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独行法反対首都圏ネットワーク

国立大法人化 転機を生かし改革進めよ 
 .『沖縄タイムス』社説  2003年4月13日付
 

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『沖縄タイムス』社説  2003年4月13日付

国立大法人化
転機を生かし改革進めよ


 国立大を法人化し、社会に「開かれた大学」を目指す法案が今国会で審議さ
れている。

 文部科学省が握っている予算や人事、組織の規制を緩め、大学自治や学問の
自由を広げるのが狙いだ。

 とはいっても、肝心の交付金配分のあり方や大学評価は、これから検討され
る。法人化が、本当に大学の自主性・自律性を高めるのにつながるかどうかは
未知数だ。

 法人化は来年四月に迫り、各大学の取り組みも追い込みに入っている。大学
法人の徹底論議のないまま見切り発車の形となるが、一方で大学の裁量も広が
るのは事実である。

 意思を決定する役員会も新設され、大学経営にかかわる審議機関には過半数
の学外委員を取り入れる。

 学生の教育と、大学の管理運営が組織上も明確に線引きされる。経営協議会
に学外委員を多く配しているのは、社会に開かれた大学づくりを意図するとと
もに、民間のノウハウを経営や管理面に活用する狙いだろう。

 学外委員に地域の幅広い分野からメンバーを集められるか、大学の姿勢と力
量が問われよう。

 大学は、組織の再編に知恵を絞るなど、新たな時代の大学づくりに力を注が
なければならない。従来の受け身のあり方にとどまることなく積極的姿勢への
転換が迫られる。

 法人化による新システムは、学長に権限を集中させてトップダウンの迅速な
意思決定も特徴となる。それでも大学自治のためには、教育現場の意欲を高め
その活力を取り込むシステムが鍵を握るに違いない。

 大学の自主性、主体性が広がるのに伴って、一方で責任が重くなることも忘
れてはならない。

 少子化が進み学生の数が減る厳しい状況で、法人化に向けたこの一年の取り
組みが、大学の将来に影響することになるだろう。

 法人化は国立大にとって転機である。好機を逃さず将来の大学像を構想し独
自の改革を進めてもらいたい。