独行法反対首都圏ネットワーク |
『上毛新聞』2002年11月16日付 学生、教官の反応鈍く冷めた学内 群大教育学部移転 群馬大と埼玉大の統合問題で、群馬大教育学部のさいたま市への移転案が打 ち出された後、「群馬に教育学部を残す会」が移転反対の大規模な署名運動を 行うなど、学外での動きが慌ただしくなっているが、その半面、第一当事者で あるはずの学生や教育学部教官の反応は鈍い。「残す会」の運動や県、県教委 の申し入れを受け、両大学は今月七日に予定していた学長懇談会を延期した。 新教育学部の設置場所などを決める裁定を出せずにいる。そうした新たな展開 をよそに、傍観に近い立場を取っている学生、教官たちは何を考えているのだ ろうか。学内の本音を聞いた。 ■あきらめ 「残す会」は同学部の同窓生など二十四団体でつくる。十月上旬から、教育 学部移転反対の署名運動を開始。これまでに集めた署名は当初の目標である十 万人を上回り、十二万一千人に達した。「県民が教育学部の必要性を考えてく れている。二十万を目指して運動を続けたい」と代表を務める坂西輝雄元県教 育長は意気込みを語る。 学外の運動とは逆に、学生の反応は冷めている。 「母校の名前が消えるようなことになれば寂しいが、今は自分のことで精一 杯」(同学部四年の男子)、「大学からの説明は何もない。(存続の)署名は したが、学生が独自に活動する雰囲気はない」(同三年の女子)、「少なくと も自分の学年は群馬に通学できる」(同一年の女子)―。移転反対の気持ちは あるが、あきらめの空気が強く、具体的な運動には結びついていないようだ。 同学部がある群馬大荒牧キャンパスには、学生の自治組織が存在しない。 「自分たちの問題を自分たちで考えられないとは」と嘆く教授もいるが、同大 学生課によると、「手を挙げる学生がいないのが現状」という。 ■自嘲気味 同学部教授会は十月二日の臨時会で、「教育学部のキャンパス問題は学長懇 談会の裁定に委ねる」という趣旨の決定を行った。決定には「地元関係者の不 安の高まりを考慮すべき」、「統合協議会での議論の余地を残すべき」などの 文言で、大学当局に「くぎを刺す」部分もあった。 だが、この決定を不満とする声は依然として少なくない。精力的に署名集め を行っている「残す会」のメンバーは、「非常にふがいない。問題が一段落す れば、教育学部の資質を問う声も出るのではないか」と話す。 同学部のある助教授は「教授会として言うべきことは言った。学内の力関係 から見れば、教育学部の決定を学長が力で押し切るのは明白だった」とする。 それでも、「県と県教委の『待った』で、大学当局の動きが止まったが、逆に、 こちらでは何もできないことが浮き彫りになった」と、その後の展開にもどか しさを感じている。 教官の中には「残す会」の署名集めに協力し、学外からの働きかけに最後の 期待を寄せる人もいる。ある教授は「教員養成という大切な役割を担っている にもかかわらず、学部内にその意識が低い。真剣な努力を怠ったつけが回って きた」と自嘲(ちょう)気味に語っている。 二十日に開く教授会で、どんな議論がなされるのだろうか。 |