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☆教員養成大学・学部の統合難航、埼玉・群馬は1年延期 
 . 『読売新聞』2003年3月13日付
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『読売新聞』2003年3月13日付

教員養成大学・学部の統合難航、埼玉・群馬は1年延期


 国立大初の県境をまたぐ統合として注目されていた埼玉大学と群馬大学は、
2004年10月に予定していた統合時期を1年程度延期する方針を13日ま
でに固めた。文部科学省が国立大再編の目玉に位置付けた教員養成大学・学部
の統合は各地で難航している。

 両大学が統合を合意したのは昨年10月。それ以後、3度目の顔合わせとな
る学長懇談会が11日、群馬県高崎市内のホテルで開かれた。埼玉大の兵藤つ
とむ学長と群馬大の赤岩英夫学長ら両大学首脳陣7人は、「4月に会見を開い
てこれまでの経緯を説明する」と、一転して統合の事実上の延期を確認した。
(兵藤つとむ学長の「つとむ」は「金」へんに「リットウ」)

 両大学は教育学部を規模の大きい埼玉大に集約し、統合することで基本合意
していた。ところが、合意を知った群馬県の行政や教育関係者は、「(正式決
定前に)十分な意見交換が必要」(小寺弘之知事)と激しく反発。教育学部存
続を求める署名は約20万人に達した。

 あわてた両大学は「地元の合意を優先させる」と、統合合意の発表を延期し、
群馬大キャンパスに文理一体型の新学部設立構想を打ち出すなどして地元説得
に努めたが、反発は収まらなかった。両大学の教授陣からも、「具体的な利点
が不明りょう」との反対論が噴き出した。

 群馬大の赤岩学長は「今なぜ教育学部を改革しなければならないのか。具体
像を詰めないまま交渉が進んだ」と反省する。

 国立大では、山梨医科大と山梨大など2組の大学がすでに統合し、今年10
月までにさらに10組20大学が統合する予定だ。しかし、うまくいっている
のはいずれも一方が単科大の組み合わせ。教員養成学部の統廃合を軸にした各
地の再編交渉は、「難航している」(文科省大学改革官室)。

 国立大が再編に動く契機となったのは、文科省が2001年6月に打ち出し
た「国立大の構造改革方針」だ。少子化と教員需要の減少、国の財政難などを
踏まえ、「大学数の大幅削減を目指す」とした。しかし、「各大学とも地元と
密接な関係にあり、一律にまとまるのは困難」(滋賀大・住岡英毅副学長)な
事情がある上、教員の「供給源」を失うことへの不安も大きい。

 交渉の難航ぶりに、文科省大学改革官室は「ある程度予測はしていたが、地
元の反発が予想以上に強い」と誤算を認める。「少子化や教員採用数の減少の
中で教員養成学部のあり方を考えれば、結果的に大学数が削減される。大学や
地元では存続か廃止かになっている」と釈明している。

 大手予備校・代々木ゼミナールの進学情報・指導部の坂口幸世本部長は「ど
ういう大学になるのか情報が発信されていない。埼玉大と群馬大の統合メリッ
トも受験生にはまったくわからない」と疑問視する。

 再編の混乱に受験生の目は冷ややかで、埼玉大の今年の志願者は昨年の90
00人から8600人に、群馬大は5700人から4700人にそれぞれ減っ
ている。