国立大学法人法(骨子素案)の公表について

 

200327日 

独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局

 

 

 このほど本事務局は、「国立大学法人法(骨子素案)」を入手した。ここで公開するのは、先に公開した「国立大学法人法の概要」のうち、1225日段階の版に対応した法案全文であると考えられる。

 

 この国立大学法人法(骨子素案)は、「骨子素案」と題されているように、検討途上の版とみられるが、「骨子素案」という限定を付していない最新版(H15.1月版)が存在すると聞く。

 

 この文書を公開する目的は、国立大学にとって、もはや「概要」をもとにした議論を行うだけでは不十分であり、早急に法案全文に対する検討を行うことが不可欠と考えるからである。

 

 ここで公開した版を見るだけでも、国立大学法人法の基本的骨格・法の構造そのものが、まさに独立行政法人通則法を「丸のみ」したものであること、「通則法の必要な規定を準用」(概要1月版)したものではなく、通則法から、たとえば特定独立行政法人(公務員型)にかかわる箇所を部分的にはずした、という性格を持つことが分かる。

 

 私たちは、法案全文の即時公開を求めるとともに、各大学で「国立大学法人法」の最新版を早急に検討するよう訴えるものである。

 

 

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国立大学法人法(骨子素案)

 

目次

第一章 総則

 第一節 通則(第一条〜第八条)

 第二節 国立大学法人評価委員会(第九条)

第二章 組織及び業務

 第一節 国立大学法人

  第一款 役員及び職員(第十条―第十九条)

  第二款 経営協議会等(第二十条・第二十一条)

  第三款 学部及び研究科等(第二十二条・第二十三条)

  第四款 業務(第二十四条)

 第二節 大学共同利用機関法人

  第一款 役員及び職員(第二十五条〜第二十七条)

  第二款 経営協議会等(第二十八条・第二十九条)

  第三款 大学共同利用機関(第三十条)

  第四款 業務(第三十一条)

第三章 中期目標等(第三十二条・第三十三条)

第四章 財務及び会計(第三十四条〜第三十八条)

第五章 雑則(第三十九条〜第四十一条)

第六章 罰則(第四十二条〜第四十五条〉

附則

 

 

第一章  総則

 

 第一節  通則

 

(目的)

第一条  この法律は、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の組織及び運営に関し必要な事項を定めることにより、大学の教育研究に対する国民の要請にこたえ、我が国の高等教育及び学術研究の水準の向上と均衡ある発展を図ることを目的とする。

 

(定義)

第二条  この法律において「国立大学法人」とは、別表第一の第二欄に掲げる大学(以下「国立大学」という。)を設置することを目的として、この法律の定めるところにより設立される法人をいう。

2 この法律において「大学共同利用機関法人」とは、大学における学術研究の発展等に資するため、大学の共同利用の研究所その他の機関(以下「大学共同利用機関」という。)を設置することを目的として、この法律の定めるところにより設立される法人をいう。

3  この法律において「通則法」とは、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)をいう。

 

(教育研究の特性への配慮)

第三条  国は、この法律の運用に当たっては、大学及び大学共同利用機関(以下「大学等」という。)における教育研究の特性に配慮しなければならない。

 

(国立大学法人の名称等)

第四条  国立大学法人の名称及びその主たる事務所の所在地は、それぞれ別表第一の第一欄及び第三欄に掲げるとおりとする。

2  別表第一の第一欄に掲げる国立大学法人は、それぞれ同表の第二欄に掲げる国立大学を、同表の第三欄に掲げる当該国立大学法人の主たる事務所の所在地と同じ位置に設置するものとする。

 

(大学共同利用機関法人の名称等)

第五条  大学共同利用機関法人の名称及びその主たる事務所の所在地は、それぞれ別表第二の第一欄及び第三欄に掲げるとおりとする。

 

(法人格)

第六条  国立大学法人及び大学共同利用機関法人(以下「国立大学法人等」という。)は、法人とする。

 

(資本金)

第七条  各国立大学法人等の資本金は、附則第九条第二項の規定により政府から出資があったものとされた金額とする。

2  政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、国立大学法人等に追加して出資することができる。

3  政府は、必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、土地、建物その他の土地の定着物及びその建物に附属する工作物(第五項において「土地等」という。)を出資の目的として、国立大学法人等に追加して出資することができる。

4  各国立大学法人等は、前二項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする.

5  政府が出資の目的とする土地等の額は、出資の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。

6  評価委員その他前項に規定する評価に関し必要な事項は、政令で定める。

 

(名称の使用制限)

第八条  国立大学法人又は大学共同利用機関法人でない者は、その名称中に、それぞれ国立大学法人又は大学共同利用機関法人という文字を用いてはならない。

 

 第二節  国立大学法人評価委員会

 

(国立大学法人評価委員会)

第九条  文部科学省に、国立大学法人等の評価に関する事務を処理させるため、国立大学法人評価委員会(以下「評価委員会」という。)を置く。

2  評価委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。

 一 国立大学法人等の業務の実績に関する評価に関すること。

 二 その他この法律によりその権限に属させられた事項を処理すること。

3  評価委員会が前項第一号の事務のうち第三十九条において準用する通則法第三十四条の評価を行うに当たっては、独立行政法人大学評価・学位授与機構に対し、独立行政法人大学評価・学位授与機構法(平成十五年法律第   号)第十六条第一項第一号に規定する国立大学及び大学共同利用機関の教育研究の状況についての評価の実施を要請し、当該評価の結果を尊重しなければならない。

4  前二項に定めるもののほか、評価委員会の組織、所掌事務及び委員その他の職員

その他評価委員会に関し必要な事項については、政令で定める。

 

 

第二章  組織及び業務

 

 第一節  国立大学法人

 

  第一款  役員及び職員

 

(役員)

第十条  各国立大学法人に、役員として、その長である学長及び監事二人を置く。

2 各国立大学法人に、役員として、それぞれ別表第一の第四欄に定める数以内の理事を置くことができる.

 

(役員の職務及び権限)

第十一条  学長は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六条)第五十八条第三項に規定する職務を行うとともに、国立大学法人を代表し、その業務を総理する。

2  学長は、次の事項について決定をしようとするときは、学長及び理事で構成される会議(第四号において「役員会」という。)の議を経なければならない。

 一  中期目標についての意見及び年度計画に関する事項

 二  この法律により文部科学大臣の認可又は承認を受けなければならない事項

 三  予算の編成及び執行並びに決算に関する事項

 四  その他役員会が定める重要事項

3  理事は、学長の定めるところにより、学長を補佐して国立大学法人の業務を掌理し、学長に事故があるときはその職務を代理し、学長が欠員のときはその職務を行う。

4  監事は、国立大学法人の業務を監査する。

5  監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、学長又は文部科学大臣に意見を提出することができる。

6  監事は、前二項に規定するほか、理事が置かれていないときは、学長が定めるところにより、学長に事故があるときは、学長の職務を代理し、学長が欠員のときは、学長の職務を行う。

7  前項の規定により学長の職務を代理し又はその職務を行う監事は、その間、第四項又は第五項の職務を行ってはならない。

 

(役員の任命)

第十二条  学長の任命は、国立大学法人の申出に基づいて、文部科学大臣が行う。

2  前項の申出は、次の各号に掲げる委員で組織される会議(以下「学長選考会議」という。)の選考に基づき行うものとする。

 一  学長及び役員(経営協議会の委員又は評議員であるものに限る。)

 二  第二十条第二項第三号に規定する経営協議会の委員の中から経営協議会において選出された者

 三  第二十一条第二項第三号又は第四号に規定する評議員(同項第三号に規定する評議員にあっては、第一号に掲げる者を除く。)の中から評議会において選出された者

3  前項第二号及び第三号の委員の数は、各同数とし、それぞれ学長選考会議の委員の総数の三分の一を超えるものでなければならない。

4  学長選考会議は、学長が招集する。

5  学長選考会議に議長を置き、構成員の互選によってこれを定める。

6  本条に定めるもののほか、学長選考会議の議事の手続その他学長選考会議に関し必要な事項は、議長が学長選考会議に諮って定める。

7  第二項に規定する学長の選考は、人格が高潔で、学識に優れ、かつ、大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営できる資質能力を有する者のうちから行われなければならない。

8  監事は、文部科学大臣が任命する。

 

第十三条  理事は、前条第七項に規定する者のうちから、学長が任命する。

2  学長は、理事を任命したときは、遅滞なく、文部科学大臣に届け出るとともに、これを公表しなければならない。

 

第十四条  学長及び文部科学大臣は、それぞれ理事及び監事を任命するに当たっては、その任命の際現に当該国立大学法人の役員又は職員でない者が含まれるようにしなければならない。

 

(役員の任期)

第十五条  学長の任期は、六年を超えない範囲内で、学長選考会議の議に基づき、各国立大学法人が定める。

2  理事の任期は、六年を超えない範囲内で、学長が定める。ただし、理事の任期の末日は、当該理事を任命する学長の任期の末日以前でなければならない。

3  監事の任期は、二年とする。ただし、補欠の監事の任期は、前任者の残任期間とする。

4  役員は、再任されることができる。

 

(役員の欠格条項)

第十六条  政府又は地方公共団体の職員(非常動の者を除く。)は、役員となることができない。

2  前項の規定にかかわらず、教育公務員で政令で定める者は、非常勤の理事又は監事となることができる。

 

(役員の解任)

第十七条  文部科学大臣又は学長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員になることができない者に該当するに至ったときは、その役員を解任しなければならない。

2  文部科学大臣又は学長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。

 一  心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき。

 二  職務上の義務違反があるとき。

3  前項に規定するもののほか、文部科学大臣又は学長は、それぞれその任命にかかる役員(監事を除く。)の職務の執行が適当でないため当該国立大学法人の業務の実績が悪化した場合であってその役員に引き続き当該職務を行わせることが適当でないと認めるときは、その役員を解任することができる。

4  文部科学大臣は、前二項の規定に基づき学長を解任するに当たっては、当該国立大学法人の学長選考会議の申出をまって行うものとする。

5  学長は、第一項、第二項又は第三項の規定により理事を解任したときは、遅滞なく、文部科学大臣に届け出るとともに、これを公表しなければならない。

 

(役員及び職員の秘密保持義務)

第十八条  国立大学法人の役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

 

(役員及び職員の地位)

第十九条  国立大学法人の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

 

  第二款  経営協議会等

 

(経営協議会)

第二十条  国立大学法人に、国立大学法人の経営に関する重要事項を審議する機関として、経営協議会を置く。

2 経営協議会は、次の各号に掲げる委員で組織する。

 一  学長

 二  学長が指名する役員(監事を除く。)及び職員

 三  当該国立大学法人の役員又は職員以外の者で大学に関し広くかつ高い識見を有するもののうちから、評議会の意見を聴いて学長が任命するもの

3  前項第三号の委員の数は、経営協議会の委員の総数の二分の一を超えるものでなければならない。

4  経営協議会は、次に掲げる事項を審議する。

 一  中期目標についての意見に関する事項のうち国立大学法人の経営に関する事項

 二  中期計画及び年度計画に関する事項のうち国立大学法人の経営に関する事項

 三  学則(国立大学法人の経営に関する部分に限る。)、会計規程、役員に対する報酬及び退職手当の支給の基準並びに職員の給与及び退職手当の支給の基準その他の経営に係る重要な規則の制定又は改廃に関する事項

 四  予算の編成及び執行並びに決算に関する事項

 五  重要な組織の設置又は廃止及び学生の定員に関する事項

 六  組織及び運営並びに施設及び設備の状況について自ら行う点検及び評価に関する事項

 七  その他国立大学法人の経営に関する重要事項

5  経営協議会に議長を置き、学長をもって充てる。

6  議長は、経営協議会を主宰する。

 

(評議会)

第二十一条  国立大学法人に、国立大学の教育研究に関する重要事項を審議する機関として、評議会を置く。

2  評議会は、次の各号に掲げる評議員で組織する。

 一 学長

 二 学長が指名する役員(監事を除く。)

 三 学部、研究科及び大学附置の研究所その他の教育研究上の重要な組織の長のうち評議会が定める者

 四 その他評議会が定めるところにより学長が任命する職員

3 評議会は、次に掲げる事項について審議する。

 一 中期目標についての意見に関する事項のうち国立大学の教育研究に関する事項

 二 中期計画及び年度計画に関する事項のうち国立大学の教育研究に関する事項

 三 学則(国立大学法人の経営に関する部分を除く。)その他の教育研究に係る重要な規則の制定又は改廃に関する事項

 四 教育研究組織及び教員人事に関する事項

 五 国立大学の教育課程の編成に関する方針に係る事項

 六 学生の厚生及び補導に関する事項

 七 学生の入学、卒業又は課程の修了その他その在籍に関する方針及び学位の授与に関する方針に係る事項

 八 教育及び研究の状況について自ら行う点検及び評価に関する事項

 九 その他国立大学の教育研究に関する重要事項

4 評議会に議長を置き、学長をもって充てる。

5 議長は、評議会を主宰する。

 

  第三款 学部及び研究科等

 

(学部及び研究科)

第二十二条  各国立大学に置く学部及び研究科については、文部科学省令で定める。

 

(大学附属の学校及び大学附置の研究所)

第二十三条 国立大学に、文部科学省令で定めるところにより、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園並びに専修学校を附属して設置する。

2  国立大学に、文部科学省令で定めるところにより、研究所を附置する。

 

  第四款 業務

 

(国立大学法人の業務の範囲等)

第二十四条  国立大学法人は、次の業務を行う。

 一 国立大学を設置し、これを運営すること。

 二 学生に対し、修学、進路及び心身の健康等に関する相談その他の援助を行うこと。

 三 受託研究、公開講座その他の地域社会等との有機的連携の促進を図ること。

 四 研究の成果を普及し、及びその活用の促進を図ること。

 五 前各号の業務に附帯する業務を行うこと。

2 国立大学法人は、教育研究を行う上で必要と認められる場合は、文部科学大臣の認可を受けて、国立大学の研究成果を活用する事業その他政令で定める事業を実施する者に出資することができる。

3 文部科学大臣は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。

 

 第二節 大学共同利用機関法人

 

  第一款 役員及び職員

 

(役員)

第二十五条  各大学共同利用機関法人に、役員として、その長である機構長及び監事二人置く。

2  各大学共同利用機関法人に、役員として、それぞれ別表第二の第四欄に定める数以内の理事を置くことができる。

 

(役員の職務及び権限)

第二十六条  機構長は、大学共同利用機関法人を代表し、その業務を総理する。

2  機構長は、次の事項について決定をしようとするときは、機構長及び理事で構成される会議(第四号において「役員会」という。)の議を経なければならない。

 一  中期目標についての意見及び年度計画に関する事項

 二 この法律により文部科学大臣の認可又は承認を受けなければならない事項

 三 予算の編成及び執行並びに決算に関する事項

 四 その他役員会が定める重要事項

3  理事は、機構長の定めるところにより、機構長を捕佐して大学共同利用機関法人の業務を掌理し、機構長に事故があるときはその職務を代理し、機構長が欠員のときはその職務を行う。

4  監事は、大学共同利用機関法人の業務を監査する。

5  監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、機構長又は文部科学大臣に意見を提出することができる。

6  監事は、前二項に規定するほか、理事が置かれていないときは、機構長が定めるところにより、機構長に事故があるときは、機構長の職務を代理し、機構長が欠員のときは、機構長の職務を行う。

7  前項の規定により機構長の職務を代理し又はその職務を行う監事は、その間、第四項又は第五項の職務を行ってはならない。

 

(国立大学法人の役員及び職員に関する規定の準用)

第二十七条  大学共同利用機関法人の役員及び職員については、第十二条から第十九条までの規定を準用する。この場合において、これらの規定(第十二条第二項を除く。)中「学長」とあるのは「機構長」と、「学長選考会議」とあるのは「機構長選考会議」と読み替えるほか、第十二条第一項及び第十五条第一項中「国立大学法人」とあるのは「大学共同利用機関法人」と、第十二条第二項中「次の各号に掲げる委員で組織される会議(以下「学長選考会議」という。)」とあるのは「次の各号に掲げる委員で組織される会議以下「機構長選考会議」という。)」と、「学長及び役員(経営協議会の委員又は評議員であるものに限る。)」とあるのは「機構長及び役員(経営協議会の委員又は評議員であるものに限る。)」と、「第二十条第二項第三号に規定する経営協議会の委員の中から経営協議会」とあるのは「第二十八条第二項第三号に規定する経営協議会の委員の中から経営協議会」と、「第二十一条第二項第二号又は第四号に規定する評議員(同項第三号に規定する評議員にあっては、第一号に規定する者を除く。)の中から評議会」とあるのは「第二十九条第二項第三号から第五号までに規定する評議員(同項第三号に規定する評議員にあっては、第一号に掲げる者を除く。)の中から評議会」と、第十四、第十七条第三項及び第四項中「当該国立大学法人」とあるのは「当該大学共同利用機関法人」と読み替えるものとする。

 

  第二款 経営協議会等

 

(経営協議会)

第二十八条  大学共同利用機関法人に、大学共同利用機関法人の経営に関する重要事項を審議する機関として、経営協議会を置く。

2  経営協議会は、次の各号に掲げる委員で組織する。

 一  機構長

 二  機構長が指名する役員(監事を除く。)及び職員

 三  当該大学共同利用機関法人の役員又は職員以外の者で大学等に関し広くかつ高い識見を有するもののうちから、評議会の意見を聴いて機構長が任命するもの

3 前項第三号の委員の数は、経営協議会の委員の総数の二分の一を超えるものでなければならない。

4  経営協議会は、次に掲げる事項を審議する。

 一  中期目標についての意見に関する事項のうち大学共同利用機関法人の経営に関する事項

 二  中期計画及び年度計画に関する事項のうち大学共同利用機関法人の経営に関する事項

 三  会計規程、役員に対する報酬及び退職手当の支給の基準並びに職員の給与及び退職手当の支給の基準その他の経営に係る重要な規則の制定又は改廃に関する事項

 四  予算の編成及び執行並びに決算に関する事項

 五  大学共同利用機関その他の重要な組織の設置又は廃止に関する事項

 六  組織及び運営並びに施設及び設備の状況について自ら行う点検及び評価に関する事項

 七  その他大学共同利用機関法人の経営に関する重要事項

5  第一項の経営協議会については、第二十条第五項及び第六項の規定を準用する。この場合において、同条第五項中「学長」とあるのは「機構長」と読み替えるものとする。

 

(評議会)

第二十九条  大学共同利用機関法人に、大学共同利用機関の教育研究に関する重要事項を審議する機関として、評議会を置く。

2  評議会は、次の各号に掲げる評議員で組織する。

 一  機構長

 二  機構長が指名する役員(監事を除く。)

 三  大学共同利用機関の長

 四  その他評議会が定めるところにより機構長が任命する職員

 五  当該大学共同利用機関法人の役員及び職員以外の者で当該大学共同利用機関の行う研究と同一の研究に従事するもののうちから評議会が定めるところにより機構長が任命するもの

3  評議会は、次に掲げる事項について審議する。

 一 中期目標についての意見に関する事項のうち大学共同利用機関の教育研究に関する事項

 二 中期計画及び年度計画に関する事項のうち大学共同利用機関の教育研究に関する事項

 三 大学共同利用機関の教育研究に係る重要な規則の制定又は改廃に関する事項

 四 研究組織及び職員のうち専ら研究又は教育に従事する者の人事に関する事項

 五 共同研究計画に関する事項

 六 大学院における教育その他大学における教育への協力に関する事項

 七 教育及び研究の状況について自ら行う点検及び評価に関する事項

 八 その他大学共同利用機関の教育研究に関する重要事項

5  第一項の評議会については、第二十一条第四項及び第五項の規定を準用する。この場合において、同条第四項中「学長」とあるのは「機構長」と読み替えるものとする。

 

  第三款  大学共同利用機関

 

(大学共同利用機関)

第三十条  大学共同利用機関法人に、文部科学省令で定めるところにより、大学共同利用機関を置く。

 

  第四款  業務

 

(大学共同利用機関法人の業務の範囲等)

第三十一条  別表第二の第一欄に掲げる大学共同利用機関法人は、それぞれ同表の第二欄に掲げる研究分野に関し、次の業務を行う。

 一  大学共同利用機関を設置し、研究を行うこと。

 二  大学共同利用機関の施設及び設備等を大学の教員その他の者で当該大学共同利用機関の行う研究と同一の研究に従事するものの利用に供すること。

 三  研究の成果(前号の規定による大学共同利用機関の施設及び設備等の利用に係る研究の成果を含む。)を普及し、及びその活用の促進を図ること。

 四  大学の要請に応じ、大学院における教育その他その大学における教育に協力すること。

 五  前各号の業務に附帯する業務を行うこと。

2  大学共同利用機関法人は、教育研究を行う上で必要と認められる場合は、文部科学大臣の認可を受けて、大学共同利用機関の研究成果を活用する事業その他政令で定める事業を実施する者に出資することができる。

3  文部科学大臣は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。

 

 

第三章  中期目標等

 

(中期目標)

第三十二条  文部科学大臣は、六年間において各国立大字法人等が達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)を定め、これを当該国立大学法人等に示すとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

2  中期目標においては、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一  教育研究の質の向上に関する事項

 二  業務運営の改善及び効率化に関する事項

 三  財務内容の改善に関する事項

 四  大学等の教育研究活動等の状況について当該大学等が行う評価及び教育研究等の状況の公表等に関する事項

 五  その他業務運営に関する重要事項

3  文部科学大臣は、中期目標を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、国立大学法人等の意見を聴き、当該意見に配慮するとともに、評価委員会の意見を聴かなければならない。

 

(中期計画)

第三十三条  国立大学法人等は、前条第一項の提示を受けたときは、中期目標に基づき、文部科学省令で定めるところにより、当該中期目標を達成するための計画(以下「中期計画」という。)を作成し、文部科学大臣の認可を受けなければならない。

これを変更しようとするときも、同様とする。

2  中期計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一  教育研究の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置

 二  業務運営の改善及び効率化に関する目標を達成するためとるべき措置

 三 予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画

 四  短期借入金の限度額

 五  重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、その計画

 六  剰余金の使途

 七  その他文部科学省令で定める業務運営に関する事項

3  文部科学大臣は、第一項の認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。

4  文部科学大臣は、第一項の認可をした中期計画が前条第二項各号に掲げる事項の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、その中期計画を変更すべきことを命ずることができる。

5  国立大学法人等は、第一項の認可を受けたときは、遅滞なく、その中期計画を公表しなければならない。

 

 

第四章  財務及び会計

 

(積立金の処分)

第三十四条  国立大学法人等は、中期目標の期間の最後の事業年度に係る第三十九条において準用する通則法第四十四条第一項又は第二項の規定による整理を行った後、同条第一項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち文部科学大臣の承認を受けた金額を、当該中期目標の期間の次の中期目標の期間に係る中期計画の定めるところにより、当該次の中期目標の期間における第二十四条又は第三十一条に規定する業務の財源に充てることができる。

2  文部科学大臣は、前項の規定による承認をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。

3  国立大学法人等は、第一項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。

4  前三項に定めるもののほか、納付金の納付の手続その他積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。

 

(長期借入金及び債券)

第三十五条  国立大学法人等は、政令で定める土地の取得、施設の設置若しくは整備又は設備の設置に必要な費用に充てるため、文部科学大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は各国立大学法人等の名称を付した債券(以下「債券」という。)を発行することができる。

2  前項に規定するもののほか、国立大学法人等は、長期借入金又は債券で政令で定めるものの償還に充てるため、文部科学大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は債券を発行することができる。ただし、償還期間が政令で定める期間のものに限る。

3  文部科学大臣は、前二項の規定による認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。

4  第一項又は第二項の規定による債券の債権者は、当該債券を発行した国立大学法人等の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

5  前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。

6  国立大学法人等は、文部科学大臣の認可を受けて、債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。

7  商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条、第三百十条及び第三百十一条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。

8  前各項に定めるもののほか、第一項又は第二項の規定による長期借入金又は債券に関し必要な事項は、政令で定める。

 

(債務保証)

第三十六条  政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、前条第一項又は第二項の規定による各国立大学法人等の長期借入金又は債券に係る債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)について保証することができる。

 

(償還計画)

第三十七条  第三十五条第一項又は第二項の規定により、長期借入金をし、又は債券を発行した各国立大学法人等は、毎事業年度、長期借入金及び債券の償遺計画を立てて、文部科学大臣の認可を受けなければならない。

2  文部科学大臣は、前項の規定による認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。

 

(財産処分収入の一部納付)

第三十八条  国立大学法人等は、第三十九条において準用する通則法第四十八条第一項に規定する重要な財産のうち、文部科学省令で定める重要な財産を売り払ったときは、文部科学省令で定めるところにより、当該売り払い代金の一部に相当する金額を独立行政法人国立大学財務・経営センター(以下「センター」という。)に納付しなければならない。

2  前項の場合において、当該国立大学法人等の資本金のうち当該売り払った重要な財産に係る部分として文部科学大臣が定める金額については、当該国立大学法人等に対する政府からの出資はなかったものとし、当該国立大学法人等は、その額により資本金を減少するものとする。

 

 

第五章  雑則

 

(通則法の規定の準用)

第三十九条  通則法第三条、第七条第二項、第八条第一項、第九条、第十一条、第十四条から第十七条まで、第二十四条から第二十六条まで、第二十八条、第三十一条から第五十条まで及び第六十一条から第六十六条までの規定は、国立大学法人等に準用する。この場合において、これらの規定(第二十八条第二項及び第三十九条を除く。)中「独立行政法人」及び「当該独立行政法人」とあるのはそれぞれ「国立大学法人等」及び「当該国立大学法人等」と、「主務大臣」及び「主務省令」とあるのはそれぞれ「文部科学大臣」及び「文部科学省令」と、「評価委員会」及び「当該評価委員会」とあるのは「国立大学法人評価委員会」と読み替えるほか、次の表の上(左)欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下(右)欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

 

読み替えられる通則法

の規定

読み替えられる字句

読み替える字句

第三条第三項

この法律及び個別法

この法律

第十四条第一項

独立行政法人の長(以下「法人の長」という。)となるべき者

学長(大学共同利用機関法人にあっては、機構長。以下同じ。)となるべき者

第十四条第二項

法人の長又は監事となるべき者

学長又は監事となるべき者

法人の長

学長

第十四条第三項

第二十条第一項

国立大学法人法第十二条第七項(大学共同利用機関法人において準用する同法第十二条第七項)

法人の長となるべき者の指名

学長となるべき者の指名に係る選考

第十五条第二項

法人の長となるべき者

学長となるべき者

第十六条

法人の長となるべき者

学長となるべき者

第二十四条

法人の長

学長

第二十五条

法人の長

学長

第二十六条

法人の長

学長

第二十八条第二項

主務省令(当該独立行政法人を所管する内閣府又は各省の内閣府令又は省令をいう。以下同じ。)

文部科学省令

第三十一条第一項

前条第一項の認可を受けた中期計画

国立大学法人法第三十三条第一項の認可を受けた中期計画

第三十一条第二項

前条第一項

国立大学法人法第三十三条第一項

第三十三条

中期計画の期間

国立大学法人法第三十二条第一項条に規定する中期計画(以下「中期目標」という。)の期間

第三十八条第二項

監事の意見(次条の規定により会計監査人の監査を受けなければならない独立行政法人にあっては、監事及び会計監査人の意見。以下同じ。)

監事及び会計監査人の意見。

第三十八条第四項

及び監事の意見を記載した書面

並びに監事及び会計監査人の意見を記載した書面

第三十九条

独立行政法人(その資本の額その他の経営の規模が政令で定める基準に達しない独立行政法人を除く)

国立大学法人等

第四十一条

株式会社の監事等に関する商法の特例に関する法律(昭和四十九年法律第二十二号)第四条(第二号を除く)

株式会社の監事等に関する商法の特例に関する法律(昭和四十九年法律第二十二号。以下本条において「商法特例法」という。)第四条

第三十九条の会計監査法人

国立大学法人法第三十九条において準用する通則法第三十九条の会計監査法人

同法

商法特例法

「第二条」

「第二条第一項」

「独立行政法人通則法第三十九条」

国立大学法人法第三十九条において準用する独立行政法人通則法第三十九条

第四十四条第三項

第三十条第一項の認可を受けた中期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの。以下単に「中期計画」という。)の同条第二項第六号の剰余金の使途

国立大学法人法第三十三条第一項の認可を受けた中期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの。以下単に「中期計画」という。)の同条第二項第六号の剰余金の使途

第四十四条第五項

個別法で定める

国立大学法人法第三十四条に定めるところによる

第四十五条第一項

中期計画の第三十条第二項第四号の短期借入金の限度額

中期計画の第三十三条第二項第四号の短期借入金の限度額

第四十五条第五項

個別法に別段の定めがある場合を除くほか

国立大学法人法第三十五条第一項又は第二項の規定による場合を除き

第四十八条第一項

中期計画において第三十一条第二項第五号の計画

中期計画において第三十三条第二項第五号の計画

第六十一条

特定独立行政法人以外の独立行政法人の役員(非常勤の者を除く。)

国立大学法人等の役員(非常勤を除く。)

第六十二条

第五十二条及び五十三条

通則法第五十二条及び五十三条

特定独立行政法人以外の独立行政法人の役員

国立大学法人等の役員

第五十二条第三項

同法第五十二条第三項

実績」と

実績」と、同条第二項及び同法第五十三条中「主務大臣」とあるのは「文部科学大臣」と、同条中「評価委員会」とあるのは「国立大学法人評価委員会」と

第六十三条第一項

特定独立行政法人以外の独立行政法人の職員

国立大学法人等の職員

第六十三条第二項

特定独立行政法人以外の独立行政法人

国立大学法人等

 

(財務大臣との協議)

第四十条 文部科学大臣は、次の場合には、財務大臣に協議しなければならない。

 一 第三十二条第一項の規定により中期目標を定め、又は変更しようとするとき。

 二 第三十八条第二項の規定により同項に規定する金額を定めようとするとき。

 三 第二十四条第二項、第三十一条第二項、第三十三条第一項、第三十五条第一項、第二項若しくは第六項又は第三十七条第一項並びに第三十九条において準用する通則法第四十五条第一項ただし書若しくは第二項ただし書又は同法第四十八条第一項の規定による認可をしようとするとき。

 四 第三十四条第一項又は第三十九条において準用する通則法第四十四条第三項の規定による承認をしようとするとき。

 五  第三十九条において準用する通則法第四十七条第一号又は第二号の規定による指定をしようとするとき。

 

(他の法令の準用)

第四十一条  ▽△法(◇◇X年法律第○号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、国立大学法人等を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。

2  △▽法(◇◇X年法律第○号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、国立大学法人等を通則法第二条第一項に規定する独立行政法人とみなして、これらの法令を準用する。

 

 

第六章  罰則

 

第四十二条  第十八条(第二十七条において準用する揚合を含む。)の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

 

第四十三条  第三十九条において準用する通則法第六十四条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした国立大学法人等の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。

 

第四十四条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした国立大学法人等の役員は、二十万円以下の過料に処する。

 一 第二章から第四章までの規定及び第三十九条において準用する通則法の規定により文部科学大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。

 二 第二章第一節の規定(第二十七条において準用する場合を含む。)並びに第三十九条において準用する通則法の規定により文部科学大臣の届出をしなければならない場合において、その届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

 三 第二章第一節の規定(第二十七条において準用する場合を含む。)又は第三十三条第五項並びに第三十九条において準用する通則法の規定により公表をしなければならない場合において、その公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。

 四 第三十九条において準用する通則法第九条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠ったとき。

 五 第二十四条第一項に規定する業務(大学共同利用機関法人の役員にあっては、第三十一条第一項に規定する業務。)以外の業務を行ったとき。

 六 第三十三条第四項の規定による文部科学大臣の命令に違反したとき。

 七 第三十九条において準用する通則法第三十三条の規定による事業報告書の提出をせず、又は事業報告書に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして事業報告書を提出したとき。

 八  第三十九条において(読み替えて)準用する通則法第三十八条第四項の規定に違反して同項に規定する財務諸表、事業報告書、決算報告書若しくは監事及び会計監査人の意見を記載した書面を備え置かず、又は閲覧に供しなかったとき。

 九  第三十九条において準用する通則法第四十七条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。

 十  第三十九条において準用する通則法第六十五条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

 

第四十五条  第八条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。

 

 

附 則

 

(施行期日)

第一条  この法律は、平成十五年十月一日から施行する。

 

(国立大学法人の設立手続きに関する特例)

第二条  この法律の施行の際、現に附則第四条の表の上欄に掲げる大学の学長である者は、それぞれ同表の下欄に掲げる国立大学法人の学長となるべき者として、第三十九条において準用する通則法第十四条第一項の規定により指名されたものとみなす。

2  前項の規定により学長となるべき者に指名されたものとみなされた者から、その者の学長としての任期の末日が平成十六年三月三十一日以前であることその他の事由により、他の者を学長となるべき者として指名すべき旨の申出があったときには、文部科学大臣は当該申出がなされた者を学長となるべき者として指名するものとする。

3  第一項の規定により学長となるべき者と指名されたものと見なされた者及び前項の規定により学長となるべき者と指名された者であって、附則第四条の表の下欄に掲げる国立大学法人の設立の際現にそれぞれ同表の上欄に掲げる大学の学長であるものが、第三十九条において準用する通則法第十四条第二項の規定により学長となった場合における当該学長としての任期は、第十五条第一項の規定にかかわらず、法人成立の日におけるその者の附則第四条の表の上欄に掲げる大学の学長としての任期の残任期間と同一の期間とする。ただし、当該任期の末日が平成十六年三月三十一日である場合は、この限りでない。

4  第一項又は第二項の場合における第三十九条の規定の適用については、同条の表第十五条第二項の項及び同表第十六条の項中「学長となるべき者」とあるのは「学長となるべき者(附則第二条第一項の規定により学長となるべき者として指名されたものと見なされた者又は同条第二項の規定により学長となるべき者として指名された者を含む。)」とする。

 

(国立大学法人等の成立)

第三条  別表第一に規定する国立大学法人又は別表第二に規定する大学共同利用機関法人は、第三十九条において準用する通則法第十七条の規定にかかわらず、平成十六年四月一日に成立する。

2  前項の規定により成立した国立大学法人等は、第三十九条において準用する通則法第十六条の規定にかかわらず、法人の成立後遅滞なく、政令で定めるところにより、その設立の登記をしなければならない。

 

(職員の引継ぎ等)

第四条  前条第一項の規定による各国立大学法人等の成立の際現に次の表の上欄に掲げる機関の職員である者は、別に辞令を発せられない限り、前条第一項の規定による国立大学法人等の成立の日(以下「成立日」という。)において、それぞれ同表の下欄に掲げる国立大学法人等の職員となるものとする。

 

機 関

国立大学法人等

国立学校設置法第三条の表に規定する北海道大学

国立大学法人北海道大学

同表に規定する筑波大学及び同法第九条に規定する国立久里浜養護学校

国立大学法人筑波大学

国立学校設置法第三章の三に規定する大学共同利用機関のうち、人間文化に関する研究を行うもの(P)として政令で定める機関

大学共同利用機関法人人間文化研究機構

 

第五条  前条の規定により各国立大学法人等の職員となった者に対する国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第二項の規定の適用については、各国立大学法人等の職員を同項に規定する特別職国家公務員等と、前条の規定により国家公務員としての身分を失ったことを任命権者の要請に応じ同項に規定する特別職国家公務員等となるため退職したこととみなす。

 

第六条  附則第四条の規定により同条の表の上欄に掲げる機関(以下「旧機関」という。)の職員が同表の下欄に掲げる国立大学法人等の職員となる場合には、その者に対しては、国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)に基づく退職手当は、支給しない。

2  各国立大学法人等は、前項の規定の適用を受けた当該国立大学法人等の職員の退職に際し、退職手当を支給しようとするときは、その者の国家公務員退職手当法第二条第一項に規定する職員(同条第二項の規定により職員とみなされる者を含む。)としての引き続いた在職期間を当該国立大学法人等の職員としての在職期間とみなして取り扱うべきものとする。

3  成立日の前日に旧機関の職員として在職する者が、附則第四条の規定により引き続いて当該国立大学法人等(以下この項において「承継法人」という。)の職員となり、かつ、引き続き承継法人の職員として在職した後引き続いて国家公務員退職手当法第二条第一項に規定する職員(以下この項において「支給対象職員」という。)となった場合(承継法人の職員として在職した後、引き続き一以上の国立大学法人等の職員として在職し、引き続いて支給対象職員となった場合を含む。)におけるその者の同法に基づいて支給する退職手当の算定の基礎となる勤続期間の計算については、その者の承継法人の職員としての在職期間(承継法人の職員として在職した後、引き続いて一以上の国立大学法人等の職員として在職した場合にあっては、当該一以上の国立大学法人等(以下この項において「再承継法人」という。)の職員としての在職期間を加えたもの。)を支給対象職員としての引き続いた在職期間とみなす。ただし、その者が承継法人又は再承継法人を退職したことにより退職手当(これに相当する給付を含む。)の支給を受けているときは、この限りでない。

4  各国立大学法人等は、成立日の前日に旧機関の職員として在職し、附則第四条の規定により引き続いて当該国立大学法人の職員となった者のうち成立日から雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)による失業給付の受給資格を取得するまでの間に当該国立大学法人等を退職したものであって、その退職した日まで旧機関の職員として在職したものとしたならば国家公務員退職手当法第十条の規定による退職手当の支給を受けることができるものに対しては、同条の規定の例により算定した退職手当の額に相当する額を退職手当として支給するものとする。

 

第七条  附則第四条の規定により国立大学法人等の職員となった者であって、成立日の前日において文部科学大臣又はその委任を受けた者から児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)第七条第一項(同法附則第六条第二項、第七条第四項又は第八条第四項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による認定を受けているものが、成立日において児童手当又は同法附則第六条第一項、第七条第一項若しくは第八条第一項の給付(以下この条において「特例給付等」という。)の支給要件に該当するときは、その者に対する児童手当又は特例給付等の支給に関しては、成立日において同法第七条第一項の規定による市町村長(特別区の区長を含む。)の認定があったものとみなす。この場合において、その認定があつたものとみなされた児童手当又は特例給付等の支給は、同法第八条第二項(同法附則第六条第二項、第七条第四項又は第八条第四項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、成立日の前日の属する月の翌月から始める。

 

 (各国立大学法人等の職員となる者の職員団体についての経過措置)

第八条  各国立大学法人等の成立の際現に存する国家公務員法第百八条の二第一項に規定する職員団体であって、その構成員の過半数が附則第四条の規定により国立大学法人等に引き継がれる者であるものは、各国立大学法人等の成立の際労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)の適用を受ける労働組合となるものとする。この場合において、当該職員団体が法人であるときは、法人である労働組合となるものとする。

2  前項の規定により法人である労働組合となったものは、成立日から起算して六十日を経過する日までに、労働組合法第二条及び第五条第二項の規定に適合する旨の労働委員会の証明を受け、かつ、その主たる事務所の所在地において登記しなければ、その日の経過により解散するものとする。

3  第一項の規定により労働組合となったものについては、成立日から起算して六十日を経過する日までは、労働組合法第二条ただし書(第一号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。

 

(権利義務の承継等)

第九条  各国立大学法人等の成立の際、現に国が有する権利及び義務のうち、当該国立大学法人等が行う第二十四条(附則第十六条第一項に規定する業務を含む。附則第十九条において同じ。)又は第三十一条に規定する業務に関するものは、政令で定めるところにより、政令で定めるものを除き、当該国立大学法人等が承継する。

2  前項の規定により各国立大学法人等が国の有する権利及び義務を承継したときは、当該国立大学法人等に承継される権利に係る資産で政令で定めるものの価額の合計額から、成立日において計上する引当金であって文部科学省令で定めるものの金額の合計額(国立大学法人にあっては、当該合計額に附則第十一条第一項の規定により当該国立大学法人等がセンターに対し債務を負担することとされた金額を加えた金額。)を差し引いた額に相当する金額は、政令で定めるところにより、政府から当該国立大学法人等に対し出資されたものとする。

3  文部科学大臣は、前項の文部科学省令を定めようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。

4  第二項の出資の価額は、成立日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。

5  前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。

 

第十条  各国立大学法人等の成立の際、国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十五年法律第   号。以下「整備法」という。)による廃止前の国立学校特別会計法(昭和三十九年法律第五十五号)第十七条の規定に基づき文部科学大臣から旧機関の長に交付され、その経理を委任された金額に残余があるときは、その残余に相当する額は、成立日において各国立大学法人等に奨学を目的として寄附されたものとする。この場合において、当該寄附金の経理に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。

 

(センターの債務の負担等)

第十一条  文部科学大臣が定める国立大学法人は、センターに対し、独立行政法人国立大学財務・経営センター法(平成十五年法律第   号)附則第八条第一項第六号の規定によりセンターが承継した借入金債務のうち、当該国立大学法人の借入に係る部分として文部科学大臣が定める債務に相当する額の債務を負担する。

2  前項の規定により債務を負担することとされた国立大学法人は、センターが承継した借入金債務を共同して保証するものとする。

3 第一項の規定により負担する債務の償遺、当該債務に係る利子の支払いその他の同項の規定による債務の負担、及び前項の規定により行う債務の保証に関し必要な事項は、政令で定める。

4  前項の債務の償還及び当該債務に係る利子の支払いついては、第三十五条第二項に規定する長期借入金又は債券の発行による収入をもって充ててはならない。

 

(国有財産の無償使用)

第十二条  国は、各国立大学法人等の成立の際現に旧機関に使用されている国有財産であって政令で定めるものを、政令で定めるところにより、当該国立大学法人等の用に供するため、当該国立大学法人等に無償で使用させることができる。

 

(国の無利子貸付け等)

第十三条 国は、当分の間、国立大学法人等に対し、その施設の整備で日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法(昭和六十二年法律第八十六号)第二条第一項第二号に該当するものに要する費用に充てる資金の全部又は一部を、予算の範囲内において、無利子で貸し付けることができる。この場合における第三十九条の規定の適用については、同条の表第四十五条第五項の項中「国立大学法人法第三十五条第一項又は第二項の規定による場合を除くほか」とあるのは「国立大学法人法第三十五条第一項若しくは第二項又は同法附則第十三条第一項の規定による場合を除くほか」とする。

2  前項の国の貸付金の償還期間は、五年(二年以内の据置期間を含む。)以内で政令で定める期間とする。

3  前項に定めるもののほか、第一項の規定による貸付金の償還方法、償還期限の繰上げその他償遺に関し必要な事項は、政令で定める。

4  国は、第一項の規定により国立大学法人等に対し貸付けを行った場合には、当該貸付けの対象である施設の整備について、当該貸付金に相当する金額の補助を行うものとし、当該補助については、当該貸付金の償還時において、当該貸付金の償還金に相当する金額を交付することにより行うものとする。

5  国立大学法人等が、第一項の規定による貸付けを受けた無利子貸付金について、第二項及び第三項の規定に基づき定められる償還期限を繰り上げて償還を行った場合(政令で定める場合を除く。)における前項の規定の適用については、当該償還は、当該償還期限の到来時に行われたものとみなす。

 

(国が設置する大学等に関する経過措置)

第十四条  各国立大学法人の成立の際、附則第四条の表の上欄に掲げる大学(附則第十七条において「旧大学」という。)は、それぞれ同表の下欄に掲げる国立大学法人が第四条に定めるところにより設置する国立大学となるものとする。

 

第十五条  附則別表の第二欄に掲げる国立大学法人は、第四条第二項に定めるもののほか、それぞれ同表の第四欄に掲げる日までの間、同表の第二欄に掲げる短期大学を設置する。

2  前項の規定により短期大学を設置する国立大学法人に対する第二十四条の適用については、「国立大学」とあるのは「国立大学(附則別表の第三欄に掲げる短期大学を含む。)」とする。

3  各国立大学法人の成立の際、旧法第三条の五第二項の規定により国が設置している附則別表の第一欄に掲げる国立短期大学は、それぞれ同表の第二欄に掲げる国立大学法人が設置する同表の第二欄に掲げる短期大学となるものとする。

 

第十六条  各国立大学法人の成立の際、現に整備法による廃止前の国立学校設置法の一部を改正する法律(平成十四年法律第二十三号)附則第二項の規定により在学する者が大学に在学しなくなる日までの間存続するものとされる図書館情報大学、山梨大学及び山梨医科大学並びに整備法による廃止前の国立学校設置法の一部を改正する法律(平成十五年法律第  号)附則第  項の規定により在学する者が大学に在学しなくなる日までの間存続するものとされる東京水産大学.....に在学する者は、当該在学に係る大学を卒業するために必要であった課程の履修を、次の表の上欄に掲げる大学ごとにそれぞれ同表の下欄に掲げる国立大学において引き続き行うものとし、当該国立大学に係る国立大学法人は、同表の上欄に掲げる大学に在学する者が当核大学に在学しなくなる日までの間、第二十四条に規定する業務のほか、そのために必要な当該国立大学における教育及びこれに附帯する業務を行うものとする。この場合における課程の履修その他当該学生の教育に関し必要な事項は、当該国立大学の定めるところによる

大学

必要な教育を行う国立大学

図書館情報大学

筑波大学

 

2  前項の規定により国立大学法人の業務が行われる場合には、第三十四条第一項中「第二十四条」とあるのは「第二十四条若しくは附則第十六条第一項」と、第四十四条第五号中「第二十四条」とあるのは「第二十四条又は附則第十六条第一項」とする。

 

第十七条  第十四条の場合において、旧法の規定により旧大学又は旧大学の学部に附属して設置される学校及び専修学校は、文部科学省令で定めるところにより、旧大学ごとにそれぞれ附則第四条の表の下欄に掲げる国立大学法人が設置する国立大学に置かれる附属学校及び専修学校になるものとする。

2  国立大学法人筑波大学の成立の際、旧法第九条に規定する国立久里浜養護学校は、文部科学省令で定めるところにより、別表第一に規定する筑波大学の附属の学校になるものとする。

 

(不動産に関する登記)

第十八条  各国立大学法人が附則第九条第一項の規定により不動産に関する権利を承継した場合において、その権利につきなすべき登記の手続については、政令で特例を定めることができる。

 

(国の利害に関係ある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律に関する経過措置)

第十九条 各国立太学法人等の成立の際現に係属している当該国立大学法人等が行う第二十四条又は第三十一条に規定する業務に関する訴訟事件又は非訟事件であって当該国立大学法人等が受け継ぐものについては政令で定めるところにより、当該国立大学法人等を国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律(昭和二十二年法律第百九十四号)に規定する国又は行政庁とみなし、同法を適用する。

 

(名称の使用制限に関する経過措置)

第二十条 この法律の施行の際現にその名称中に国立大学法人又は大学共同利用機関法人という文字を用いている者については、第八条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。

 

(政令への委任)

第二十一条  附則第四条から第十二条まで、附則第十四条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 

 

附則別表(附則第十五条関係)

国立短期大学

国立大学法人

短期大学

期 間

北海道大学医療技術短期大学部

国立大学法人北海道大学

北海道大学医療技術短期大学

平成十九年四月一日又は第三欄に掲げる大学に在学する者が当該大学に在学しなくなる日のいずれか遅い日

 

別表第一 (第二条、第四条、第十条関係)

国立大学法人の名称

国立大学の名称

主たる事務所の所在地

理事の数

国立大学法人北海道大学

北海道大学

北海道

国立大学法人琉球大学

琉球大学

沖縄県

備考

           政策研究大学院大学、総合研究大学院大学、北陸先端科学技術大学院大学及び奈良先端科学技術大学院大学は、学校教育法第六十八条に規定する大学とする。

           総合研究大学院大学は、大学共同利用機関並びに独立行政法人宇宙航空研究開発機構及び独立行政法人メディア教育開発センターとの緊密な連係及び協力の下に教育研究を行うものとする。

           筑波技術短期大学及び高岡短期大学は、学校教育法第六十九条の二第二項に規定する短期大学とする。

 

別表第二(第五条、第二十五条、第二十一条関係)

大学共同利用機関法人の名称

研 究 分 野

主たる事務所の所在地

理事の数

大学共同利用機関法人人間文化研究機構

人間の文化活動並びに人間と社会及び自然との関係に関する研究

東京都

大学共同利用機関法人自然科学研究機構

天文学、物質科学、エネルギー科学及び生命科学その他自然科学に関する研究

東京都

大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

高エネルギー加速器による素粒子、原子核並びに物質の構造及び機能に関する研究並びに加速器に関する研究その他加速器科学に関する研究

茨城県

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構

情報に関する科学の総合研究並びにその自然及び社会における諸現象等の体系的な解明への応用に関する研究

東京都