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衆議院文部科学委員会(2002/11/01)議事録全文
斎藤鉄夫議員質疑:
石井郁子議員質疑
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○斉藤(鉄)委員 ・・・・・・
まず第一点は、今回、大学と専門職大学院に第三者評価が導入されるというこ
とは大きな大学改革の一つの方法だ、一環だと思っております。この第三者評価、
必要だと思っておりますけれども、また逆に、非常に重要であるからこそこれは
間違ったものになってはいけないという思いから質問をさせていただくわけです
けれども、まず第一点は、どのような機関が第三者評価を行うのかということで
ございまして、本会議の質問で、大臣は、いろいろな民間機関の導入も考えられ
るということでございましたが、大学評価・学位授与機構も評価をするというふ
うに認識をしているというふうにお答えになっております。
当然、この大学評価・学位授与機構、大学評価をするんでしょうけれども、い
わゆるこれから民間が参入してきても、いわゆるイコールフッティングになるの
かなという心配もございます。大学評価機構はある意味では税金でつくられてい
るわけでございまして、これから入ってくる民間はある意味ではその民間資金で
行われる、ある意味でスタートラインが違う、公平な競争が行われる環境にない
のではないかという心配もございます。例えば、それが検査料ということにあら
われてくるかもしれません。
そういうことも含めて、どのような機関が第三者評価を行うのか、また民間機
関の導入ということが考えられるのであれば、既にある学位授与機構とのイコー
ルフッティングをどうするのか、この点についてまずお伺いをいたします。
○河村副大臣 斉藤委員御指摘のように、第三者評価についてはいわゆる大学評
価・学位授与機構がある、さらに、各大学間が持っております財団法人のいわゆ
る四年制の大学の大学基準協会、あるいは短大が持っております短期大学基準協
会、それ以外にも私立大学が加盟している日本私立大学協会を中心とした新しい
第三者機関をつくろうという動きがあることも我々承知をいたしておるところで
ございまして、これについては、この法律でもありますように、認証の基準に合
うものについてはこれを広く認めるという方向になっております。
そして、その場合に、御指摘のように、他の評価機関ができますから、競争的
な関係になるわけでございますが、それを、例えば学位授与機構、そこだけが特
別有利になるとかということがあっては私は問題があるんじゃないか。できるだ
けそのバランスをとるということが必要であろう、手数料等についても。その点
については、十分な私は配慮が必要であろうというふうに思います。
さらに、こういう機関の中にはNPO法人とかそういうものの参加も十分考え
られるんではないか、こう思っておりまして、それぞれの評価機関は独立性を持
つんでありますけれども、できるだけそれぞれの機関が競争的な中で、特にそこ
だけが特別な国の機関的な優遇を受けるとか、そういうことのないような十分な
配慮というのは必要であろう、このように考えております。
○斉藤(鉄)委員 結果として大学評価・学位授与機構だけが残るというような
ことになりますと、ここはあくまでも行政からは独立した機関であるとはいえ、
国民の目から見れば、税金でつくられていて非常に行政に近いという視点もござ
います。そうしますと、行政が直接大学に対して評価を行うというふうな誤解を
受けることにもなりかねないわけでございまして、どうか民間のいろいろな評価
機関が育つような制度設計をしていただきたいと思います。
この評価機関の第三者性、独立性、これをどう担保するのか、一番ポイントに
なるところだと思いますけれども、この点についてお伺いいたします。
○河村副大臣 斉藤委員御指摘の第三者性、独立性を保つということは私非常に
大事なことだというふうに意識しておりまして、認証評価というのは認証評価機
関が責任を持って主体的に行うということになっておりますし、評価基準につい
てもみずから定めるといたしております。評価結果によって行政処分とかあるい
は直接的な資源配分が行われるといったような仕組みにはなっていないというこ
とでございますし、また、一定基準を満たすものであるかどうか評価機関が認証
を求める場合に、これは中央教育審議会の意見も十分聞いて判断する、こういう
ふうになっておりまして、それによって国の関与をできるだけ最小限にしながら、
評価機関の独立性、あるいは評価機関が独立性を持って評価ができる、自立的に
評価ができる制度にするということが今回のこの評価機関を認証する場合の基本
的な制度として仕組まれているということであります。
○斉藤(鉄)委員 この第三者性、独立性の担保ということも非常に今回の法改
正の一番大きなポイントだと思いますので、どうか慎重な制度設計をまたよろし
くお願いいたします。
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○石井(郁)委員 ・・・・・・それでは、法文に則して、二、三確かめとい
うかお尋ねをしておきたいというふうに思うのです。
まず、今度、国による認証評価制度ですね。なぜこの認証ということが必要と
されるのでしょうか。
○河村副大臣 今回導入する、大学の質の保証のために新たな第三者評価制度を
求めるということ、これは専門的な評価機関による定期的な第三者評価をすべて
の大学が受けることを義務づけるわけでありますから、その評価機関については、
大学が評価を受けるにふさわしい公正で適確な評価を実施するような機関である
ことが必要であるということは言うまでもないことだと思います。
このためにも、やはり一定の、最低基準という言い方が適当かどうか、一定の
基準を国で考えて、その基準に達していればそれはもう自動的にといいますか、
認証というのは、いわゆる許可証を出すとかそういうあれとはちょっと違いまし
て、基準を設けてそれをクリアできたものについては認めていくというやり方で
す。
ある程度社会的な評価を得るだけの評価機関というものはやはり最低このぐら
いは要るということは私は当然ではないかと思うのですね。それで、これをクリ
アしていただければ認めるというやり方でありますから、それによって社会的な
評価もきちっと信頼性が得られるものだ、このように考えて、認証評価機関の認
証というものを置いているわけでございます。
○石井(郁)委員 その認証基準、認証評価制度の認証基準なんですけれども、
これは六十九条の四であるところですね。大学評価基準及び評価方法が認証評価
を適確に行うに足るものであることという条文になっているんですが、何かこれ
だけでちょっとわからないんですよ。
大学評価基準及び評価方法、どういうものを想定しているのでしょうか。それ
が適確に行うに足るものというところが、どういう要件だとかどういう内容をもっ
て言われているのか、これをぜひ御答弁ください。
○河村副大臣 六十九条の四第三項の細目がございます。これに想定している内
容についてどうかというあれでございますが、大学評価基準でございますけれど
も、これは、当然大学設置基準というのがございますから、それをまず踏まえて
定めていかなきゃならぬ。それから、教育課程、教員組織あるいはその他の認証
評価のための適切な項目を設定して、項目ごとの内容も適切であるかどうかとい
うこと。それから、大学関係者等からの意見聴取を踏まえて定めるものである。
これが大学評価基準になるわけです。
評価方法の細目でございますが、認証評価機関がその特性に応じた適切な評価
方法を持っているかどうかということ、あるいは書面審査だけではなくて、原則
として実地調査ができるようになっているかどうか、これも評価方法の中に入っ
ております。
それから、評価体制についても、評価対象分野等を公正かつ適確に評価し得る
評価員を用意しているかどか。先ほど研修の問題も指摘がありました。そういう
必要性も出てまいりましたが、当該分野の専門家、特に専 門職大学の場合には
実務家が含まれているかどうか。それから、先ほどの研修の問題、きちっと実施
されなきゃいかぬということ。
そのほかにも、大学から評価の申請があったときには遅滞なく認証評価をやる、
こういうことを評価してくれということがあればそれをやらなきゃいかぬとか、
それから評価結果に影響を及ぼし得るような基本的事項を大学が変更した場合に
は、速やかに再評価をやらなきゃいかぬ。さらに、評価活動の実績がある、ある
いはまた公正、適確な評価の確実な実施が見込まれるものであるとか、さらに評
価業務に関する独立した管理運営を行うものであるとか、そうした細目があるわ
けでございまして、そういうことを想定して具体的に進めてまいりたいというふ
うに考えておるわけでございます。
さらに、細部にわたる機関は、法科大学院の場合には、認証評価機関に係る規
定は別に定めていかなきゃならぬというふうに考えております。
○石井(郁)委員 かなり具体的にというか、お答えいただきましたが、今の内
容というのはこの六十九条四の三ですね。「前項に規定する基準を適用するに際
して必要な細目は、文部科学大臣が、これを定める。」という、この必要な細目
の一部というふうに理解していいんでしょうか、ちょっともう一度。
○河村副大臣 今想定ということで申し上げたわけで、このとおりになるという
ことではありません。
ただ、この問題は、今後、認証機関の問題については、中央教育審議会の意見
も聞いてさらに検討するということになっております。
○石井(郁)委員 今伺ってみますと、認証評価の基準、そして大学評価基準及
び評価の方法の想定ですよね。かなり細部にわたっているなということがうかが
えまして、実際、評価というのはそういう部分が出てくるかなとは思うんですが、
逆に言いますと、これは結局、国がそういう細部にわたる基準をかなり決めたも
のになる、ならざるを得ないというか、そういうことなんですよね。
これがどうして第三者評価機関になるのか。つまり、認証評価機関はこういう
基準が必要です、こういう評価方法やこういう体制を持っていなければいけませ
んということを国が決めるわけですね。かなり細かなことを国が決めていく。そ
ういう認証評価機関というのがどうして第三者評価機関というふうに言えるのか。
国が全部決めているじゃないですか、今お話しのように。いかがですか。
○遠山国務大臣 認証評価機関についての条件を明確にして、そしてその条件に
合ったところについては余り裁量を加えないで、そして認めていくということで
ございます。つまり、判断の基準を少なくして裁量でもってやっていけば、それ
はかなり国の関与になると思いますが、今考えているのはそういう方法ではなく
て、国が認証するという際によるべき基準というものをむしろ明確にしていく、
それによって第三者機関をつくりやすくしていくということだと考えております。
もちろん、認証を経ないでも、いろいろな評価機関があってもいいと思うわけ
でございます。しかし、認証機関がやる評価を受けようとする大学にとって認証
評価機関がしっかりしたものであるという必要があるわけでございまして、その
ために今、法文上でいろいろな条件を書いているところでございます。しかし、
その目的というのは私が今申したものでございまして、委員の御理解を賜りたい
と思います。
○石井(郁)委員 この問題は、大変やはり重要な問題なんですね。基本的なこ
とだと思うんですが、ですから、中教審の中間報告が出されたときにも国立大学
協会は大変な問題点の指摘というか、懸念を持っているわけでございまして、こ
ういうふうに言っています。
評価機関の認証について、今言われたような幾つかの基準が挙げられている、
その基準の具体的な設定の仕方によっては政府が直接に大学の適格認定を行うの
と実質的には異ならない、この意味でいわゆる機関認証基準の具体的内容につい
て政府はあらかじめ明確にすべきだというふうに述べたわけですね。私は、こう
いう点ではもっと明確にならなかったらやはりこの審議は到底できないというふ
うに思います。
だから、第三者評価制度の導入と言いつつも、国の言うとおりの評価機関で、
これでは文部科学省から独立したものにならないのじゃないか、この懸念はある
わけです。これは払拭できませんので、重要な問題で、私は明確にしなければい
けないというふうに思います。
そこで、最後に委員長にお願いをいたしますけれども、やはり、大学評価を導
入して、しかも日本のすべての大学に義務づけるんですから、これはもう日本の
学問研究の将来の発展あるいは大学のあり方を左右する重要問題でございますの
で、私は、関係者を参考人として招致して審議をすることをぜひ要求したいと思
います。
○古屋委員長 理事会で協議をさせていただきます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー |