で制定されたものです。

身分保障制度が崩壊

 対象は国公立大学の教員ですが、少なくない私立大学では学内規定にとりこんで準用さ
れています。教特法の適用が廃止されれば、私立もふくめて大学教員の職務にふさわしい
身分保障制度が崩れることになり、大学の教育研究に深刻な悪影響をおよぼします。
 ミミズの研究で著名な中村方子さんは、大学在職中、枯葉剤が生態系に悪影響がないこ
とを立証しようとする上司の研究への協力を断りました。そのために十五年間も研究を干
された経験をふりかえり、「私は、教育公務員特例法に守られ、首にはならなかった」と
語り、法人化への危ぐを表明しています。これまでも、一部の私立大学では教員の不当解
雇事件がおきています。
 国立大学法人では、教員人事の手続きを教育研究評議会で審議し、学長が定めます。だ
れを教員に採用し、昇任させるかを、一部の教員や学外者でつくる人事委員会が決める、
あるいは学長が自らの意向で決めることになれば、公正な人事が行われなくなる恐れがあ
ります。

自主性・創意性を失う

 法人化によって、教員への任期制の導入が全国の大学にひろがる問題もあります。任期
制とは、大学教員を三〜五年の任期を定めて採用し、任期がきたら失職、その後も再任す
るか否かは業績評価で決めるという、いわば「合法的な解雇制度」です。すでに、文科省
は、中期計画で「任期制の導入に関する具体的方策」を決めるように、各大学に指図して
います。
 これまでの国家公務員削減によって、大学職員が大幅に減らされ、事務、技術、図書館
、看護などの職員が過密労働を強いられています。公務員の身分を失えば、人員削減や外
部委託がすすみ、教育、研究、医療を支える業務に支障をきたす恐れがあります。
 しかも、今国会に提出された労働基準法改正案は、労働者を保護するという法の精神に
反して「労働者を解雇することができる」とするなど、使用者の「解雇の自由」を認める
ものです。これが成立して教職員にも適用されれば、非公務員化の措置とあいまってリス
トラ・解雇が横行しかねません。そうなれば、教職員の自主性、創意性が失われていき、
教育研究の発展を望むことはできません。(つづく)
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