独行法反対首都圏ネットワーク |
遠山文科相年頭所感より(抜粋)
(大学改革)
「知の創造と継承の拠点」である大学が、その期待される役割を十二分に果
たしていけるよう、大学の構造改革をはじめとする様々な大学改革が進行中で
あり、我が国の大学制度の歴史の上でも重要な時期を迎えております。大学の
果たすべき機能の第一は教育にあり、豊かな教養と必要な専門的知識を具えた
有為な人材を養成することであります。第二は研究にあり、優れた研究により
「知」の創造と発展を図ることであります。第三には、産学官連携をはじめ、
大学の持つ人的・物的な知の集積を活用し、社会に貢献することでありましょ
う。そのためには、我が国の大学は、一段とこれらの機能を活性化するととも
に、国際的な競争力を持つ魅力ある大学へと発展して欲しいものです。
具体的には、国立大学の再編・統合を引き続き積極的に進めるとともに、民
間的な経営手法を導入し、個性豊かで国際競争力ある大学づくりを進めるため、
平成十六年度から新しい「国立大学法人」とするための法律案を通常国会に提
出します。また、国公私立を通じて優れた研究教育拠点を重点支援する「二十
一世紀COEプログラム」や、教育面での改革の取組を一層促進するための
「特色ある大学教育支援プログラム」を推進いたします。
さらに、昨年の臨時国会における学校教育法の改正を受け、大学の設置認可
制度の弾力化、第三者評価制度の導入など大学の質の向上と保証に係る新たな
システムや、法科大学院などの専門職大学院制度の円滑な実施に向けた取組を
進めます。あわせて、私立学校の一層の振興や、教育を受ける意欲と能力のあ
る者の学習機会を確保するため、奨学金の充実に努めてまいります。
(科学技術・学術の振興)
冒頭で申し上げたノーベル賞受賞は、我が国の研究水準の高さが世界的レベ
ルにあることを示すとともに、独創的で多様な基礎研究の振興と、これを支え
る科学技術システムの重要性を再認識させるものでした。
そもそも科学技術は、日本経済の成長と構造改革を支え、希望ある未来を切
り拓く原動力であります。「知」の世紀といわれる二十一世紀において、高い
科学技術水準は国力の枢要な源泉であり、国民の生活や経済活動を持続的に発
展させていく鍵となるものです。
文部科学省としては、政府における研究開発の中核を担う立場にあることを
踏まえつつ、世界最高水準の「科学技術創造立国」の実現を目指し、社会経済
発展の原動力となる「知」の創造と活用に向け、第二期「科学技術基本計画」
に沿って科学技術及び学術の振興に力を注いでまいります。
このため、大学共同利用機関等を中心としたニュートリノ研究、加速器科学、
天文学研究等の国際水準の先端的・独創的研究の推進、新たな「知」を切り拓
く基礎研究等を推進するための競争的資金の拡充、科学技術・学術の優れた人
材の育成、「国立大学等施設緊急整備五カ年計画」の着実な実施をはじめ、最
先端の研究施設・設備等といった研究開発基盤の整備、産学官のそれぞれのポ
テンシャルを活かした連携の推進等に一層積極的に取り組んでまいります。ま
た、経済活性化、安心・安全な国民生活の実現など国家的・社会的課題に大き
く寄与するライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料等の
研究開発を戦略的に推進するとともに、大学発ベンチャーの創出や大学等を核
とする知的クラスターの創出など地域における科学技術の振興、「科学技術・
理科大好きプラン」をはじめとする科学技術・理科教育及び科学技術理解増進
活動の充実などを図ってまいります。
さらに、国の存立基盤となる宇宙、原子力、防災、海洋等の研究開発につい
ても、質の高い国民生活の実現に資するよう積極的に推進することが必要です。
宇宙開発については、三機関を統合した新法人が本年十月に万全のスタートを
きれるよう準備を進めつつ、昨年末のH‐IIAロケット四号機の打上げ成功に
象徴されるような我が国のロケット技術の国際競争力を高めるとともに、幅広
い宇宙開発利用を進めてまいります。また、原子力については、国民の信頼と
安全の確保を大前提として、原子力研究開発の推進に最適な体制を構築すべく、
原子力二法人統合に向けた検討を精力的に進めるとともに、高速増殖炉サイク
ル技術や国際協力によるITER計画への取組など研究開発を進めてまいりま す。 |