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<発信箱>レッテル張りのむなしさ 今松英悦(論説室)
毎日新聞ニュース速報
知人の国立大学教授が年賀状で、「学内で次第に守旧派になってきた」と書い
てきた。国立大学は法人化を控えて、学部改組や大学院の充実、独立採算化に
向け収益事業探しに躍起だ。
文部科学省におぼえめでたくするとともに、お金もうけにも精を出そうという
わけだ。古くさい大学自治や学問の独立をいう教員は、反改革とレッテルを張
られる。
また、関西のある国立大の付置研究所教授からは、その研究所が文科省の大学
リストラの一環としてつぶされそうだとのメールが入った。研究業績面では問
題はないが、専任教員数が少ないことが廃止の決め手だという。この教授も改
革に異を唱えているのだから、守旧派とされるだろう。
守旧派という言葉が頻繁に使われるようになったのは衆院への小選挙区導入の
ころだ。小選挙区こそが、政策本位の政治実現の道で、この改革に反対するこ
とは守旧であるという論理だった。しかし、小選挙区で政治はより利益誘導型
になった。現状を変えることがすべて良いわけではないのだ。
ところが、その後、改革に疑問を呈したり、異を唱えたとたんに、十把ひとか
らげで守旧派や抵抗勢力のらく印を押されることになった。
小泉純一郎首相の構造改革にも、多くの問題がある。創造的破壊といっても、
ただ、壊せばいいものではない。壊してはならないものもある。行財政改革の
論理だけでは、学問研究は死んでしまう。都市再生でも、まちを殺すような規
制緩和は許されない。
「守旧派」と呼ばれてもひるんではならない。 (論説室)
[2003-01-29-23:22]
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