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『徳島新聞』社説 2003年4月7日付 大学破たん 地域密着で魅力づくりを 大学の破たん時代が訪れようとしている。少子化などで私立大の約三〇%が 定員を割る中で、広島県内では、卒業生を出さないまま破たんが表面化した大 学もある。一方で、大学全体の数は毎年増え続けており、今後、大学間で学生 の奪い合いが激しくなり、「倒産」する大学も出てきそうだ。 有名大学も安閑としていられない。来春に予定される独立行政法人化に伴い、 国立大も経営が傾けば消滅せざるを得ないだろう。研究機関としての役割の一 方、地域に密着した魅力的な大学づくりへの努力が求められる。 文部科学省私学行政課によると、大学数はこの十年間で毎年十数校から二十 数校ずつ増加し、二〇〇二年度は六百八十七校となった。 日本私立学校振興・共済事業団のまとめでは、定員割れの私立大は一九九八 年までは四十校未満だったが、九九年八十九校、二〇〇〇年百三十一校、〇一 年百四十九校と増加。〇二年は全体の28・3%、百四十三校となった。 定員充足率が70%未満の私立大は五十校で、〇一年より五校増えている。 短大では〇二年度までの三年間に、九校が廃校を前提に学生募集を停止し、〇 三年度も四校が募集停止した。 「経営危機」は公立大の一部でも表面化している。横浜市の有識者懇談会は 二月、横浜市立大について、累積負債が一千億円超に上っているとして、改革 による存続や売却、私立大への転換のほか、「廃校」も選択肢に入れた答申を 出した。答申は「現状のままで存続する道は全く考えられない」と、危機感を 強く訴えている。 大学開設は、教員確保やカリキュラム内容、施設や設備面などが一定レベル に達していれば認可される。このため文科省の設置審査は経営面については チェックが甘いとの指摘がある。 大学が倒産しない時代ではない。私立大も国公立大も経営刷新し、いかに魅 力をつくるかが問われている。 |