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山形新聞ニュース 2002年12月20日 金曜日
いろいろありました…県政この1年(6)
突然の担当校断念、存続を求める県民運動、県の試案提出、学長の「失言」、評議会の
混乱…。5月の教授会決定に端を発した山形大教育学部の問題はこの7カ月間、驚くほど複
雑な経過をたどり続けた。
近隣の教員養成系大学・学部の再編を進めようとする文部科学省の意向を受け、南東北
の3大学間で学長協議が始まったのは3月中旬だった。再編の受け皿になる「担当校」はど
こか。
4月下旬、自然科学系の増設を目指す福島大が早々と矛を収めた。それから1カ月もたた
ない5月21日、今度は山形大教育学部が自らの意思で「学部の終えん」を選択した。
教育関係者の反応は早かった。緊急アピールや要望書提出が相次ぎ、県教育文化フォー
ラムは7月28日、県民会館で1500人規模の県民集会を開催した。
「広く県民の声を聞いて、再編問題に立ち向かってほしい」「少人数学級の支えとして
、教育学部の存在は欠かせない」「教育学部の決定は、社会と後世に対する責任放棄」。
会場に大学と学部に対するエール、批判が交錯した。
当事者の教育学部。就任半年で「担当校断念」に導いた石島庸男学部長は、まさに石の
ように口を閉ざし続け、頑として個別の取材を受け付けなかった。「学長の了解を得た」
として、9月からは教授会の終了後に記者会見を開いているが、県民が関心を寄せる再編
問題とは関係のない話題で報道陣をけむに巻くことが多い。
教育関係15団体は17日、一丸となってさらに強力な運動を展開するために、「山形大教
育学部存続を求める関係団体連絡会議」を設置した。44市町村の首長、教育長、正副議長
らに署名を要請し、小泉純一郎首相への要請活動を行う方針。教育学部存続を求める関係
者の行動は、ますます熱を帯びてきた。
県内の教育関係団体がこれほど連携、協調した例は過去になかったという。一方、昨年
の工学部入試判定ミスに続く難題を抱え、山形大と学長の存在がこれまでにないほどクロ
ーズアップされたのは皮肉と言うべきか。
学部存続に執念を燃やす高橋和雄知事は8月下旬、6年の一貫教育と財政支援を柱とした
試案を仙道富士郎学長に提出した。間もなく4カ月が経過しようとしているが、大学から
はまだ正式な返答はない。全国の注目を集める教育学部問題は、静かに越年しようとして
いる。
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