独行法反対首都圏ネットワーク |
『東京新聞』2002年11月30日付 05年度統合の都立4大学・短大 独法化で教員の兼業規制緩和 "二足のわらじ"大幅容認へ 本業"きっちり"が条件 特許などの在り方検討 あるときは教授として研究室にこもり、またあるときは社長として製品開発 の前線に立つ−。二〇〇五年度に統合する都立の四大学・短大(都立大、科学 技術大、保健科学大、都立短大)で、こんな場面が一般化しそうだ。統合時に 行う独立行政法人化(独法化)で、都は職員を非公務員とする方針。これまで 制限されていた兼業・兼職規制は大幅に緩和される見通しで、「例えば、ノー ベル化学賞の田中耕一さんが島津製作所に勤めたまま、都立の新大学教授とし て教えることもできる」と担当者は説明している。 都立大の教員は公務員のため、兼業や兼職は制限されている。現在、同大が 民間企業の役員や顧問との兼業を認めている事例は六人という。都は非公務員 型の独法化を選択することで、新大学では規制を緩和。企業の取締役との兼任 や任期付きの教授の選任などが可能になる。 しかし、新大学での教育・研究の業務をきちんとしてもらうことが条件で、 都は大学外の職場との勤務割合や給与の支払い割合の在り方など、細部の調整 を開始。大学側と教員の利害が反した場合の扱いや、教員の発明や特許などの 権利、報酬の在り方も検討する。 大学では産・学・官の連携が進んでいる。一昨年に施行された産業技術力強 化法に基づき人事院規則が整備され国立大の役員兼業が可能に。十月末で取締 役の兼業承認を受けている教員は八十人を超えている、という。教員がコンサ ルティングなどで報酬を得たり、特許料収入を得る事例も増加。私立大では就 業規則で、大学の承認を得て学外で雇用関係を結んだり事業を行うことを認め ているケースがある。 国立大の独法化でも、文部科学省は非公務員化を決定。来年の通常国会に関 連法案が提出されるが、地方自治体の大学の独法化でも同国会で法整備が進む 見通しだ。国立大法人は学長が大学経営と教学の両方の責任者となるが、都立 新大学は経営責任者の法人の長は知事が任命、教学の責任者は学内で選ぶ学長 が務める。 都立新大学は人文、法、経済、理、工、保健科学の六学部と人文科学、法学 政治学、経済学、理学、先端科学技術、工学、保健科学、総合都市の八研究科 で構成する。 |