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独行法反対首都圏ネットワーク

☆県内大学は転換の年 生き残り模索本格化
[he-forum 4921] 宮崎日日新聞1/3

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『宮崎日日新聞』2003年1月3日付

県内大学は転換の年 生き残り模索本格化


 県内の大学が今年、激変期を迎え、地域全体で生き残りを探る取り組みが本
格化する。

 二国立大学の統合、私立大学の新学部設置によって「生命科学」分野の充実
に期待が膨らむほか、県内高等教育機関や産学官連携構想の実現に拍車が掛か
る。地域社会に密着した活力に富む大学づくりに向けて、‘知のスクラム’が
強化される。

 大きな転換期を迎えるのが、今年十月の宮崎大(藤原宏志学長)と宮崎医科
大(松尾寿之学長)の統合による「宮崎国立大学(仮称)」の誕生だ。宮崎大
の三学部(農学部、工学部、教育文化学部)と医学部の計四学部でスタート。
各大学院研究科に加え、学部横断的な「生命科学」「自然共生学」の大学院研
究科を新設する。

 藤原学長は県内十三高等教育機関の連携組織「高等教育コンソーシアム」と、
産学官を結ぶ「地域共同研究コンソーシアム」の構想を掲げ、地域社会への貢
献を重視する。両大の統合は「地域社会における高等教育機関の中核的な役割
をさらに高め、その体制整備に貢献するステップ」と位置付ける。

 宮崎医科大は統合に先立ち、〇三年度から大学院医学研究科に修士課程を新
設。他学部出身者の受け皿となり、学部間の協力がスムーズになる。松尾学長
は「生命科学の研究事業が『21世紀COEプログラム』に採択されたのも大
きな自信。新生大学の特色としてアピールできる」と話す。

 産学官連携の試みは、すでに始まっている。両大と県は昨年、生命科学の共
同研究事業を企画。大きな研究資金が獲得できる科学技術振興事業団(JST)
の地域結集型共同研究事業に提案し、〇三年度の本採択に向け準備を重ねる。

 藤原学長は「大学や地域産業界と連携を図り、大型研究事業に積極的に手を
挙げていく。コンソーシアム実現の弾みとなり、展望は明るい」と胸を張る。

 さらに〇三年度は九州保健福祉大学に薬学部、南九州大学に健康栄養学部が
新設される。県内全域で「生命科学」にかかわる分野が補完され、人材も集結。
共同研究の基盤がさらに充実する。

 県企画調整課は「高等教育機関をめぐる環境は厳しい。その逆風を追い風に
変えて、地域社会と大学との連携がようやく形になってきた。さらに高等教育
機関との連携を深め、地域活性化につなげたい」と話す。大学が地域との関係
を再構築する新たな局面を迎えようとしている。