独行法反対首都圏ネットワーク |
『東京新聞』2003年1月7日付
長期的な人材育成を
日本の科学技術政策 白川英樹さんに聞く
ノーベル化学賞受賞者の白川英樹さん(66)=筑波大名誉教授=が五日付
で国の総合科学技術会議の議員を辞任した。二〇〇一年一月の会議発足と同時
に就任し、ナノテクノロジーなどの分野を中心に、科学技術政策づくりに携わっ
てきた。二年間の議員生活を振り返ってもらった。 (大島 弘義)
――最初から議員として、政策づくりにかかわってこられたが。
政府の科学技術政策を立案し、総理大臣に具申することが仕事。前身の科学
技術会議は年一、二回の開催だったが、すでに二十三回開き、総理に直接、話
を聞いてもらった。省庁は縦割りだが、会議を軸に意思疎通が図られるように
なってきたと思う。
――課題は。
国としてどのくらい先を見通しているか。今は経済の低迷で、閣僚も科学技
術で経済のてこ入れをと考えている。三十年、五十年先の人材をどうやって育
てるのか。そういう長期的な視点を持つ省庁は少なかったと感じる。
――議員を続けてほしいという声もあるが。
五年、十年という人もいていいが、新しい血を入れるべきだというのが私の
考えで、自分で実行した。三十四年の大学生活に勝るとも劣らない密度の高い
時間だった。自分自身、知らないことを学ぶことができ、得るところは大きかっ
た。
――今後は。
定職には就かないつもり。最もよい人生は自分の時間を使うこと。それを考
えるため期間をおきたい。だから、最後の会合で「性急にあれこれ頼まないで」
と申し上げた(笑い)。若者の理科離れには危機感があり、個人としてできる ことをやれればと思っている。 |