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養成課程存続」で決着へ〜山大教育学部 
 . 『山形新聞』2003年3月8日付
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『山形新聞』2003年3月8日付

養成課程存続」で決着へ〜山大教育学部

 山形大、県、山形市が教育学部の存続問題を話し合う「山形県の教員養成に
関する懇談会」の第4回会合が7日、山形市の山形グランドホテルで開かれ、仙
道富士郎学長が大学院(修士課程)で完結する6年一貫のカリキュラムで、高
い教養を備えた小学校教員を養成する課程を開設する「中間報告」を提示した。
前回の懇談会で県が提出した試案を尊重した内容として、高橋和雄知事が大筋
で了承。難航していた3者協議は一転、「教員養成課程の存続」で決着する見
通しとなった。

 南東北の3国立大間で行われている協議で、再編の受け皿になる「担当校」
を目指すかどうかが焦点だったが、山形大は「3大学連絡会議」を実質的に離
脱。スケールを縮小し、地域との連携で独自に教員を養成するシステム確立を
模索するとみられる。

 「担当校」「教育学部存続」にこだわってきた高橋知事は懇談会終了後、報
道陣に「方向性は確認できた。『山形県の担当学部』が見えてきたような気が
する」と語り、高度な専門知識を持った教員を養成しようとする大学の姿勢に
一定の理解を示した。

 中間報告によると、新たに浮上した学科は、専門の授業科目を編成し、卒業
生すべてが小学校教員の1種免許状を取得する。卒業生には現行と同じ「教育
学士」の学位が与えられる。

 大学側は教育学部の転生を図り、その中に小学校教員を養成する学科かコー
スを組み込むとみられるが、名称はもちろん、学科編成、カリキュラムといっ
た事項はこれからの課題。高橋知事の発案で、教育学部を加えた3者の実務レ
ベルで検討に着手する。

 2004年度の概算要求をにらみ、大学が文部科学省に学内の方針を説明する6
月をめどに、合意形成を目指す。

 県の試案に盛り込まれた6年一貫教育に対し、これまで「法律違反」として
難色を示していた石島庸男教育学部長は「実現すれば日本初であり、全力で取
り組みたい」と態度を一変。大学院をパワーアップし、「高度専門職業人」を
養成するという学部の基本方針に基づき、3者間の実務協議に積極的にかかわ
る意向を示した。

新学部へ問われる実力

 【解説】半年ぶりに再開した山形大、県、山形市の3者懇談会は7日、少数精
鋭の6年間の課程で、優秀な小学校教員を養成するという手法導入で山形大と
県の方針が一致、教育学部問題はようやく収拾に向かった。高橋和雄知事は
「停滞していたが、いよいよ軌道に乗る」と気を引き締めた。

 「担当校」と繰り返してきた高橋知事は当初から、教員採用率が極端に低迷
している現学部の実態では、とても南東北3県の教員養成課程を引き受けるだ
けの力はないと踏んでいた節がある。会議終了後の「山形県の担当学部」とい
う言葉に、その思いが集約されていた。

 知事が評価したのは何よりも、将来にわたって優秀な教員を学校現場に送り
出すという気概が大学からようやく感じられるようになってきた点。国の方針
に従順だった大学に、しつこく奮起を促した結果だった。

 何度も跳ね返されてきた仙道富士郎学長ら大学幹部は、事態が正常化し、喜
色を浮かべた。県の試案をなぞった感のある今回の中間報告。教員養成課程を
柱に、誰もが「さすが」とうなる新学部が誕生するのかどうか。大学の実力が
問われるのはこれからだ。(報道部・古頭哲)