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☆「経営」委員過半数は学外、国立大法人、文科省が法案概要、第三者評価制度を導入
 『日本経済新聞』大阪夕刊  2003年1月30日付.
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『日本経済新聞』大阪夕刊  2003年1月30日付

「経営」委員過半数は学外、国立大法人、文科省が法案概要、第三者評価制度
を導入


 文部科学省は三十日、二〇〇四年四月から国立大学を法人化するための国立
大学法人化法案など関連六法案の概要を固めた。百七十一機関を九十七法人に
再編統合、国立大学法人の経営審議機関として「経営協議会」を新設して過半
数の学外委員を置くことや、「第三者評価制度」導入などが柱。産学連携強化
をにらみ、研究成果活用のため技術移転機関(TLO)への出資規定を盛り込
むことも検討している。

 文科省は二月下旬にも関連法案を国会に提出、予定通りの法人化を目指す。

 六法案は国立大のほか関連機関の法人化などを規定。骨子によると、現行の
国立九十九大学を八十九法人に、国立歴史民俗博物館など十五の大学共同利用
機関は四法人に統合、その他の機関も大幅に整理する。現状では公務員である
教職員の身分は「非公務員型」とし、各法人で任期制などを検討する。

 国立大学法人は教育面と経営面をそれぞれ「評議会」と「経営協議会」に委
ねる。経営協議会には過半数の学外委員を置き“象牙の塔”からの脱却を図る。

 企業型のトップダウン統治を取り入れるため、上位機関として「役員会」を
置き、学長、理事、監事が役員として重要事項の議決に当たる。教育、学術担
当役員に加え、学外有識者や専門家を学外役員として招く。

 学長の選考は経営面を担う経営協議会の学外委員代表と、教育面を担う学内
教員組織の評議会から同数の代表者を出す「学長選考会議」が当たる。

 学長任期は「二年以上六年を超えない範囲内」で、各法人が定める。学長は
職務上の義務違反や業績悪化を理由に役員会の理事を解任できる。

 国立大学法人の業務内容規定には、従来の国立大では認めていなかった出資
規定設置を盛り込むことも検討。地方大学が共同して研究成果を活用できるよ
うTLOを出資対象とすることを念頭に置いている。

 産学連携は、現行では個々の教員が企業側と共同で研究開発を進めるのが原
則。TLOを出資対象とすることで大学本体が産学連携に対応、研究成果を社
会還元する仕組みが可能になる。さらに新法人としての収益確保にもつなげる
考えだ。

 第三者評価制度も導入、文科相は六年間を期間とし教育研究の質の向上や業
務運営の改善、財務改善などの中期目標を定める。各法人は目標に沿って中期
計画を作成、文科相の認可を受ける。

 教育研究面については、独立行政法人化予定の「大学評価・学位授与機構」
が当たり、その結果を踏まえ新設の「国立大学法人評価委員会」が運営面や財
務内容も含めた総合評価を実施する。

国立大学法人化法案(仮称)の骨子
▽役員会を新設、意思決定の迅速化図る
▽経営面を担う経営協議会を設け、過半数は学外委員を招く
▽教育研究面は評議会で担当
▽学長任期は「2年以上6年を超えない範囲内」で各国立大学法人が定める
▽学長には役員会理事の、文科相には学長の解任権を与える
▽第三者評価を義務づけ、結果を運営費交付金に反映