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独行法反対首都圏ネットワーク

☆教育基本法に対する25学会会長要望 
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教育基本法の見直しに対する要望

2003年3月4日


教育学関連学会会長有志

(以上 表紙)

2003年3月4日

文部科学大臣         遠山敦子 殿
中央教育審議会会長   鳥居泰彦 殿

教育学関連学会会長有志(アイウエオ順、2003年3月3日現在)
奥田 和弘(日本キリスト教教育学会会長、聖和大学教授)
小澤 周三(日本産業教育学会理事長、東京外国語大学名誉教授)
小島 弘道(日本教育経営学会会長、筑波大学教授)
神辺 靖光(全国地方教育史学会会長)
絹川 正吉(大学教育学会会長、国際基督教大学学長)
桑原 敏明(日本教育制度学会会長、昭和女子大学教授)
榊  達雄(日本教育行政学会会長、名古屋大学教授)
柴田 義松(日本教育方法学会代表理事、東京大学名誉教授)
島田 修一(日本社会教育学会会長、中央大学教授)
清水 貞夫(特別なニーズ教育とインテグレーション学会会長、
      宮城教育大学教授)
竹内登規夫(日本進路指導学会会長、愛知教育大学教授)
津守  眞(日本保育学会会長、お茶の水女子大学名誉教授)
寺崎 昌男(日本教育学会会長、桜美林大学教授)
延岡  繁(日本国際教育学会会長、中部大学教授)
原  聡介(フランス教育学会会長 目白大学教授)
藤井 敏彦(日本ペスタロッチー・フレーベル学会会長、
      広島大学名誉教授)
藤田 英典(日本教育社会学会会長 東京大学教授)
藤田 昌士(日本生活指導学会代表理事、帝京平成大学教授)
逸見 勝亮(教育史学会事務局長、北海道大学教授)
堀尾 輝久(日本教育法学会会長 中央大学教授)
嶺井 正也(日本教育政策学会会長、専修大学教授)
三浦 軍三(日本公民教育学会会長、東京学芸大学教授)
三輪 定宣(日本教師教育学会会長、千葉大学教授)
吉野 公喜(日本特殊教育学会会長、高知女子大学学長)
米田 伸次(日本国際理解教育学会会長、帝塚山学院大学教授)
                        以上25名

(以上、2頁目)


  教育基本法の見直しに対する要望


 教育学関連学会は教育に関する研究者の立場から中央教育審議会(中教審)
の教育基本法見直し論議に強い関心をもち、昨年秋以降、15学会の代表が出席
する会議を重ね11月14日の中教審「新しい時代にふさわしい教育基本法と
教育振興基本計画の在り方について(中間報告)」発表後の12月7日には、共
同公開シンポジウム「教育基本法改正問題を考える−−中教審『中間報告』の検
討」を開催しました。また、この問題に対する関連学会の態度表明についても協議し
きました。これらの経過を踏まえ、教育学関連学会会長の名においてここ
に本要望書を提出いたします。


              要  望


 教育基本法は、第二次世界大戦と日本の敗戦という未曾有の惨禍のなかから、
その反省に基づき制定されたものであり、地球時代にふさわしい人類普遍的理念
を規定し、戦後の教育や社会の発展の大きな礎となりました。それは、時代や社
会の変化を理由に、安易に改正されてはならず、これからの教育に生かすことが
求められます。
 中教審の教育基本法見直し論議については、例えば、つぎのような幾多の疑問
点、問題点が指摘されますので、審議の中止を含め、慎重に審議されるよう要望
いたします.

1.国民的合意の欠如
 今日、多数の国民が、教育基本法を支持しており、中教審のその見直し動向に
は強い危機感を抱き、多くの反対声明等も発表されています。教育基本法改正の
コンセンサス(国民的合意)は成立していないと判断されます。

(以上、3頁目)

2.審議手続きの不備
@教育基本法は、憲法と一体的に制定されており、憲法と切り離し、その精神と遊
 離した改正は、それとの整合性を損ない、教育基本法を変質させるおそれがあり
 ます。
A教育基本法見直し論議は、首相のたんなる私的諮問機関である教育改革国民会議
 や中教審の基本問題部会を中心にすすめられていますが、それでは公正、民主的
 で幅広い審議を期待することは困難です。

3.審議の低調さや偏り
@中教審の教育基本法見直しの審議は、基本問題部会の出席状況に示されるように、
 問題の重要性に照らし、きわめて低調、不十分といわざるをえません。
A中間報告に掲げる教育基本法の見直しの理由は、特定の立場の意見が目立ち、教
 育基本法を評価する意見、その意義や役割に関する専門的知見や学術研究の成果
 が十分に生かされていません。

4.審議内容への疑問や懸念
@今日の教育の危機や困難な諸問題が、教育基本法の改正によって解決できるのか、
 その根拠や見通しは定かではありません。むしろ、教育基本法第10条が禁止す
 る教育の「不当な支配」が強まるなど、教育のいっそうの危機や困難が懸念され
 ます。
 政府は、学級規模の改善、教育予算の増額など、実効の期待できる教育条件整備
 の施策を着実にすすめるべきです。
A法律に新たに、「たくましい日本人」「国を愛する心」などの教育目的を規定する
 ことは、国民の思想・信条の自由を侵害することになりかねず、憲法違反のおそ
 れがあります。
B教育基本法は、21世紀に通用する人類普遍的な教育理念・原則を規定しており、
 新しい時代や社会の変化には、それを基礎とする新しい法令の制定等により 十
 分に対応できるものと考えられます。
C中間報告の教育振興基本計画は、教育目的を詳細に記述するなど、教育の「不当
 な支配」となることが懸念されます。
                                      
         以上
(以上、4頁目)