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独行法反対首都圏ネットワーク

国立大学法人法案に反対し、廃案を求める決議 
 .003年4月16日山形大学職員組合人文支部 定期総会 
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◎国立大学法人法案に反対し、廃案を求める決議◎

2003年4月16日
山形大学職員組合人文支部 定期総会

 4月3日に衆議院本会議において趣旨説明が行われ、4月16日より文部科
学委員会において審議に入った「国立大学法人法案」(以下、法案と略)
は、下記の点で重大な問題をはらんでおり、私たち山形大学職員組合人文
支部は、この法案をとうてい認めることはできない。

1.「国立大学」の設置者の変更と国による財政保障の曖昧化

 法案は、2002年3月に提出された調査検討会議最終報告「新しい『国立
大学法人』」像について」(以下、最終報告)で示された国立大学の設置
者を国とする方針を放棄し、設置者を「国立大学法人」に変更している。
これによって、大学法人の財政上の自己責任を強化する方向を打ち出し、
国の財政的措置責任を曖昧にしている。その結果生じるのは、授業料の値
上げや学部間格差の導入など、全国一律の授業料制度の崩壊である。それ
は、教育の機会均等を保障してきた地方国立大学の使命を危険に晒すもの
である。

2.教育・研究活動に対する国の統制の強化

 法案は、最終報告において示されていた大学の自主性・自律性保持の視
点を放棄し、独立行政法人通則法(以下、通則法)を大幅に準用して、国
立大学に対する統制を強化するものである。法案30条において、大学法人
は、中期目標を文科大臣から示され、それに基づいて中期計画を作成し、
大臣の認可を得るとされているが、中期目標を定める際、大学が作成した
原案を「尊重」するというスタンスは放棄され、大学からの「意見」は
「配慮」される程度でしかなくなっている。

 そして、大学法人における業務の評価は、文部科学省に置かれる「国立
大学法人評価委員会」が行うとされるが、組織や委員など詳細については
政令で定めることとされ、その内実は不明確なものになっている。さらに
重大なことは、通則法第35条の準用により、中期目標終了時には「業務を
継続させる必要性」まで踏み込んだ評価を受け、総務省の審議会が、「事
業の改廃」をも文科大臣に勧告しうることである。
 このように、法案では、現在の国立大学よりも幾重にも国からの統制が
強化されている。それは、教育基本法第10条(教育への行政の不介入)に
も、憲法第23条の「学問の自由」にも抵触するものであり、大学の自律性
は完全に空洞化する危険をはらんでいる。

3.学長への権限集中とトップダウンの運営

 法案は、評議会・教授会を中心とする現行の大学運営システムを改変
し、学長を中心としたトップダウンの運営をもたらす。

 法案では、教育研究評議会の審議権は教学に限定され、教育研究活動の
遂行において不可欠な「予算の作成、執行並びに決算に関する事項」「当
該国立大学、学部、学科その他重要な組織の設置または廃止に関する事
項」は除かれている。他方で、経営協議会には、教育研究評議会には与え
られていない「予算の作成及び執行並びに決算に関する事項」、組織及び
運営の状況について自ら行う点検及び評価に関する事項」などの審議権が
付与されており、しかもそのメンバーの半数以上が学外者でなければなら
ないとされている。そして、全ての意思決定と執行は役員会が握り、しか
も学長は、以上の法人組織の委員を任命し、主宰するとされている。さら
に、省令による「学部及び研究科等」の設置に関する条文がなくなり、学
部・学科・研究科等の設置、改廃等は役員会の決定に基づいて行われると
されている。しかも、学校教育法第59条1項において、「大学には、重要
な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」とされている
にもかかわらず、法案では「重要な事項を審議する」組織としての学部教
授会の規定も欠落しているという問題がある。

 このように、法案では、現行の大学運営システムが改変され、学内民主
主義が空洞化するとともに、学長・役員会・経営協議会によって、専ら
「経営」の観点から、重点投資と研究教育分野のスクラップ・アンド・ビ
ルドが進められ、基礎的研究分野の衰退がもたらされる危険性がある。

4.非公務員化による教職員の労働条件の悪化

 法案によって、現在国立大学で働く約12万人の教職員は、公務員ではな
くなり、法的な身分保障は一方的に奪われることになる。そして、教育公
務員特例法の改正により、教員がその適用対象から外れることは、教育・
研究活動の安定的基盤を失わせることになる。また、この「非公務員化」
は、人件費を含めた運営費交付金の仕組みと合わさって、業務の外注化に
よる人件費削減の促進や、大学運営を支えている多くの定員外職員に対す
る解雇圧力を強めるであろう。その結果、大学の労働条件はますます悪化
することは必至であり、大学における教育研究活動が大きく阻害される危
険がはらまれている。

 以上のような重大な問題を孕んだ国立大学法人法案に、私たち山形大学
職員組合人文支部は強く反対する。そして、国会における法案の徹底審議
とともに、廃案を訴えるものである。

<以上>

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〒990-8502
山形市小白川町1-4-12 山形大学人文学部
山形大学職員組合人文支部
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