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独行法反対首都圏ネットワーク

☆「国立大学法人法案」について(要望) 
 2003年2月13日. 独立行政法人化問題を考える富山大学教職員の会
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2003年2月13日

富山大学学長 瀧澤 弘 様

独立行政法人化問題を考える富山大学教職員の会
世話人  別本 明夫(人文学部) 広瀬 信(教育学部)
        坂口 正志(経済学部) 浜本 伸治(理学部)


「国立大学法人法案」について(要望)


  文部科学省はこのほど「国立大学法人法案の概要」をまとめ,1月31日にそ
れを国立大学協会に提示しました.また,2月10日に国立大学長会議を召集し
てその内容を説明しました.伝えられる文科省の方針では,2月下旬に「国立
大学法人法案」が閣議決定され国会に提出されることになっています.これに
たいして国大協は,2月15日まで各大学から意見を求め,20日の法人化特別委
員会および24日の理事会で対応を協議する予定だと聞いております.

  「法案の概要」が示している内容は「学問の自由」と「大学の自治」の否
定,憲法第23条と教育基本法第10条の否定にほかならない―私たちはそのよう
に判断しております.このような法案の成立を黙って見過ごすことは,わが国
の学問・文化が土台から破壊されていくのに手を貸すことに等しいでしょう.
 
  私たちは次のことを貴職に要望いたします:
  1. 「法案の概要」にたいする明確な反対の意見をただちに国大協に送付
     し,同時にそれを学内外に表明すること.
  2. この問題で早急に国大協臨時総会を開催するよう,他大学の学長と連帯
     して国大協会長に要請すること.
  3. 「国立大学法人法案」全文を含むすべての情報を富山大学構成員に早急
     に公開し,ひろく全学的な検討に付すこと.


  「法案の概要」は看過できない多くの問題点を含んでいます.そのうち「学
問の自由」と「大学の自治」の観点からとくに重大だと私たちが考える点は以
下のとおりです.なお,私たちの見解の詳細は別紙『「国立大学法人法案の概
要」の重大な問題点』としてまとめました.そちらもご一読いただければ幸い
です.
 
  1. 強まる政府・文部科学省の支配
  中期目標・中期計画・評価については独立行政法人通則法が実質的に貫徹さ
  れ,総務省による評価や法人の改廃には通則法が全面的に適用されます.こ
  れによって政府・文部科学省の統制が強化されます.
 
  2. 弱まる国の財政責任
  国立大学法人が国立大学を設置するとしています.これによって国は,最終
  的な財政責任を国立大学法人に転嫁することが容易になります.
 
  3. 強まる学外者の発言力
  国立大学法人の経営方針を審議する経営協議会には,2分の1以上の学外委員
  が入ることになります.学長選考会議の構成も,教育研究評議会から選ばれ
  る学内委員と経営協議会から選ばれる学外委員が同数とされています.
 
  4. 強まる学長の権限
  学長は,理事・経営協議会メンバー・教育研究評議会メンバー(ただし,教
  育研究組織の長を除く)の指名・任命権を持つことになります.しかも役員
  会・経営協議会・教育研究評議会のすべてを主宰します.

  5. 低下する評議会の地位
  評議会の名称が教育研究評議会に変更され,その権限は国立大学の教育研究
  にかんする事項の審議に限定されます.教授会についてはまったく規定がな
  く,その地位は不明です.
 
  6. 失われる教員の身分保障
  国立大学法人教員には教育公務員特例法が適用されなくなります.これに
  よって,任免・分限・懲戒・研修など教員にかんする身分保障の法的根拠が
  失われます.