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独行法反対首都圏ネットワーク

☆週刊金曜日への投稿 
 . 佐賀大学/全国ネットの豊島
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佐賀大学/全国ネットの豊島です.
昨年末に投稿していたものが,週刊金曜日最新号(3月14日)の「論争」欄に掲載
されました.ご紹介します.許可が取れ次第ウェブにも転載します.

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国立大学の行法化は憲法違反である

豊島耕一 ●とよしま こういち(国立大学独法化阻止全国ネットワーク事務局長)

 国立大学の独立行政法人化(行法化)の法案提出が迫っていた昨年暮れ、岩波の
『世界』昨年一二月号が特集を組んだ。冒頭の小沢弘明氏の「新自由主義改革」と
いう観点からの分析は、この問題の一つの重要な本質を突いている。
 しかし、特集全体としては、この問題のもう一つの核心、そしてむしろ一般国民
にとってより関心を持つことができるテーマである、高等教育の国家統制そのもの
の問題が無視されている。すなわち行法化が教育基本法の第一〇条を正面から無視
しているという問題である。これは、この特集の編集方針の重大な欠陥を示すもの
である。
 行法化で、大学への文部科学省からの直接の命令制度、すなわち「中期目標」「中
期計画」が新設されるということは、「学問の自由」と、そのための「大学の自治」
を認めた憲法二三条に違反するものである。このことは多くの人が指摘した。しか
し同時に、教育への官僚支配を禁じた教育基本法一〇条の正面からの否定でもある。
前者の違反がやや間接的であるのに比べ、これはより直接的で明白である。このよ
うなわが国の法制度の根幹に関わる問題を含むにも拘わらず、これを見過ごした編
集は、国民の問題意識をより広範に引き起こす可能性を塞ぐものである。(同誌編
集部はこれを理解し、間もなく再度この問題で特集が組まれるとのことである。)
 「有事法制」が取り上げられるとき、アメリカの戦略とその関係など、その要因
や背景が分析されるが、同時に、必ず憲法との関連も議論される。ところが、この
行法化問題に関しては、『世界』に限らず、ほとんどのメディアが前者の背景分析
のみで、後者、つまり法的側面を無視している。私が推測するに、これは知識人の
間でさえ、教育基本法のこの条文の意味が十分に理解されていないからではないだ
ろうか。これは極めて深刻な状況と言うべきであろう。
 また、これは長期的には学校教育の問題である。憲法九条は学校でもしっかりと
教えられるが、教育基本法一〇条はそうではない。文部省・文部科学省はこれに反
して「不当な支配」を続けているので、この条文の存在を教えるのに熱心なはずが
ないのである。大学入試にもはたして出題されたことがあるだろうか。また短期的
には、教育法や教育行政の専門家の責任である。これらの人々の中には、一般論と
して「教育基本法を守れ」という人はたくさんいる。しかし、行法化がこの条文に
触れると明言している人はまだ限られている。
 「中期目標」「中期計画」の制度を許せば、大学版の学習指導要領、教科書検定
も可能である。文部科学省もあからさまにこのよう事を言い出したり、したりはし
ない。もっと高度な言語表現でこれを製品化してくる。そして行法化はこれを可能
にする制度改変なのである。「そこまで行くはずはない」などと言えない証拠は目
の前にある。現に、国立大学の行法化などという、数年前はだれもがバカなことだ
と思っていたことが、まるであたりまえのことのように進行しているではないか。
 「新自由主義」批判だけでは、反行法化運動がこの種の分野の、いわばイデオロ
ギーでの闘いに局限されてしまう。むしろこの運動を、教育基本法を、特にその一
〇条を再発見し、その実施状況を「見直し」ていく運動に広げていかなければなら
ない。

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 B52爆撃機の支援車両30両,トルネードジェット戦闘爆撃機1機を非武器化
  詳しくは「ゴイル湖の平和運動家を支援する会」サイトをご覧下さい.
         豊島耕一 toyo@cc.saga-u.ac.jp
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