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☆<ここだけの話>「民営化」の安売り 牧 太郎
  .毎日新聞ニュース速報03/01/28
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<ここだけの話>「民営化」の安売り 牧 太郎


毎日新聞ニュース速報

 あいも変わらず、小泉さんが「改革なくして成長なし!」と叫ぶ。うんざりす
 る。改革はそれなりに前進しているのに……なぜか、うんざりする。

 例えば大学改革である。先週末、東京都八王子市で行われた大学職員セミナー
 「大学危機回避 モラールとミッションの再構築」で就任直後の御手洗康・文
 部科学省次官が講演した。誇り高い大学人が「危機回避」なんて言葉を使い、
 国会対策で多忙な次官が若手の職員に「改革」を訴える。珍しいことだ、と思
 い見学した。そうした「緊張」は改革が前進している証拠である。

 大学の需給アンバランス。一部の私立大学は倒産し、国立大学は2004年4
 月、独立行政法人になる。国の財政だけを当てにすることは出来ない。御手洗
 次官は「社会人の受け入れ、産学提携、地域貢献が今後の大学の生きる道」と
 話した。

 ほぼ僕と同世代の次官が東大生だった60年代後半、学生運動は「産学協同粉
 砕!」だった。彼も学生運動に参加していた?と推察して、時代の変わり様に
 苦笑してしまった。

 独立行政法人になる「国立大学」は授業料を独自に決めることが出来る。“料
 金”が競争だ。ここだけの話だが“一律料金”は独占禁止法上の談合になので
 は――と心配している大学職員もいる。

 すべて「改革」は、時代の変化で実現する。小泉さんが担当大臣に「君は抵抗
 勢力なのか!」と詰め寄ったから実現したものでもない。

 小泉さんがむやみやたらに改革!改革!と言うので、浮足立っている人々もい
 る。「アレも民営化」「コレも民営化」と叫ばないと時代遅れと勘違いするの
 だろう。

 国立大学は利益追求の株式会社が良い、という意見がある。大不況で貧富の差
 は一段と大きくなっている。利益追求の大学株式会社では、経済的な理由で教
 育が差別される恐れがある。そんな民営化の安売りに、僕は国家理念の喪失を
 感じる。

 小泉さんは「僕の専売特許」と言わんばかりに「改革!」を連発する。しかし
 「改革なくして……」と小泉節を聞く度に「また例の『昔の名前で出ています』
 ですか」と冷ややかに笑う人が増えているのも事実である。 (専門編集委員)


[2003-01-28-15:18]