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独行法反対首都圏ネットワーク

国大協法人化特別委員会に訴える 
 . 2002年2月14日  独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局 
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国大協法人化特別委員会に訴える
2002年2月14日
独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局

 遠山文部科学大臣は、2月10日の全国国立大学長会議で、法人化によって
「各大学の自主性・自律性は高まり、運営の裁量は拡大する」と述べたと伝え
られる(共同通信ニュース2月10日付け)。しかし、国立大学法人法案の概要
(以下「概要」)が示す国立大学法人法案の内容は、むしろ、国立大学の自主
性・自律性を弱め、国家的な統制を強めるものにほかならない。

 さらに、この間の「独法化」の過程において、国大協は構成大学の意向を十
分に汲み取ってきたとはいえない。昨年4月19日の国大協総会も「会長談話」
の了承という手続きをとり、調査検討会議「最終報告」の内容自体を十分に検
討したものではなかった。さらに、「法案概要」が明らかになった段階におい
ても、総会の開催は予定されていない。これまでの経緯に照らしてみれば、
「概要」に基づく法案は、以下に示すように国大協が容易に受け入れることの
できないものであるはずである。

 法人化特別委員会は、「概要」に関する正確な評価を行なうとともに、これ
を総会の議に付すべく努力するべきである。

1.「概要」によれば、国立大学法人は学校教育法上の学校の設置者(法2条1
項)とされており、国の設置者としての責任(学校教育法5条)が回避されう
る仕組みがとられている。これは、国大協のこれまでの基本的見解に反するだ
けでなく、調査検討会議の「最終報告」にも反するものである。

2.「概要」は、独立行政法人通則法に基本的な枠組みを依拠し、実質的に、
通則法の特例法と異ならない法案を想定している。独立行政法人は、行政の
「実施機能」を担当する機関として設計されており、大学には本質的になじま
ない。大学に対する国家的な統制が強化されることは明らかである。

3.中期目標・中期計画に関する文部科学大臣の策定と認可は、大学の意見を
反映する可能性も残している(原案への配慮義務)が、同時に、大学に対する
統制を強める可能性を含んでいる。これまでの「独法化」の過程を見れば、目
標・計画に関するこの仕組み(基本的には通則法の仕組み)が、文科省による
強い統制と大学の選別・淘汰の手段になる可能性が高い。

4.管理運営組織において、学長権限が異様に強化されている。私立学校法に
も見られない特異な制度設計である。これは、大学に対する「上からの統制」
を貫徹するための仕組みと言わなければならない。

5.「経営協議会」と「教育研究評議会」は経営と教学の分離に対応しており、
学外者の「経営」に対する発言力が強化される。こうした制度設計は、「学問
の自由」と「大学の自治」(憲法23条、教育基本法、学校教育法など)を基礎
とする大学のあり方にふさわしくない。

6.学長選考手続きは、現行の慣行どおり学内の総意を基礎にした投票制度に
よるべきである。「概要」の学長選考会議の制度は、学外委員の発言権を大幅
に認める半面で、大学を構成する諸階層の発言権を制限・排除しようとしてい
る。