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独行法反対首都圏ネットワーク

☆「国立大学法人法案の概要」について(要望) 
 .2003年2月10日  大阪大学教職員組合
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     2003年2月10日

大阪大学
 学長 岸本 忠三 殿

大阪大学教職員組合
中央執行委員長 内藤 林

「国立大学法人法案の概要」について(要望)


今般、文部科学省は、国立大学法人法案の概要(以下、「法案概要」と記す)をまと
め国立大学協会に提示しました。また、文部科学省は2月10日に学長会議を開いて
「法案概要」を説明すると伝えられています。
私たちはこれまで、あるべき大学のあり方として「大阪大学憲章(案)」を提起する
とともに、大学改革にあたっては、学術研究と教育の本質に根ざす学問の自由と大学
自治を擁護し、それらを支える教職員の権利擁護と地位確立の立場から、昨年3月に
まとめられた「国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議」の最終報告「新
しい『国立大学法人』像について」(以下、「最終報告」と記す)は、日本の大学の
将来を危うくするものとして反対してきました。
私たちは、「法案概要」について検討した結果、それは学問の自由と大学自治を保障
する制度上の枠組みを著しく弱体化させ、人類と地域社会、国民に対して取り返しの
つかない深刻な悪影響を招きかねないものであって、到底容認できるものではないと
の結論を得ました。
大阪大学設置形態検討委員会が2001年3月21日に公表した「大阪大学国立法人
化問題中間報告」(以下、「中間報告」と記す)の「国立大学の使命と大学改革の方
向」で示された「・・・その結果、時には社会、とりわけ時の政府との間に一定の距
離を保つこと」や、「大阪大学の理念」の中で述べられている「学問・研究の自由は
課題選択の自由を含めて、徹底的に保障されなければならない。・・・大阪大学が今
後とも継承すべき伝統」から逸脱していることは明らかです。また、同「中間報告」
は、「通則法の下での大阪大学の独立行政法人化には極めて問題が多い」と結論づけ
ています。

「法案概要」は、
第1に「独立行政法人通則法」から独立した法体系ではなく「独立行政法人通則法の
必要な規定を準用する。」とされていること。
第2に、「法案概要」では経営と教学が、「経営協議会」と「教育研究評議会」とに
分離されているが両者の位置付けが不明確であり、万一「教育研究評議会」が教学の
重要事項を決定するに当たって「経営協議会」の意向が影響を与えることになると
「学問の自由」は画餅となること。
第3に、中期目標を文部科学大臣が定め、中期計画についても文部科学大臣の認可を
受けることになっていることは「学問の自由・大学の自治」と相反するものであり、
「中間報告」でも「憲法23条に抵触する可能性がある」と述べていること。
第4に、「法案概要」では、国立大学の設置者が「国」から「国立大学法人」に後退
しており、国が国立大学に対して直接的に財政上の責任を負うことが明示されていな
いこと、
など数多くの問題点を持っています。
貴職は以上のような問題点を持つ「法案概要」を拙速に了承することなく、文部科学
省に対し法案の全貌を明らかにすることを求めるとともに、大阪大学の構成員に全て
の情報を公開し、広く全学的な議論を尽くされるよう要望します。

以 上