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『読売新聞』中部版 2002年11月12日付 第2回読売教育シンポに800人 「大学の役割 基本法に」 ◆御手洗審議官 読売新聞中部支社と読売・大学中部地区懇話会が主催する「第二回読売教育 シンポジウム」(文部科学省など後援)が十一日、名古屋市中区のヒルトン名 古屋で開かれた。基調講演した御手洗康・文部科学審議官は、大学改革の課題 について「子供たちに何を勉強してほしいのか、大学がきちんとアピールする ことが必要だ」と述べ、高校生以下の初等中等教育と、大学教育の連携が今後 重要になるとの認識を示した。 シンポジウムは「大学改革、二十一世紀の『知の拠点』を目指して」がテー マで、約八百人が参加した。 大学の進学率が約五割という現状を踏まえ、御手洗氏は「大学は研究者だけ でなく、優秀な社会人、教養ある国民を育成するという視点が求められる」と、 教養教育の重要性を強調。さらに、中央教育審議会が十四日に出す教育基本法 見直しの中間報告にも触れ、「知の世紀をリードする大学改革という視点から、 大学の果たすべき機能を同法で打ち出すべきだ」と語った。 続いて松尾稔・名古屋大学長、黒木登志夫・岐阜大学長、網中政機・名城大 学長、武田信照・愛知大学長によるパネルディスカッションが、天野郁夫・国 立学校財務センター研究部長の司会進行で行われ、大学改革を巡り活発な議論 が展開された。 ◆教育シンポ熱い議論 「国立大法人化 チャンス」 「産官学の連携で実 績を」 国立大学の法人化など、大学のあり方が根本的に問われている中で十一日開 かれた「第二回読売教育シンポジウム」では、大学改革の課題や将来像を巡る 学長らの真剣な議論が展開された。会場を埋め尽くした教育関係者や市民らが 熱心に耳を傾けた。 パネルディスカッションでは、二〇〇四年に迫った国立大学の法人化を巡り、 「個性化、多様化、弾力化が求められている。学制発布、新制大学の誕生に続 く第三の大波だが、むしろ、千載一遇のチャンスだ」(松尾稔・名古屋大学 長)、「積極的に評価したいが、財政的に強くない私立大学が、国立大学と対 等に競争できる配慮が必要だ」(武田信照・愛知大学長)などと、意義や課題 が述べられた。 また、「私学の最大の使命は、研究より教育だ。教育の方法をよく考え、大 学生の学力低下問題に対応すべきだ」(網中政機・名城大学長)、「大学は今、 知の宝庫ではなく“知の倉庫”になってしまっている。産官学の連携で実績を 倉庫から出して、多くの人に知ってもらうようにしたい」(黒木登志夫・岐阜 大学長)などの提言も相次いだ。 参加した諏訪兼位・日本福祉大学長(74)は、「他の大学にないものを磨 いて、知の拠点にならなければと痛感した」と話した。また、会社を退職後、 放送大学で学んでいる愛知県佐屋町の脇田宏さん(59)は「各大学が研究、 教育機関として、(規制緩和という)外部からの刺激を受け、改革に意欲的で あることがよくわかった」と、大学の努力を評価していた。 |