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独行法反対首都圏ネットワーク

☆<社説>独法の評価 焼け太りさせぬ厳しい目で
 . 毎日新聞ニュース速報 03/02/09
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<社説>独法の評価 焼け太りさせぬ厳しい目で


毎日新聞ニュース速報

 行政改革の目玉として設けられた国の独立行政法人が、来年7月までに40法
 人増えて99法人となる。行政の効率化、減量化を担っていながら、その趣旨
 と逆行した方向に進んでいないか。

 独立行政法人の制度は2001年4月にスタートした。国立の研究所や博物館
 など59組織が既に移行している。さらに昨秋の法制化などで、国際協力事業
 団や雇用・能力開発機構など、特殊法人を中心に40組織が移行する。

 独法化は、橋本龍太郎政権が手がけた行政改革の中で生まれた。行政サービス
 のうち、国の過剰な関与を排して民間能力を活用、より質の高いものを柔軟に
 提供するため、組織を独立化させるものだ。独立行政法人通則法は設立目的に
 「効率的かつ効果的に行わせること」(第2条)を掲げている。

 先行した59法人に関して点検してみると、この目的が貫かれているのか疑わ
 しくなる。

 役員の数である。旧組織で役員と同等の国家公務員指定職(審議官以上)は計
 93人だったが、独法化した後は役員が計286人と3倍に増えた。このうち
 省庁出身者が157人にのぼる。政府は「理事長、理事、監事を最低1人ずつ
 置く組織上やむをえない事情」と説明するが、官僚の天下り先が増えたことは
 確かだ。また、職員は計約950人増えた。

 報酬は、役員に年2000万円以上支払う法人が11あり、3法人では事務次
 官より高額をもらう役員がいる。退職金は、法人を渡り歩いて高額の退職金を
 受け取る官僚OBに有利なように、月ごとに算定する方式を採用していた。組
 織形態は変わっても、退職金は旧来のお手盛りを踏襲していた。

 独法に対しては、新たなチェック制度が設けられた。各法人自らが業務目標と
 実績を公表すると、主管官庁に置かれた外部の有識者による評価委員会が点検
 する。さらに総務省に設けられた政策評価・独立行政法人評価委員会が、全法
 人を再び評価する。

 01年度の評価作業は昨年12月に終えた。前向きな努力を評価されたものも
 あったが、総務省の評価委は、各府省庁の評価方法について46項目の指摘を
 した。

 理事長は指導性を発揮したか、目標は定量化されているか、法人の業務が顧客
 のニーズに本当に応えたものか、役職員数や給与、退職金は業績を踏まえて適
 正なものか――などだ。

 独法は、年3800億円の税金がつぎ込まれ、特定の業務を独占的に行える。
 国立大学の移行など今後も増える。自制と国民への説明責任を忘れてはならな
 い。まして「自主性」(通則法第3条)があるからといって、「うまみ」だけ
 吸う姿勢は許されない。

 官が握ってきた規制や権限を最小限に抑え、事後監視型に変えていくのは、行
 政全般にわたる大きな流れである。ただ独法の場合、外部有識者とはいえ、主
 管官庁の下にある評価委に任せていては、評価が甘くなりかねない。国民の側
 から、絶えず厳しい目を向けることが必要だ。


[2003-02-09-00:23]