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独行法反対首都圏ネットワーク

☆山大教育学部問題、待たれる協議の進展
 . [he-forum 4955] 1/15山形新聞ニュース
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2003年1月15日 水曜日 山形新聞ニュース
山大教育学部問題、待たれる協議の進展

 硬直した感のあった山形大教育学部の再編・統合問題に、わずかな地殻変動が起こった
。山形大が「開放型」の教員養成を模索し、県に打診していることが明らかになった。関
係者は「せめて年度内には、一定の方向性を見いだす必要がある」と口をそろえる。山形
大と県の協議は、これを機に進展するのだろうか。

 8日午後。高橋和雄知事が県庁4階の県政記者クラブに顔を出した。年に何度か、ふらり
とやって来ることがある。

 近く県立中央病院に入院することを明かすと、いつしか話題は山形大教育学部問題に移
った。

 「(山形大の提案は)入学定員が5、60人と言っているが、学長や副学長では(教員養
成の在り方について)具体的な内容がよく分からない。教育学部を残し、石島(庸男)学
部長に男を上げてもらいたい」

 県に対し、山形大から何らかの返答があったことを示唆し、しばらく記者団と懇談する
と、知事は5階の自室に戻った。

 山形大の鬼武一夫、沼沢誠両副学長は昨年末、「教師教育システム」の導入を県に打診
した。現在、教育学部で行われている計画養成ではなく、一般学部に教員養成機能を残す
「開放型」と呼ばれる手法。学部存続に向けて、県が6年間の一貫教育を盛り込んだ独自
の試案を提出してから約4カ月。人知れず、ボールは県に投げ返された。

 山形大の本部が描いたシステムは、大学、県、山形市の3者が共同で教師教育の維持・
発展を図る協議会設置を想定しており、地域と連携しながら教員を養成していく姿勢を打
ち出した。

 教師のOB、OGらで構成する山形大教育学部を存続・支援する会の鈴木栄三会長は「
昨年5月から仙道(富士郎)学長が言ってきたことに、県の試案のエキスをただ張り付け
ただけのような印象。内部で真剣に討議したのであれば、定員が何人、教官が何人で、こ
んなカリキュラムになりますと、もっと具体的な説明があっていい」と手厳しい。

 高橋知事が引っ掛かるのは、やはり当事者であるはずの教育学部がシステムづくりに一
切かかわっていない点。さらに、水面下で物事を進めようとする大学のやり方に首をかし
げる。

 14日の定例会見で、知事は従来通り計画養成の必要性を強調した上で「いよいよ受験シ
ーズンを迎える。何も進展していないのならば、それでもいい。時期を逸さないように、
山形大の現状を説明してもらいたい」と述べ、公開の場で早期に山形大、県双方のアイデ
アを持ち寄るべきだとの考えを示した。

 山形大が開放型の教員養成を模索しているとの報道があった9日、大学と県の間には不
穏な空気が流れた。ある教官は「交渉はこれで決裂だ」と息巻いた。

 しかし、時の経過とともに落ち着きを取り戻した大学本部周辺は「早く話し合いを再開
し、閉塞(へいそく)した状況を打開しようという知事のメッセージではなかったか」と
の観測に覆われている。

 現段階で大学が考え得る教員養成の輪郭が、ぼんやりだが、浮かび上がった。果たして
これが、議論のたたき台になるのかどうか。県、県教育庁内部にも多様な意見が飛び交っ
ている。

 しかし、蚊帳の外に置かれた教育学部が鍵を握っていることに変わりはない。どのよう
なシステムになろうとも、最後に魂を入れるのは教育学部にほかならないからだ。