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☆[実学大学院]「世界に通用する職業人を育てよ」
 [he-forum 4960].読売新聞ニュース速報 1月16日付・読売社説(1)
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Subject: [he-forum 4960] 社説[実学大学院]「世界に通用する職業人を育てよ」(読売新聞03/01/16)
To: he-forum <he-forum@ml.asahi-net.or.jp>

[実学大学院]「世界に通用する職業人を育てよ」
読売新聞ニュース速報 1月16日付・読売社説(1)

 
 有為な人材を輩出できるかどうか。成否は、その一点にかかっている。
 大学院で専門的職業人を育てる動きが広がっている。研究者養成一辺倒だった
 大学院教育の見直しである。
 学部教育のありかた、大学院と企業、行政などとの関係を一変させる可能性を
 持つ。この機運を生かし、高度な専門知識と技術を持ち、国際的にも通用する
 職業人の育成を図らねばならない。
 アメリカで経営学修士(MBA)取得がビジネスエリートへのパスポートとさ
 れているように、大学院での実学教育重視は世界的な傾向だ。日本での取り組
 みは、理工系を除いて立ち遅れていた。
 大学院は研究者育成の場、としてきた大学人の意識の問題もあった。企業の側
 にも、自らの手で職業教育を施すのが最善とする風土があったことが、立ち遅
 れの背景にある。
 だが、めまぐるしい技術革新や国際競争、長引く不況に対するには、企業内教
 育だけでは限界がある。
 一九九八年、当時の大学審議会が職業人育成の専門大学院設置を提案したのを
 機に、一橋大、京大、九大、中央大などが、経営・金融、社会健康医学、国際
 会計などの分野で、職業人養成のための修士課程を設けた。
 さらに、論文提出などを義務づけない「専門職大学院」の設置が、学校教育法
 改正で可能になり、四月から実施される。早大、芝浦工大などが参入する。東
 大が公共政策分野の課程を設置するかどうかも注目されている。
 時代の流れともいうべき大学院での職業人養成だが、課題は多い。
 企業や国、自治体が、修了者を活用できるかどうか。修士取得を採用や昇進に
 反映させるのは、年功序列の残る人事体系と摩擦を生じる恐れもある。
 何より、大学院での教育内容が問われる。実践的な教育には、具体的な事例研
 究に基づく討論や、現地視察が欠かせない。実務経験豊かな教員をどれだけそ
 ろえられるかも、成果を左右する。
 専門職大学院設置の動きには、法科大学院(ロースクール)制度の確立が一つ
 のきっかけになった。だが、法科大学院と違い、他の分野の専門職大学院修了
 者には、目に見える特典がない。
 学んだことが実際の役に立つことを修了者が実証し、社会の評価を勝ち得るこ
 とで、初めて制度が定着する。修了者のレベルは、国際的にも問われる。
 腰を据えた取り組みが必要だ。一過性で終わらせては、大学院教育の展望は開
 けない。

[2003-01-16-09:12]