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『神奈川新聞』2002年12月13日付 教職課程の存続を ◆横浜国大教官らが請願 文部科学省の進める教員養成系大学・学部リストラ策の一環で東京学芸大学(岡本靖正 学長)への統廃合問題で揺れる横浜国立大学(横浜市保土ケ谷区常盤台、板垣浩学長)の 教育人間科学部の教官有志四十五人が十二日までに、県、横浜市、川崎市の三教育長に教 職課程存続支援の請願書を手渡した。教員採用増加期であり、独立法人化後も地域に貢献 できる教員養成と現職教員の再教育の拠点を守ろう、と訴えている。 教育人間科学部の石塚安広教授ら四十五人。大学院大学に転換した同大学と同学部将来 構想委員会は、教員養成課程(定員二百三十人)を切り離し東京学芸大に統合した上で、 残った地球環境、マルチメディア文化、国際共生社会の三課程(合計定員二百三十人)を ベースに再編する教養学部案を文科省に打診している。 請願書では、文科省のリストラ策を「効率優先で教育の理念からかけ離れ、地域の実情 を無視したもの」と批判。「山積する教育課題に地域の教委、教師・学校現場、大学の三 位一体で取り組むため、地域に根ざした新しい教員養成系学部、教育専門大学院が必要」 と支援を要請している。板垣学長にも提出した。 理由として、【1】県、横浜市、川崎市の教員採用枠は団塊世代の大量退職期に伴い大 幅増加期に入った【2】開かれた学校づくりや総合学習など地域に根ざした人材育成の拠 点【3】現職教員の質向上や現代的課題への対応など大学院レベルの再教育機関の確保を 挙げている。 教官らは対案として、現在の教育人間科学部を中核とした総合教育学部−教育専門大学 院などを構想しており、「神奈川から教員養成の灯を消すな」と、同大OBや現職教員ら と連携して県内教育界、地元自治体などへ請願活動を始める。 同学部は九八年に、それまでの教育学部教職課程を半減する形で再編、今春卒業生を出 したばかり。「〇四年度に独立法人化した後、地域社会に貢献する大学として再構築する ためにも地域と連携したい」とある教授は話した。 関東圏では、学芸大への統合話のあった山梨大は山梨医科大との統合を選び"戦線離脱" 。埼玉大への統合案が出ている群馬大学でも、多数の教官や市民団体が白紙撤回を要望し ている。 国立大学教員養成課程の統廃合問題 文部科学省の「今後の国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会(在り方懇 )」が二〇〇〇年八月、少子化のため定員枠を現状の半数以下の約一万人に統廃合する案 を打ち出し浮上した。地方の小規模大学を中心に再編が進んだが、各地で激しい反発を招 き、統合ペースはスローダウンしている。 |