独行法反対首都圏ネットワーク |
第155回国会 文教科学委員会 第2号平成十四年十一月七日(木曜日) http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0106/155/15511070061002c.html (http://ac-net.org/dgh/kokkai/02/b07-san-bunkyoukagaku.txt) ------------------------------------------------------------------------ (http://ac-net.org/dgh/kokkai/02/b07-san-bunkyoukagaku-nishioka.html) ○西岡武夫君 私は、国会改革連絡会を代表して今日御質問申し上げるわけでご ざいますが、特に私が所属をいたします自由党の立場を中心といたしまして大臣 に御質問を申し上げます。 ーー(中略)ーー 次に、これも先般、総理と私、予算委員会でのやり取りの中で独立行政法人の 議論をいたしまして、その中で、私は、総理がどこまで、米百俵なんということ をおっしゃっているけれども、どうもそれを実行しておられるようには見えませ んので、どこまで御存じかよく私も認識しておりませんので、総理にだけ御質問 をするということを申し上げて、大臣には大変失礼をいたしましたけれども、そ のときに大臣があえて御発言になりましたのは、独立行政法人ではなくて、大学 の本質に絡んで国立大学法人ということで今考えているという答弁をなさったん です。独立行政法人じゃないんですか。 ○国務大臣(遠山敦子君) 大きな枠組みとして独立行政法人の枠組みではござ いますけれども、その制度を活用した中で、国立大学によりふさわしい国立大学 法人というものを今構想中であるという意味でございます。 ○西岡武夫君 それでは、大臣が今おっしゃった国立大学法人、これは仮称でご ざいましょうけれども、その構想は、その構成員は国家公務員ですか。 ○国務大臣(遠山敦子君) これにつきましては様々な御議論があり、御審議を 経た上で、これについての調査会の取りまとめの中で、現在の国家公務員という ことではなくて非公務員型、非公務員というのは私は民間とは違うと思っており ますけれども、非公務員型でいこうということで、現在その方向で進めておりま す。 ○西岡武夫君 非公務員というのはどういう意味か分かりませんが、私はこの前 も委員会でちょっと申し上げたんですけれども、かつて人事院と大分やり取りを いたしまして、教職にある皆さん方と研究に携わっている方々を一つの、国家公 務員でもない、純粋の民間企業の民間人でもない第三の身分というものを考えた らどうだろうかということを大分提案したんでございますけれども、教育研究職 というようなことを公務員制度の中で考えられないかと。給与体系も別にすべき ではないかと。 その前段として、ちょっと話は飛びますけれども、俗に言われております人確 法というものも私が考え、発想して、当時官房副長官だった、後藤田正晴先生が 副長官でおられました、と御相談をして、あの法律は多くの反対の中でようやく 成立をしたわけでございますけれども、人確法という法律は。そのときに、将来、 教育研究職というのは、特に教育研究というのは、今言われる、公共事業がいろ いろ批判の的になっておりますけれども、これもいろいろ教育施設や何かのこと を考えますと、一概にああいう議論がまかり通るということは私はおかしな傾向 であるというふうに考えておりますが、教育のやはり一番中心は人材だと思うん ですね。それで私はその人確法という法律を構想して、たった四条、四つの条文 でしかできていない短い法律ですけれども、それを作ったんですけれども、その 後、どんどんどんどん人事院勧告の中でいじられまして、実際にはその目的をほ とんど果たしていないというのが今の現状だと思うんです。 この議論はまた別途、別の機会にいたしますけれども、今の大臣のお話ですと、 新しく考えておられる国立大学の形というのはやっぱり独立法人ではあるんでしょ う。そこのところはっきり分からないんですね。 ○政府参考人(工藤智規君) この三月に有識者のレポートをまとめまして、先 生の方にもごらんおきいただいたところでございますが、大きな意味では、既に 発足してございます独立行政法人の仕組みを使いながら、国立大学をよりふさわ しい仕組みにしようというものでございまして、先ほど御懸念ございました国家 公務員かどうかということにつきましても、少なくとも国の国家公務員法をその まま適用するのではなくて、より教育研究、先ほど、以前の御提案、私も記憶に あるんでございますけれども、現行の公務員制度の中でなかなか不自由なところ がございます。 そのために、かねてから御心配いただいているわけでございますが、私どもこ の国立大学の法人化の制度設計に当たりましても、先行しております独立行政法 人制度の中では、公務員型、非公務員型という二つの類型がございます。それは、 公務員型といいますのは、基本的に国家公務員法の基本的な部分を適用する型。 それから、非公務員型といいますのは、民間人になるということじゃなくて、国 家公務員法の枠組みを適用しない、より自由な制度設計の型でございます。特に 大学の教育研究者の勤務内容等を考えますと、より自由な制度設計がいいんでは ないかという結論から非公務員型という型を選択しているところでございます。 ○西岡武夫君 やっぱり独立行政法人という考え方の中の枠にあることはあると いうことですね。 ○政府参考人(工藤智規君) 大きな意味では、三月のレポートにありますよう にそのとおりでございますが、独立行政法人、先行しております独立行政法人の 制度そのままではない、新しい国立大学にふさわしい制度設計にしようというこ とで今検討しているところでございます。 ○西岡武夫君 そこがちょっと私にはよく分からないので、文科省が何とか独立 行政法人という、そういう網の中から逃れ出そうというふうに努力されているお 気持ちは分かるのでございますけれども、小泉総理は国立大学の数が多過ぎる、 そんなに九十幾つも要らないと。これは実は私にも大きな責任がございまして、 今統合が進んでいるという学校の幾つかの名前は、ちょうど大学紛争のいろいろ な後遺症がある中で、たまたま敗戦後初めて医学部を新設するということが当時 の厚生省から医師養成の要請があって、これを当時文部省が受けて、私が政務次 官のときにこの問題が大きな問題となって各地に国立の単科の医科大学を作った という経緯がありました。 これは大学紛争の終局場面ではございましたけれども、まだまだそういう混乱 した状態がございましたので、そういう混乱した中に新しい学部を作るのはいか がなものかということも頭の中には正直に申し上げてございまして、これを単科 の医科大学にしたと。したがって、今の状況の中でこれを本当の意味での総合的 な大学、ユニバーシティーにするという大学統合については、私はそれは一つの 考え方で結構だろうと思います。 ただ、小泉総理はこの前の予算委員会でおっしゃった、大体国立大学が多過ぎ ると思っていると。それで、片や石原行革担当の大臣がおっしゃったことは、独 立行政法人は三年から五年で見直すんだ、つぶす場合もあると。今までの特殊法 人のようにどんどんどんどん事業を拡大していって野方図になっていくというこ とはないようにちゃんとします、三年から五年ごとにこれを見直して、要らない ものはなくしていくと、そんなことができるかどうか分かりませんけれども、そ ういう答弁を正式にされたわけです、ここに答弁の議事録がございますけれども。 ところが、今の御答弁によると、何とか文部科学省としては、国立大学を独立 行政法人という全体の網の中ではあるけれども、ちょっと網の目の粗いところを 見付けて外に半分出掛かったような組織を作ろうと努力されているようですけれ ども、それはちょっと私には、それでああそうでございますかというわけにいか ないですね。どうなんでしょう。 ○副大臣(河村建夫君) ちょっと私もその議論の中に入れさせていただきたい と思うんですが、今の行革の視点から大学を行政法人というんじゃなくて、これ はもう釈迦に説法だと思うのでありますが、今の大学の現状を見たときに、いわ ゆる世界の競争、世界に発信できる大学、もっと活性化しなきゃいかぬという強 い要請があったと思うんですね。大学改革の視点が私はまず先にあって、その結 果として今の統合のような問題も出てくる。私はこの統合の問題というのは、こ れはそれぞれの地域性がありますから、地域でそれを必要だと思われればそれは 一つの考え方、埼玉大学と群馬大学のように話合いが進んでいるようなところも ございますが。 したがって、私は、石原大臣が五年後見直せば廃止するところもあるだろうと 言われた、これもいわゆる行革の見方と、それから同時に、使命を果たした、特 殊法人や何かの使命を果たしたものは、これまた使命を果たしておりながらまた 新しい仕事を作ってどんどん生き長らえていくようなやり方というのは問題だと 私は思いますから。しかし、大学というのは、その使命を果たしたかどうか、こ れで簡単に廃止という考え方でいくべき筋のものではないだろうと、こう思って おります。 したがって、文部科学省がそういうことを考えて、いわゆる独立行政法人の大 きな考え方の中の一角として大学法人。その大学法人の名前を付けたとき、我々 自民党でいろんな勉強会をやったときに、やっぱり独立行政法人の一環かという ことだったんですが、いわゆる教育というのは行政じゃないじゃないかと、もっ と別の考え方があるはずだということからこういう名前にしていったという経緯 もあることは私は承知をいたしております。 ○西岡武夫君 そうすると、先般の予算委員会で遠山大臣が御答弁になった独立 行政法人という名前は付かないんですね。それは確定しているんですか。 ○政府参考人(工藤智規君) まだ法案御審議いただいてございません。そうい う方向で今検討してございまして、近々更に御検討の機会があろうかと思ってお ります。 ○西岡武夫君 それは行革の方の担当の石原大臣とも十分、石原大臣も御承知で 国立大学は別であるということを十分御認識しておられるんですか。 どうもこの間、私が特殊法人の問題は全体の問題としても申し上げたんですけ れども、特に国立大学の特殊法人化については問題があるという趣旨で質問をし たんですけれども、どうもそういう感じを受けなかったわけですけれども、石原 大臣はそれは御了承なっているんですか。 ○政府参考人(工藤智規君) これまでの経緯で、内閣はそれぞれ替わっている のでございますけれども、一応継続性を考えますと、国立大学につきましてはそ れにふさわしい制度設計で平成十六年四月の発足を目指して準備をすべきことと いうことになってございまして、今政府部内で検討中でございますが、石原大臣 に個別に本件についてまだ御説明しているわけじゃございませんが、内閣全体の 中でそういう方向であることについては御認識いただいているのではないかと思っ てございます。 ○西岡武夫君 今の御答弁は全然答弁になっていないですよ。担当大臣とはよく 話していないけれども内閣としてはそういう方向になっている、そんなあやふや なことでこの問題がどんどん進んでいくというのは、これは国立大学の将来にとっ て私は非常に不安を覚えます。 それと、これは遠山大臣御記憶だと思いますけれども、これも私が、大分昔で すけれども、文部省が直接学校を設置する場合に、むしろ文部省の中に、そのと きはもう文化省という名前にしたらどうだという議論もあったのでございますけ れども、その中に国立学校庁というものを作って、そこが国立の大学その他国立 の学校を所管する、それを監督するのが今で言う文部科学省の中の高等教育局長 の担当だ、そういう形にひっくり返すべきじゃないか、そうすれば私学に対する 監督も同じようにできるじゃないかと、そういうふうに私は提案したことがあっ たんですけれども、これもそのままになってしまいました、残念ながら。議論が 深まりませんでした。 こうしたことも踏まえてどうされるんですか、これ。本当にこれで大丈夫です か。 ○国務大臣(遠山敦子君) これは、担当の私といたしましてこれは明快に新し い国立大学法人を作るということは昨年の経済財政諮問会議でも明言いたしまし て、その内容について閣議の中でも了解を得ているわけでございます。これはむ しろどの大臣の了解を取るということよりも、内閣としてこれは国立大学法人で いくということについて、これは方向性として明確でございますし、担当の私と しまして、それはそういう形で今進めていることについて内閣として責任を持っ て進めているところでございます。 目下、制度設計中でございまして、しかもこれは大変大きな改革になるわけで ございまして、今様々な準備を整えております。それをしっかりと進めていくと。 そして、河村副大臣からも答弁してくれましたように、これは日本の大学という ものを活力に富んだ国際競争力を持つものとしてやっていく、国公私それぞれに 目標を持って改革をしていく、その一つの在り方として国立大学については国立 大学法人ということで早期に移行するという方針で今進めているところでござい ます。 しかも、これは行革の流れというのももちろん並行してあったわけでございま すけれども、しかし、むしろ大学改革をどのように進めていくかというその哲学 というものを前提にしながら様々な会議、委員会等での議論を重ねて今日まで来 ているところでございます。これは、歴代の大臣もそれぞれにお考えいただきま して、その方向を誤ることなく慎重に進めて今日まで来ているところでございま す。 ○西岡武夫君 ちょうどもう時間でございますから。 大学は、私は通常の企業と、企業という考え方で、もちろん企業的な能力とい うものもこれから求められていくんでしょうけれども、しかし、学問というもの が、やっぱり学問と教育、基礎研究と教育というのが中心ですから、経営的手腕 が物すごく優れている人が学問的に優れて、両方優れているというのはなかなか 希有の存在だろうと私は思うんですけれども、そういうことを考えると、今の方 向で果たしていいのかなと、私自身はいまだにこの問題についてはどうも胸にす とんと落ちません。 この問題については、本当にこれから十年、二十年、三十年とたちませんと、 あのときあんなことしてだれがやったんだということになるわけですから、よく 国会でのこういう事前の議論も十分していただいて、これは委員長にお願いでご ざいますけれども、私はこういう、何といいましょうか、速記が入って公式の議 論じゃなくても、本当に国立大学そんなことしちゃっていいのというようなざっ くばらんな話合いの場を是非持っていただきたいということを前、委員長にお願 いしたことがあるんですけれども、なかなか時間、皆様の時間等のこともあって 実現しませんでしたけれども。 どうも、非常に言いにくいんですが、今の小泉政権はどうも政党政治からちょっ と外れているようなところもありまして、いろんな諮問会議とか変なものがいろ いろ出てきますから、自民党の、今、副大臣、文教部会長も御経験で、部会でき ちっとした議論はしておられるんだろうと思うんですけれども、与党の皆さんだ けにお任せして、法案が出てきてからそれを我々が審議するというのでは手後れ になるのではないかという心配もございますので、十分この議論を事前に法案が できる前に深めていただきたいと、これは委員長へお願いでございますけれども、 お願いを申し上げまして、私の質問を終わります。 ------------------------------------------------------------------------ |