トップへ戻る   東職HPへ戻る
独行法反対首都圏ネットワーク

☆国立大学法人法骨子素案をみて-Part2
 .1/21/03 山形大学 品川敦紀
--------------------------------------------------------------


he-forum各位                    1/21/03

            山形大学 品川敦紀

先日、「国立大学法人法骨子素案をみて」の感想を述べましたが、本日の朝日新聞の報道
などもあわせて今一度見直してみると、もう一つ別の問題があるように思いましたので、
再び述べさせていただきます。

昨年3月の文部科学省調査検討会議の最終報告において、突如(実際には2月頃からささ
やかれていましたが)、教職員の非公務員化が盛り込まれました。その理由として、教員
の兼業の自由化とか、外国人教員の管理職への招聘などがあげられていましたが、そのい
ずれも、全教職員を非公務員化しなければならない必然的理由にならないことは、すでに
各方面から指摘されています。

そうした指摘の中にもあったとは思いますが、今回の法案骨子素案には、少なくとも教員
が公務員で教育公務員特例法が適用されたままでは、実現できない様な内容が多数盛り込
まれており、非公務員化の本当のねらいが、教育公務員特例法の不適用にあったのではな
いかとの疑いを強くします。

例えば、教育公務員特例法では、学長の選考は評議会が行うことになっています。したが
って、教育公務員特例法が適用されたままでは、「学長選考会議」による学長選考は不可
能です。

また、「学長選考会議」による学長解任の発議と文部科学大臣による学長解任も、教育公
務員特例法にある評議会による学長罷免審査を不適用にしなければ無意味となります。

この他、部局長、教員の任免に当たっても教授会や評議会の権限を広く認める教育公務員
特例法を不適用としなければ、学長による部局長の任免や教員人事への学長や学外者の参
加といったことも不可能でしょう。そして、特に注意しておきたいのは、学部長の選考す
ら、教授会による選考ではなく、学長による一方的任命も十分ありうるということです。

これまで、教職員の非公務員化による教育公務員特例法の不適用の問題点の指摘にたいし
て、国大協などは、「法人ごとの規則で教育公務員特例法の精神を生かしていく」かのよ
うなごまかしの説明をしていましたが、今回の法案骨子通りならば、学内規則で教育公務
員特例法の精神を生かす余地など、ほとんどないでしょう。

法案骨子は、国立大学を文部科学省と学外者のコントロールの下に置き、大学の自主性・
自律性を全面否定しようとするものです。文科省調査検討会議最終答申の「学長の選考に
関する基準、手続は、大学における人事の自主性・自律性の考え方を踏まえつつ、法人の
適切な管理運営に責任を持つ法人の長として必要な要件をも加味したものとすることが適
当である。」の「大学における人事の自主性・自律性」は、どう考慮されたのかーーと思
います。こうしてみると、「国立大学法人法案」は、憲法違反の疑いが濃厚のように思え
ます(法律は素人ですが)。

文科省調査検討会議最終答申すらとても受け入れられない内容でしたが、今回の法案骨子
は、まるで最終答申の最も悪い部分だけを抽出して作り出したもののように思えてなりま
せん。法案骨子は、最終答申を総体として(たとえば、国が設置者となることもふくめて
)受け入れたはずの国大協すら欺くものです。いったい国大協は、全国の国立大学関係者
にどう説明するのでしょうか?

振り返ってみれば、今回の国立大学の独法化のたくらみは、その最初から、大学人の反発
の強い部分は曖昧にし、あるいは、平気で嘘をつき、徐々に大学人を慣らして取り込んで
行き、既成事実を積み重ねたうえで、大学人の反発が弱まったのを見て、最後は、不都合
な約束は全て破棄するという徹頭徹尾、詐欺そのものでした。そうした詐欺に積極的に荷
担した国大協執行部の責任は免れないことでしょう。