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独行法反対首都圏ネットワーク

☆国立大学法人―自己責任の時代だ 
 .朝日新聞ニュース速報 03/03/27
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国立大学法人―自己責任の時代だ


朝日新聞ニュース速報

 国立大学法人法案の審議が国会で始まる。全国の国立大学を来年4月をめどに
 政府の行政組織から切り離し、自立性の高い法人にしようとするものだ。
 ねらいは、各大学にみずからの将来像を描かせ、研究や教育に責任を持たせる
 ことにある。89の大学がそれぞれ個性を発揮するようになれば、基礎研究、
 先端技術の開発、人材育成など様々な分野で大学の存在意義が高まろう。
 だが、それにはいくつか課題がある。
 法人化に伴い、どういう人を学長に選ぶかが従来よりも飛躍的に重要になる。
 基礎研究に力点を置くのか、産学連携で研究大学をめざすのか。学生への教育
 をどこまで重く見るか。授業料をいくらにするか。研究、教育から経営の分野
 まで、強力な権限を握る学長を中心とした執行部の方針で大学は動くことにな
 るからだ。
 教員も職員も、自分たちの大学のあるべき姿を真剣に考えながら、学長の選考
 に参加すべきだろう。
 学長によって任命される「学外者」の役割も重要だ。経営に携わる経営協議会
 の委員の半数以上は学外から選ばれる。社会に開かれた大学をめざすには、幅
 広い人材を集めることが大切だ。そうでなければ、社会からそっぽを向かれて
 しまう。
 学長権限の拡大が独走につながらないような工夫も必要だ。各大学に意思決定
 の過程や財務状況を公開する仕組みがあることが望ましい。
 国立大学をこれまでみずからの行政組織の下に置いてきた文部科学省にも、強
 く言いたいことがある。
 法人化に伴い、文科省に国立大学評価委員会(仮称)が設けられる。各大学が
 評価委と話し合って、研究や教育、運営について6年間の中期計画を決める仕
 組みだ。
 各大学への予算の配分も評価委による評価に基づいて行われる。その役割はき
 わめて大きい。
 研究内容も規模も異なる大学を公正に評価する確かな方法はまだない。委員は
 有識者で構成するとされているが、委員をどう選び、委員会の機能をどう充実
 させるかは重要な課題だ。
 文科省の官僚が自分たちに都合のいい評価委をつくって操るのは論外だ。評価
 が一面的だったり偏ったりすれば、法人化そのものが信頼を失うだろう。
 評価委は、法人化の成否を左右する。文科省は、その具体像についての考えを
 一日も早く示すべきだ。
 こうした規制を嫌い、今回の法人化では物足りないという大学もいずれ出てく
 るかも知れない。その時は、制度をさらに緩めるよう大学の側から政府に求め
 ることだ。
 自由度が増すということは、良くなるも悪くなるも大学次第ということだ。自
 己責任の意識に立って、各大学がめざす自画像を描くことが変革の第一歩であ
 る。
[2003-03-27-00:46]