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独行法反対首都圏ネットワーク

☆上教大 現段階では「単独」姿勢/新大 「独法化前に」と積極的
 . [he-forum 4938] 新潟日報1/9
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『新潟日報』2003年1月9日付

教員養成系の再編統合
 方針にズレ 進まぬ議論
上教大 現段階では「単独」姿勢/新大 「独法化前に」と積極的

  国が再編統合を含む教員養成系学部・単科大学の具体的な改革指針を打ち
出して1年。「1県1国立大体制」にも変革の波が押し寄せる中、全国で唯一、
上越教育大、新潟大教育人間科学部の二つの教員養成系大学・学部を抱える本
県では、再編統合の協議の場さえ定まっていない。単独方針を打ち出す上教大
と、2004年に迫った独立行政法人化(独法化)を前に前向きな新大。再編統合
そのものへの温度差から議論は平行線をたどっている。(報道部・佐藤千尋)


 「単独で教員養成機能を担う考えは一度もぶれていない。各大学で教育研究
分野のパワーアップを図ることが先決」。上教大の増井三夫副学長は現段階で
の再編統合協議に否定的だ。 統合相手とされる新大について、上教大からは
「教育の質向上に何らメリットはない」と冷めた声さえ聞こえる。「単科大だ
からこそ、他学部に左右されず教育に人員や予算を注げる」との意見もある。

 その考えの基には、同大が勲章とも十字架とも呼ぶ、全国に3校しかない
「新構想大学」の自負がある。

 同大は学部学生だけでなく、全国の現職教員にも教育を行う大学として1978
年に開学。臨床心理士の養成、学部学生の臨床実習など新しい取り組みを積極
的に行ってきた。「国策」でつくった大学という事実は、再編統合への反論に
もなっている。

 一方の新大は、得意分野を補完し、大学のパワーアップになると再編統合に
前向きだ。「独法化の前に姿が見えれば一番いい」と深沢助雄副学長は話す。

 独法化という未曾有(みぞう)の大改革では、新構想大学も聖域にはならず、
「国立大学がつぶれる時代が来るとの危機感が共通認識になったとき、自然と
再編統合に向かう」と同大はみている。

 共通認識を生み出す場としては今のところ、昨年7月に発足した連携協議会
しかない。同大は「交流の中で、自然と意識の一致を図りたい」と期待を寄せ
る。

 上教大にとっても、独法化が大きな波との認識は変わらない。大学院で1―
2割の定員割れが続くなど、経営手腕を問われる独法化に向け「相当な努力」
が必要なことも認める。しかし、「協議会は再編統合を前提としないとして発
足した」とし、協議会を再編論議の場とすることには否定的だ。

 南東北(山形大、福島大、宮城教育大)の再編案が山形県の強固な反対で白
紙に戻るなど、再編統合の動きは全国的にも順調ではない。

 この"破談"以降、文部科学省は、「大学自身の問題」「地域との話し合いを」
と推進のトーンを弱める。再編統合の「地図」の提示の予定も今のところない。

 「単独にしろ、再編統合にしろ、社会が大学を必要と思える具体案を出して
ほしいが、期限や枠組みは国が決めることではない」。同省の本間実教育大学
室長は静観の構えを貫く。

 教員養成学部を持つ国立大は37校、単科大は11校ある。だが教員養成課程の
再編統合を正式に決めた大学はまだない。